トヨタ・ランドクルーザー
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80系(1989年 - 1997年)
トヨタ・ランドクルーザー FJ80G/FZJ80G/HZJ81V/HDJ81V型 | |
---|---|
80系前期型・USモデル | |
80系バンGX 観音開きバックドア型 | |
ボディ | |
乗車定員 | 5 - 8名 |
ボディタイプ | 5ドアSUV |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 |
フルタイム4WD式 (一部バングレードはパートタイム4WD式) |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン 3F-E(1990 - 1992) 1FZ-FE(1992 - 1997) ディーゼル 1HZ(1990 - 1997) 1HD-T(1990 - 1995) 1HD-FT(1995 - 1997) |
最高出力 |
155 ps/4,200 rpm (3F-E) 215 ps/4,600 rpm (1FZ-FE) 135 ps/4,000 rpm (1HZ) 165 ps/3,600 rpm (1HD-T) 170 ps/3,600 rpm (1HD-FT) |
最大トルク |
29.5 kg·m/2,600 rpm (3F-E) 38.0 kg·m/3,200 rpm (1FZ-FE) 28.5 kg·m/2,200 rpm (1HZ) 37.0 kg·m/2,000 rpm (1HD-T) 38.7 kg·m/2,500 rpm (1HD-FT) |
変速機 | 5MT/4AT |
サスペンション | |
前 | 3リンクコイルリジット式 |
後 | 5リンクコイルリジット式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 3,129 mm |
全長 | 5,533 mm |
全幅 | 1,830〜1,930 mm |
全高 | 1,860 mm |
車両重量 |
2,230 kg(ワゴン) 2,270 kg(バン) |
その他 | |
データモデル |
ワゴン VXリミテッド バン VXリミテッド EGR装着車 |
ボディサイズが60系よりも一回り大きくなり、よりメインマーケットの北米、中東、オーストラリアに向けたモデルとなる。
80系は55型以来のトラック然とした成り立ちから、内外装の質感向上と装備の充実により、高級スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)へと性格が変化した最初のモデルであると言える。しかし、従来同様の強靭なラダーフレームと前後リジッドアクスルという構成を維持し、さらに、サスペンションスプリングがリーフスプリングを凌ぐ乗り心地と長大なストロークを持つコイルスプリングとなったため、オンロードでの快適性と操縦安定性が大きく向上し、オフロードにおいても従来型を超える高い走破性を持つこととなった。
- 日本国内では、ワゴンがガソリンエンジン、バンはディーゼルエンジンを搭載していた。ディーゼルエンジンの1HZ型は初期のベーシックグレードであるSTDやGXに搭載、後期のGXと上級グレードのVXとVXリミテッドにはターボ付き直噴式の1HD-T型(1990年 - 1995年)、1HD-FT型(1995年 - 1997年)が搭載された。
- トランスミッション
- 日本国内を含め、他の仕向地向けのランドクルーザー80系に搭載されている4速ATは、ガソリン、ディーゼル共にライトトラック用のアイシン精機(現:アイシン)製A442F型であるが、ガソリンエンジンのみの北米向けは乗用車系のアイシンAW(現:アイシン)製A343F型を採用。
アイシン精機(現:アイシン)製A442F型に比べ、アイシンAW(現:アイシン)製A343F型は許容トルクや耐久性の面では下回るが、変速ショックや騒音が少なく、重量も40 kg程度軽い[注 19]。
- ドライブトレイン
