ハードボイルド ハードボイルドの概要

ハードボイルド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 07:47 UTC 版)

またハードボイルドは小説だけではなく、映画やテレビドラマでも表現された。映画ではアメリカン・フィルム・インスティチュートが選定した「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」でショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンド(『007 ドクター・ノオ』)が3位、ハンフリー・ボガート演じるリック・ブレイン(『カサブランカ』)が4位、クリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハン(『ダーティハリー』)が17位に入っている。


注釈

  1. ^ ハードカバーで刊行された小説のリプリントではなく、ペーパーバックのために書き下ろされたオリジナル作品。詳しくは英語版参照。
  2. ^ 朝日新聞の元担当記者で山本周五郎研究の第一人者として知られる木村久邇典が『幻影城』1975年9月号「特集 山本周五郎探偵小説集」に寄稿した「山本周五郎のミステリー」によれば、山本周五郎は「失恋第五番」からはじめて「失恋第十番」まで書き継ぐ予定だったという。また作風について「早いテンポで、現在形のセンテンスを積み重ねるハードボイルドふうの文体であって、当時の文壇には類例をみないものだった」とした上で「後日のアクション小説の先駆的な意義をもっていたという意味でも、こんにち再評価されてしかるべき作品、といえるのではあるまいか」としている。
  3. ^ 島田一男は「茹で過ぎ卵」(『別冊宝石』11号)と題した小論も書いており、一般的な探偵小説とハードボイルドを比較しつつ「いわゆる本格探偵小説の根底をなす謎と理論の展開は、ハードボイルドに於ては、それほど重要視されていない。むしろ本格探偵小説が、数百頁に亙つてこつ/\と理論を積み上げて行くのを、ハードボイルドでは、描写の生々しさと、映画的な場面の面白さで、一ッ気に押し切ろうとしている。その点で、これは探偵小説の本流ではないかもしれぬが、やはり探偵小説以外のなにものでもないのである」と結論付けている。ハードボイルドを論じた文章としてはこれが最初期のものとなる。
  4. ^ 1950年8月号には「現代仁侠小説 愛慾の弾痕」、1951年4月号には「急襲東京麻薬街」、7月号には「仁俠愛慾小説 悲恋拳銃無宿」が掲載されている。
  5. ^ ただし「俺が法律だ」の主人公は各務赳夫という私立探偵で、私立探偵を主人公としたハードボイルド小説としては日本最初期の作品となる。また『地獄の神々』(『内外タイムス』1956年3月〜5月連載。1957年、東方社より刊行)は東京湾に停泊する賭博船に主人公(帝都新聞のカメラマン・槇健策)が単身、潜入するというレイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』ばりのエピソードも盛り込まれた活劇で、書籍化されたものとしてはこれがわが国ハードボイルドの第1号と見なすこともできる。
  6. ^ 河出文庫版『仙台ミステリー傑作選』に収録以降は「X橋付近」の表記が用いられている。
  7. ^ 生島は『浪漫疾風録』でこの小説について「鷹と呼ばれる敏腕刑事がしじゅう鈴の音を気にしているというストーリイ」としているものの、実際に書かれた小説では鷹と呼ばれる刑事は主人公ではなく、しかも他の登場人物の話の中に登場するだけで、物語後半で謎の自殺を遂げる。また内容も満蒙開拓義勇軍を題材とした社会派ミステリとなっており、当初のハードボイルドを志向したものから大幅に改変されたことがうかがえる。
  8. ^ 『マンハント』日本語版創刊号(1958年8月号)の帯には「眠狂四郎や机竜之助の現代版はこれだ!!」と記されるとともに「創刊のことば」ではハードボイルドについて説明する中で「だいいち、昨今ヤンヤともてはやされた眠狂四郎、古くは丹下左膳E・T・C・すべてこれハードボイルドの主人公ではありませんか」とされていた。
  9. ^ 井家上隆幸によれば、生前、出版を望みながら「ハードボイルド・エンターテインメントではなく純文学的で地味だと複数の出版社でお蔵入りになっていた小説」[15]で、死後、友人たちの手によって刊行された。『さらば愛しき娘よ』に登場した『週刊ニュース』の記者・黒木徹郎を主人公とするシリーズ第2作。
  10. ^ 同様の傾向の作品としては女好きの新聞記者を主人公とする『ろくでなしはろくでなし』(1974年)がある。一方で藤原は和製フィルム・ノワールの傑作として名高い『ある殺し屋』の原作となった「前夜」(『オール読物』1965年11月号)のような正真正銘のハードボイルド・タッチの作品も書いている。
  11. ^ ミッキー・スピレインの小説と同じタイトルが使われているものの、内容は無関係で、興信所の青年所長・志津野一平を主人公とするオリジナル作品。
  12. ^ いわゆる「東宝ニューアクション」の幕開けを告げる作品。これ以降、1974年の『野獣死すべし 復讐のメカニック』まで十数本のハードボイルド・アクション映画が東宝という保守的な企業風土で狂い咲きのように咲き誇った。磯田勉はこれらの作品群を評して「ひたすらスタイリッシュなハードボイルドを目ざした作品群は、どこまで外国映画に接近できるかという挑戦であり、それはやくざ映画やピンク映画がまとう湿度が覆う以前の日本映画のモダニズムを再編成する試みだったかもしれない。それはある意味、ディレッタントの作り手の夢の産物だった」[18]と述べている。
  13. ^ 1974年、北冬書房より『北冬劇画叢書 風狂えれじい』として単行本化。
  14. ^ 1973年、北冬書房より『北冬劇画叢書 死風街』として単行本化。
  15. ^ 1986年、グリーンアロー出版社より『銀狼に孤独をみた』(全4巻)として単行本化。

