ニセアカシア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 22:18 UTC 版)
ニセアカシア | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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ニセアカシア
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Robinia pseudoacacia L. (1753)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ハリエンジュ(針槐)、 ニセアカシア | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Locust tree |
名称
一般的によく使われる名称[注 1]であるニセアカシアは、種小名の pseudoacacia (「pseudo(ブシュウド)=よく似た・偽の・まがい物の acacia=アカシア」)をラテン語から直訳したものである[4]。アカシアは熱帯に分布するのマメ科植物であるが、ニセアカシアは葉の形がこれに似ているということから「偽の」という名前がつけられている[4]。属名の Robinia(ロンビニア)はフランスの植物学者ロビンの名に由来し、このことからフランスではロビニエの名のほうが通っている[4]。
和名のハリエンジュは、古くから珍重されるエンジュに似た葉をつけるが、枝の付け根に針棘が発達することから名付けられた[5][3](右の写真)。この和名は植物学者の松村任三が命名したもので、植物学上ではこの名が比較的多く使われている[6]。北海道では「アカシア」とよび親しまれているが、これは誤称である[2]。日本では1878年(明治11年)に、この樹に「明石屋」という字をあてて紹介されている[7]。
英名のBlack locustはイナゴマメ(Locust bean)に似るとしてついた[要出典]。イギリスでは False Acacia(フォールス・アカシア)で、「偽アカシア」の意味である[6]。アメリカでは Locust (ローカス)、あるいは Black Locust(ブラック・ローカスト)とよばれる[6]。ニセアカシアは先駆植物(パイオニア植物)のひとつでもあるが、英語で Pioneer tree(パイオニア・ツリー)という名も持っており[6]、アメリカ西部開拓時代に、新しい町が生まれるたびにニセアカシアが植えられたことによる[6]。
中国では洋槐という字があてられており、中国に多い槐樹に対する区分である[6]。また、徳国槐という字もあてられていて、これはドイツ(徳国)が租借していたチンタオ(青島)に大規模に植えられたことからきている[6]。 ニセアカシア(ハリエンジュ)の花言葉は、「慕情」とされる[3]。
分布・生育地
北アメリカ原産(ペンシルバニア、オハイオ、イリノイ、バージニア州を中心とする一帯[7])で、ヨーロッパや日本など世界各地に移植され、山野などに野生化している[2][8]。根粒菌が窒素固定するため、痩せた土地でもよく生育する特徴を持つ[3]。
ニセアカシアは日本での分布も広く、並木(林)では北海道札幌市中心部の北1条通りで6月に開花する「アカシア並木」[9]、東京都稲城市の多摩川原橋[10]から是政橋にかけての多摩川右岸で4月末から5月初旬に開花する「アカシア通り・アカシア林&散策路」[11]などがよく知られる。アジアでは、中国遼寧省大連でロシア・日本領有時代から多く植栽され、市中心部の「アカシヤの大連」とも称される「アカシア大通り」(槐花大道)では毎年アカシア祭り(大連国際槐花節)が開催され[12]、市郊外でアカシアの花の蜂蜜も豊富に採れる[13]。
注釈
出典
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Robinia pseudoacacia L. ハリエンジュ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 61.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 田中潔 2011, p. 83.
- ^ a b c 辻井達一 1995, p. 210.
- ^ a b c d e 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 38.
- ^ a b c d e f g h 辻井達一 1995, p. 211.
- ^ a b c d e f g 辻井達一 1995, p. 212.
- ^ ハリエンジュ 国立環境研究所 侵入生物DB
- ^ 【北1条通りのアカシア並木】童謡「この道」の道と言われる通りを歩いてみよう(北海道PRESS)
- ^ 南武線矢野口駅下車
- ^ アカシア林(miru-navi 東京都&稲城市)
- ^ 大連アカシア祭(大連アチコチ、2019年)
- ^ 大連のハチミツ(湘南オヤジのブログ、2019年)
- ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 195.
- ^ a b c d e f g h i 辻井達一 1995, p. 214.
- ^ a b c d e f 崎尾均編 ニセアカシアの生態学(2009)
- ^ a b c 長野県林業総合センター ミニ技術情報 (PDF)
- ^ ニセアカシア 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 安全性研究チーム]
- ^ 水野千代 横倉利江 旬の味覚 山菜料理 ほおずき書籍(1999)
- ^ “庄内海岸の国有林”. 林野庁東北森林管理局庄内森林管理署. 2022年4月25日閲覧。
- ^ No.186:ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia)に関する情報(案) (PDF)
- ^ 苅住曻 最新樹木根系図説 誠文堂新光社 (2010)
- ^ 『北海道の旧産炭地における侵略的外来種ニセアカシアの分布現況とその歴史的背景』 保全生態学研究 12(2), 94-102, 2007-11-30, NAID 110006474145
- ^ 木材図鑑 ハリエンジュ(ニセアカシア) - ウェイバックマシン(2017年3月23日アーカイブ分)
- ^ 橋爪丈夫「ニセアカシア材の利用」長野県林業総合センター技術情報52(1984)
- ^ “ニセアカシヤ(針槐:はりえんじゅ)”. 北海道庁 (2018年10月19日). 2020年6月12日閲覧。
- ^ 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X。
- ^ a b 前河正昭・中越信和「海岸砂地においてニセアカシア林の分布拡大がもたらす成帯構造と種多様性への影響」『日本生態学会誌』第47巻第2号、1997年、131-143頁。
- ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
- ^ 千曲川河川事務所の取り組み 国土交通省 千曲川河川事務所
- ^ 真坂一彦 外来種ニセアカシアを取りまく言説とその科学的根拠、日本森林学会誌95,332-341(2013)
- 1 ニセアカシアとは
- 2 ニセアカシアの概要
- 3 特徴
- 4 有用植物としてのニセアカシア
- 5 外来種問題
- 6 脚注
ニセアカシアと同じ種類の言葉
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