- 60系のパートタイム方式から、デフロック付のベベルギア式センターデフを持つフルタイム方式へと変更、ただしバンの一部グレード(STD、GX)はパートタイム4WDである。
従来のトランスファーは新型車解説書にも型式に関する記載はなかったが、80系では、フルタイム4WDがフルタイム式HF2A型トランスファーに、ABS装着車にはABSの動作を制限しないよう、ビスカスカップリングLSDが追加されたHF2AV型(Vはビスカスカップリング付きを表す)と記載されるようになった。このトランスファーは2速(Hi 1.000、Lo 2.488)の副変速機も兼ねており、どちらも1輪への過大なトルクの集中を防ぐため、ローレンジではセンターデフが強制的に直結となる。
また、60系や70系同様、オプションで前後アクスルデフのロックも選択可能で、操作・作動も60系のワイヤー式から電動式へ変更された。
- サスペンション
- 前後共にコイルスプリングを採用したリンク式リジッドアクスルとなった。ランクルでは70ライト系で初めて採用された方式であるが、ステーションワゴンへの採用は初となった。
- 日本国内向けは8人乗りのワゴンと5人乗りのバンが用意されており、グレードには下からパートタイム式4WDの「STD」、「GX」、そしてフルタイム4WDを採用した「VX」、「VXリミテッド」がある。モデルライフを通じて常に存在したグレードはVXとVXリミテッドで、STDは1989年 - 1993年、GXは1989年 - 1998年に販売。上位2グレードはランクルの新世代フラッグシップとして上質なインテリアや高級装備が標準またはオプションで用意され、下位2グレードは細身大径タイヤでオーバーフェンダー非装着となっている(なお、GXについては後期型(1995年 - 1997年)のワゴン及びバンのディーゼルターボに装着されていた)。バックドアは、STDとGXが左右非対称の観音開き、VXとVXリミテッドが上下開きを採用した。
- 歴史
- 1989年(平成元年)10月
- 東京モーターショーでランドクルーザー70ライト系ワゴン(後のランドクルーザープラド)の4ドアセミロングと共に、80系が初披露される。
- 1989年(平成元年)12月
- 60系の後継車として80系を発表。
- 当初80系への発売は1989年(平成元年)10月を予定していたが、80系は新機構満載でトヨタとアラコ共に未経験の部分が多く、その解決に多くの時間を要したことで一旦12月に延期される。しかし、60系の駆け込み需要を生産工場が対応しきれず、80系の生産立ち上がりは遅れに遅れ、最終的に1990年(平成2年)1月までずれ込んだ。[注 20]デビュー時はSTDを除き全車にムーンルーフを標準装備していた。ボディカラーは、「ホワイト(045)」「ダークブルーイッシュグレーメタリック(183)」「レッドマイカ(3H4)」「ライトベージュメタリック(4K1)」に加え、「アドベンチャーロードトーニング(20R)」と呼ばれる上半シルバー(181)・下部レッドマイカのツートーンカラー(VXリミテッドにオプション)の計5色を設定。STDは、タコメーターなし、ボディーカラーが「ホワイト」(#045)のみ、トリムがグレーのビニールレザーのみであった。
- 1991年(平成3年)8月
- 安全対策のため後席シートベルトを3点式に変更。エアコン、ラジアルタイヤを全車標準装備とし、フロントワイパーにインターバル調整機能を追加。さらに4スピーカーを備えたオーディオを一部グレードに採用した。
- 1992年(平成4年)8月
- マイナーチェンジを受けて中期型に。外観面ではワイドボディ車のアルミホイールのデザインが変更。ガソリンエンジンを4.0 Lの3F-Eから4.5 Lの1FZ-FEに変更。直6は変わらず、動弁機構を12バルブOHVから24バルブDOHCとして高速域の性能が大幅にアップ。組み合わされるATは電子制御化され、経済性も向上。サスペンションはややコシが強くなると同時に車高がわずかに下がった。安全面ではサイドドアビーム、フロントアンダーミラーを全車標準装備とし、4輪ABSをフルタイム4WDのみオプション設定。ボディカラーに「ダークグリーンマイカ」を追加。エアコンの冷媒は環境対策品(代替フロンのHFC-134a)に変更。