出典

  1. ^ ハードボイルドって本当は何なの?”. 木村仁良. 2020年10月7日閲覧。
  2. ^ レクラン・フランセL'Écran Français)』1946年8月号。詳しくは英語版参照。
  3. ^ 小鷹信光著『私のハードボイルド:固茹で玉子の戦後史』研究編「レポート2 文芸用語としての「ハードボイルド」の発生と推移」
  4. ^ 鏡明『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた。』フリースタイル、2019年7月、303頁。 
  5. ^ 連載「推理作家が出来るまで」第103回(『ミステリマガジン』1984年11月号)
  6. ^ 「ネオ・ハードボイルド」の台頭(小鷹信光:第3回)
  7. ^ 木村久邇典縄田一男「特別対談 山本周五郎・人と作品――いつも、どう生きどう死ぬかを問いかけていた」(『歴史読本』編『山本周五郎を読む』)参照。
  8. ^ 『推理小説集』 1巻、鱒書房〈軽文学新書〉、1955年7月、104頁。 
  9. ^ 大坪砂男 著、日下三蔵 編『大坪砂男全集』 3巻、東京創元社〈創元推理文庫〉、2013年5月、編者解題。 
  10. ^ 荒蝦夷版『X橋付近』巻末「解説 原石の輝き」参照。
  11. ^ 荒蝦夷版『X橋付近』巻末「〈一期有限〉ということ」参照。
  12. ^ 生島治郎『浪漫疾風録』中央公論社〈中公文庫〉、2020年5月、262-267頁。 
  13. ^ 2013年 第66回 日本推理作家協会賞|日本推理作家協会
  14. ^ 『生島治郎の誘導訊問 眠れる意識を狙撃せよ』双葉社、1974年、42-43ページ
  15. ^ 井家上隆幸『本の話 何でもあり屋』リブリオ出版、1995年7月、夭折した作家夏文彦のハードボイルド小説『ロング・グッドバイ』は隠れたすぐれものである。 
  16. ^ [1] 2022年11月2日閲覧
  17. ^ 狼の挽歌 2022年10月28日閲覧
  18. ^ 磯田勉「硬質な文体が刻むハードボイルドの世界――東宝ニューアクションの脚本家たち」『映画秘宝』、洋泉社、2011年5月、79頁。 





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