トンネル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 09:52 UTC 版)
トンネルの施工
工法
矢板工法
掘削した壁面に矢板(やいた)という木板(主に松が使用され「松矢板(まつやいた)」と呼ばれた)や鉄板(「鋼矢板(こうやいた)」と呼ばれる)をあてがい、支保工という支柱で支え、その内側をコンクリートなどで固める「巻き立て」によって仕上げる。日本では1980年代の東北新幹線・上越新幹線建設までこの方法が取られていた。
しかしながら、事前調査の不足も重なり、特に蔵王トンネルでは工期が3年延びたほか、中山トンネルでは出水の連続から多数の迂回坑建設や300基を越える直上ボーリングの実施が必要となり、総工費が膨れ上がったばかりか、経路変更によって生じた曲線は開業後の速度制限をももたらした[12]。
今後の新幹線や高速道路にますます必要となる長大トンネルには技術的に不足があるのは明らかであった。これらが転機となって、その後は中山トンネルの一部で試行されたNATMが主流工法となり、それまでの経験工学からの転換という意味合いを含め、今までの工法として在来工法とも呼ばれる。
シールド工法
シールドマシンを用いた工法。
TBM工法
トンネルボーリングマシンを用いた工法。
新オーストリアトンネル工法
New Austrian Tunneling Methodの頭文字をとってNATM(ナトム)ともいう。掘削した部分を素早く吹き付けコンクリートで固め、ロックボルトを岩盤奥深くにまで打ち込んで地山自体の保持力を利用する工法。
開鑿(開削)工法
オープンカット工法とも呼ばれる。地表面を掘り下げてトンネルの構造物を構築し、後で埋め戻す工法[13]。地表面に近い部分や、鉄道駅のように大規模になる施設の構築に用いられる。初期(1960年代まで)に建設された地下鉄では主流の工法であったが、1970年代以降は地下鉄網の拡充からより深い位置にトンネルを建設せざるを得なくなり、駅部分を除いてはシールド工法が主体となっている。
また開削工法にシールド工法を組み合わせた工法としてオープンシールド工法がある。
沈埋トンネル工法
複数のケーソン(潜函)を水底に沈め、これを接続してトンネルとする工法。
トンネル工事と安全確保
トンネル工事は労働基準法等の法令により、坑内労働として規定され、就業制限や安全衛生について一般の作業場とは異なる規制が設けられている。
注釈
出典
- ^ 『隧道』 - コトバンク
- ^ トンネルとは?、一般社団法人日本トンネル技術協会
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 190.
- ^ a b c d e 浅井建爾 2001, p. 234.
- ^ 長崎新聞 (2019年6月21日). “トンネル工事で減水 水源確保、水田に送水 諫早市多良見町井樋ノ尾地区 | 長崎新聞”. 長崎新聞. 2020年7月10日閲覧。
- ^ “九州新幹線工事で水枯れ 代替井戸で水田へ送水、久々の田植えに喜び”. 毎日新聞. 2020年7月10日閲覧。
- ^ トンネルでは基準の10倍超 - 東大など、高速道路上の二酸化窒素濃度を調査(2012年1月13日マイナビニュース)
- ^ 「長いトンネル、外気は禁物…NO2基準の50倍」『読売新聞』2012年1月14日。 オリジナルの2012年1月23日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 「河口湖・新倉掘抜史跡館」山梨新報社公式HP
- ^ 「河口湖新倉掘抜史跡館」河口湖net公式HP
- ^ 「市指定史跡・市指定名勝」富士吉田市公式HP
- ^ 『東北新幹線工事誌 黒川・有壁間』(日本国有鉄道仙台新幹線工事局編)及び『上越新幹線工事誌 大宮・水上間』(日本鉄道建設公団東京新幹線建設局編)による
- ^ 快適で安全な地下鉄を目指して(営団地下鉄ホームページ)(インターネットアーカイブ・2003年時点の版)
- ^ 浅井建爾 2001, pp. 234–235.
- ^ 例:旭川市・旭山動物園
- ^ 浅井建爾 2015, p. 192.
- ^ 下水処理場なんでも一番・その2_日本最初のトンネル式下水処理場
- ^ 産業遺産保存・活用事例集33_甲州市勝沼地域におけるワイン貯蔵庫・遊歩道としての活用
- ^ 「予防医療.com」・特集・キノコ多糖体
- ^ a b 社団法人交通工学研究会, ed. (2007), 道路交通技術必携2007, p. 116, ISBN ISBN 978-4-7676-7600-5 (PDF)
- ^ 品川線の秘密13 トンネルの換気方式 (PDF) - 東京SMOOTH(首都高速道路特設サイト)内
- ^ a b 浅井建爾 2001, p. 241.
- ^ a b c d e 浅井建爾 2015, p. v.
- ^ 月報KAJIMA 2001 October
- ^ ジオスター(株)
- ^ 浅井建爾 2001, p. 240.
- ^ 浅井建爾 2001, pp. 238–239.
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 188.
- ^ 浅井建爾 2015, p. vi.
- ^ 『南日本新聞』 2012年2月14日付 4面(新武岡トンネル貫通)
- ^ 鹿児島東西道路鹿児島IC~建部IC間が開通 - 鹿児島建設新聞、2013年9月28日付
- ^ a b “高速道路のトンネルで火災が発生した場合の対処とは?”. 日本自動車連盟. 2013年12月10日閲覧。
- ^ a b c d e ロム・インターナショナル(編) 2005, pp. 95–96.
- ^ 小﨑美希、原直也、望月悦子、鈴木広隆、秋月有紀『建築光環境工学―その基礎から応用まで―』理工図書株式会社、2018、123-124頁。
- ^ 一例として「トンネル工事で女性を立入禁止」『日経コンストラクション』2001年9月5日 。
- ^ 圧巻のスケールと技術力、世界の巨大トンネル10選 CNN(2017年3月25日)2017年5月14日閲覧
トンネルと同じ種類の言葉
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