- 1993年(平成5年)5月
- ワゴンにGXを追加。バンSTDを廃止し、バンGXはバックドアを上下開き式から観音開き式に変更。VXリミテッドにオプション設定のツートーンボディーカラーは「アドベンチャーロードトーニング」から「フィールドランナートーニング」と呼ばれるシルバーとガンメタリックのツートーンカラーに変更された。また、マッドフラップの「LAND CRUISER」のホワイトレターは廃止された。
- 1994年(平成6年)5月
- ランドクルーザー生産累計250万台達成を記念して特別仕様車「メモリアルパッケージ」を設定。専用ボディカラーやアルミ製ルーフレール、インテリアは専用エクセーヌ表皮シートを採用。
- 1994年(平成6年)8月
- VXリミテッドをベースに、特別仕様車「Gパッケージ」を設定。専用ボディカラー「アーバンナイト・トーニング」、カラードバンパー、カラードディスクホイール、フロントフードエンブレムなどを特別装備。
- 1995年(平成7年)1月
- マイナーチェンジを受けて後期型に。ディーゼルエンジンの1HD-Tを改良型の1HD-FTに変更、当時の排気ガス規制強化に対応するため、1HD-T型をシングルカムのまま1気筒あたりの吸排気バルブを4バルブ化し、出力向上と燃焼効率を改善。また、EGRの採用によって排出ガス中のNOxを低減した。外装はフロントグリルのデザインを変更し、エンブレムを「TOYOTA」からオーバル形の「トヨタCI」マークに変更、内装ではグランドピアノと形容されたインパネのデザインが簡素化され、同時にシートの生地やデザインも変更、運転席エアバッグをオプション設定。ムーンルーフは引き続きVXリミテッドとVXに標準装備される。ボディカラーは設定が大幅に拡大され「ホワイト」、「ダークグリーンマイカ」、「ダークブルーマイカメタリック」、「グレーメタリックオパール」、「レッドマイカメタリック」、「フラクセンマイカメタリック」、「マウンテンミストトーニング」と呼ばれるダークグリーンとガンメタのツートンカラー、「モーニングミストトーニング」と呼ばれるウォームグレーパールマイカとガンメタのツートンカラーの計8色がこのマイナーチェンジ時に設定された。
- このマイナーチェンジの際、テレビ及びラジオコマーシャルが放映された(CMソングは白鳥英美子が担当、使用車両はバンVXリミテッド)。
- 1996年(平成8年)
- 80系をベースにフロントグリル、ヘッドランプ、フロントバンパー、アロイホイールを専用のデザインとし、本革シートに木目パネルや高品位の塗装などで、より上質な仕上げとしたレクサス初のプレミアムSUV LX450として主に北米で発売された。
- エンジンは直列6気筒 4,500 ccの1FZ-FE型、トランスミッションは乗用車系のアイシンAW(現:アイシン)製A343F型・4速ATで、北米向けランドクルーザー80系と同様。駆動方式はセンターデフ式のフルタイムAWDのみ。なお、背面スペアタイヤの設定はない。
- 1996年(平成8年)8月
- バンGXにディーゼルターボを追加し、ワゴンGXはバンGXディーゼルターボと共に275/70R16タイヤとオーバーフェンダーを装備したワイドボディに変更される。更に衝突安全性の向上を目指して全車に前席エアバッグと4輪ABS(フルタイム4WDのみ)を標準装備。
- 1997年(平成9年)12月
- 高い人気を維持したまま販売が終了し、100系へとバトンタッチされた。
- 次世代の100系は前輪が独立懸架になったこともあり[注 21]、オフロード走行を重視してあえて80系に乗り続けるユーザーも少なくなかった。バンではキャンピングカーに改造された車も見られ、メーカー純正のキャンピングカー仕様車「アクティブヴァケーション」も設定されていた。
- オーストラリアでは、地元においてアトラクションツアー用に改造された、荷物室を窓1つ分延ばし、後ろの車軸を2軸とした、6輪車が存在した(後後軸にはデフは装備されていない)。
注釈
