ドミートリイ・ショスタコーヴィチ 著作

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 03:04 UTC 版)

著作

本人の著書と称されているものが、日本では2冊出版されている。ソロモン・ヴォルコフによる『ショスタコーヴィチの証言』(水野忠夫訳 中央公論社、1980年)と、レフ・グリゴーリエフとヤーコフ・プラデークの手による『ショスタコーヴィチ自伝――時代と自身を語る』(ラドガ出版社訳 ラドガ出版社〔発売:ナウカ〕、1983年)である。前者は、はじめは1979年にアメリカ、ドイツで出版されたもので、ショスタコーヴィチの評価をめぐって論議を巻き起こした。発表された当初からソビエト作曲家同盟などのほかローレル・フェイのような西側の音楽学者からも偽書である疑いが投げかけられ真贋については議論があった[1]。詳細は「ショスタコーヴィチの証言」を参照。

後者は1980年にソ連で刊行された。「自伝」とあるが、正確には、ショスタコーヴィチが生前にさまざまな媒体に発表した文章などを年代順にまとめたものである。ヴォルコフやマクシム・ショスタコーヴィチは、「実際には、別人が書いていたのだ」と主張している。すべての記事はソビエト体制下では公式見解として発表されたものである。

ショスタコーヴィチはさまざまな人物と頻繁に手紙をやりとりしており、数冊が出版されている。邦訳書は2006年現在、存在しない。とりわけ有名なのは、音楽学者イサーク・グリークマンと行われた書簡集である。1993年にロシアで出版されたもので、英訳されている (Story of a Friendship, trans. by Anthony Phillips, London: Faver/Ithaca, N.Y. : Cornell University Press, 2001.)。

2006年9月25日、ショスタコーヴィチ生誕100周年を記念し、ショスタコーヴィチと公私共に親友だったイワン・ソレルチンスキーとの往復書簡が出版されている。これは、イワンの息子であり音楽学者のドミトリーが編纂した書籍。ショスタコーヴィチとソレルチンスキーが知り合った1927年から、ソレルチンスキーが急逝した1942年までにやりとりされた、現存するほぼすべての書簡が掲載されている。

なお子息2人(ガリーナとマクシム)による、多くの写真を交えた回想証言『わが父ショスタコーヴィチ』(田中泰子訳、音楽之友社、2003年)が出版されている。


  1. ^ a b 音楽学者の千葉潤は、発表以来続いた『ショスタコーヴィチの証言』の真贋論争は現在では偽書でほぼ決着しているとの見解を示している。(千葉潤 『ショスタコーヴィチ』 音楽之友社、2005年。181 - 182頁。ISBN 4-276-22193-5。)
  2. ^ 千葉 2005, p. 8.
  3. ^ 千葉 2005, p. 12-13.
  4. ^ 千葉 2005, p. 13-14.
  5. ^ 千葉 2005, p. 14-15.
  6. ^ a b 千葉 2005, p. 16.
  7. ^ 千葉 2005, p. 19.
  8. ^ 千葉 2005, p. 21.
  9. ^ 千葉 2005, p. 34.
  10. ^ 千葉 2005, p. 46-48.
  11. ^ 千葉 2005, p. 51-52.
  12. ^ 千葉 2005, p. 52-55.
  13. ^ 千葉 2005, p. 57-60.
  14. ^ 千葉 2005, p. 63.
  15. ^ 千葉 2005, p. 66.
  16. ^ 千葉 2005, p. 73-75.
  17. ^ 千葉 2005, p. 78-79.
  18. ^ 千葉 2005, p. 83.
  19. ^ 千葉 2005, p. 91-94.
  20. ^ 千葉 2005, p. 102-103.
  21. ^ 千葉 2005, p. 106-109.
  22. ^ 千葉 2005, p. 110-115.
  23. ^ 千葉 2005, p. 125-128.
  24. ^ 千葉 2005, p. 129.
  25. ^ a b 千葉 2005, p. 130.
  26. ^ 千葉 2005, p. 131.
  27. ^ 千葉 2005, p. 132-137.
  28. ^ 千葉 2005, p. 139-142.
  29. ^ 千葉 2005, p. 147-152.
  30. ^ 千葉 2005, p. 152.
  31. ^ 千葉 2005, p. 155-157.
  32. ^ 千葉 2005, p. 176.
  33. ^ a b Gregor Tassie (2022). The Three Apostles of Russian Music: The Soviet Avant-Garde. Lexington Books 
  34. ^ Sofia Moshevich (2015). Shostakovich's Music for Piano Solo: Interpretation and Performance. Indiana University Press. p. 16 
  35. ^ ローレル・フェイ 『ショスタコーヴィチ ある生涯』 アルファベータ、2005年(改訂新版)、135頁。ISBN 978-4-87198-534-5
  36. ^ イアン マクドナルド The new Shostakovich p73
  37. ^ エリザベス・ウイルソン『Shostakovich A LIFE Remembered』2006年、225頁。ISBN 978-0-571-22050-2
  38. ^ a b ヨアヒム ブラン Double meaning of Jewish Element in Domitori Shostakovich1985 p68~80
  39. ^ ティモシー ジャクソン、Ho, Allan B. and Feofanov, (ed.): Shostakovich Reconsidered. Toccata Press 1998.251. ISBN 0-907689-56-6 p618
  40. ^ エリザベス・ウイルソン『Shostakovich A LIFE Remembered』2006年、267頁。ISBN 978-0-571-22050-2
  41. ^ ヨアヒム ブラン Double meaning of Jewish Element in Domitori Shostakovich1985 p78
  42. ^ (2669) Shostakovich = 1976 YQ2 = 1980 RW”. MPC. 2021年9月30日閲覧。






固有名詞の分類

近現代の作曲家 ジョリー・ブラガ=サントス  メリトン・バランチヴァーゼ  ドミートリイ・ショスタコーヴィチ  ポール・ヴィダル  須賀田礒太郎
近現代音楽の作曲家 コーネリアス・カーデュー  ウィリアム・クラフト  ドミートリイ・ショスタコーヴィチ  ジェームス・カーナウ  ジョン・ウィリアムズ
オペラ作曲家 アルベール・ヴォルフ  エレーナ・フィルソヴァ  ドミートリイ・ショスタコーヴィチ  ハインリヒ・ラインハルト  アントーニョ・カルロス・ゴメス
ロシアの作曲家 イラリオン・アルフェエフ  エレーナ・フィルソヴァ  ドミートリイ・ショスタコーヴィチ  シャンドル・カロシュ  アレクセイ・スタンチンスキー
ソビエト連邦の作曲家 イヴァン・ジェルジンスキー  ドミトリー・カバレフスキー  ドミートリイ・ショスタコーヴィチ  シャンドル・カロシュ  ウラジーミル・マルティノフ
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