- ^ トヨタ自身もWeb広告に「ランクルなら辿り着ける世界がある。(2014 - 15年)」、「ランクル史上最高傑作(プラド、2016年)」というキャッチコピーを使用しており、半ば公式略称の様相を呈している。
- ^ 1955年(昭和30年)1月登場・命名の「クラウン」の68年11か月、1957年(昭和32年)4月登場・命名の「日産・スカイライン(←プリンス・スカイライン)」の65年7か月よりも古い。
- ^ 主に業務用途という表現は、ピックアップトラックを有すること、及び、バンタイプのバックドアに上下開きが存在しないことをその理由とする。また、70ヘビー系、70ライト系という表現は、70プラドが発表された1990年発行のトヨタ新型車解説書の表記に基づく。
- ^ 消防ポンプ車の架装ベースとなる、ロングホイールベースのキャブシャーシにはガソリンエンジン車(3F型エンジン搭載のFJ75)が設定されていた時期がある。
- ^ 準戦時型として1942年(昭和17年)から生産されていたKB型やLB型トラックの資材をさらに切り詰めた設計で、車体には木材が多用され、前照灯も途中から一つに減らされた。
- ^ 同年11月から1944年(昭和19年)8月までに198台を生産。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン。排気量 3,386 cc 最高出力 85 hp/3,200 rpm 最大トルク 22.0 kgm/1,600 rpm。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン 3,878 cc 105 PS/3,200 rpm・27.0 kgm/2,000 rpm(初期)、125 PS/3,600 rpm・29.0 kgm/2,000 rpm(後期)
- ^ ただし、日本国内向けにおいては、2002年(平成14年)以降、排出ガス規制の強化に伴ってガソリンエンジン車が販売の主軸となり、70系は国内販売を一旦終了、200系の日本国内向け、期間限定で国内販売が復活した70系にもディーゼルエンジンは設定されていない。
- ^ この変更は日本国内向けのBJ60型も同様で、型式がK-BJ60V-Kから、4速車がN-BJ61V-K、5速車(GX)がN-BJ61V-Mとなった。
- ^ 1967年から1980年まで生産された二代目FJ45と同じ、ホイールベース2,950 mmのモデル。
- ^ 乗用車として販売された仕向地では最初から上下開きの設定があり、北米は上下開きだけで観音開きの設定は無かった。
- ^ 日本国外向けには、ライトブルーメタリックの設定があった。
- ^ 車両総重量3.5トン以下の小型貨物自動車及び乗用自動車等に対し「追突時突入防止装置」の装着が必要。
- ^ シフト操作時における急発進や急加速を抑制して衝突時の被害軽減をサポートする機能(トランスファーギア位置がL4以外で且つ、TRCがONの時に作動)
- ^ 「AX」は200系で初設定された乗用最上級グレードで、70ヘビー系貨物登録時代のグレードは、「STD」・「LX」・「ZX」の3種。
- ^ ただし、L型エンジンはこの時点でハイエース バン・トラック、タウンエース バン・トラック、ダイナ/トヨエースなどトヨタの商用車に幅広く使われている。トヨタのワンボックスバンやトラックは建設関連の業者に多用されたため、特に4WDモデルはSUVほどではないものの、充分な頑丈さとある程度の不整地走破能力が求められた。
- ^ 78はヘビー系ロング、79はヘビー系スーパーロングなど、ホイールベースの異なる車型との型式重複を起こしている。
- ^ A343Fは、乗用車的な使われ方をし、走行距離に比して発進・停止頻度の少ない北米の交通事情にマッチしたもので、トヨタ・タンドラ/セコイアとも共通で、他の米国製フルサイズライトトラックやSUVのATの仕様も大同小異であり、耐久性に遜色はない。これに対してA442Fは、長距離のオフロード走行や業務用途、架装による車両総重量の増加をも視野に入れた設計である。
- ^ このため、60系のパーツリストでは生産終期が「90-01」となっている。
- ^ オーストラリアなど、独立懸架化を不安視するユーザー層を無視できない一部の市場では、エンジンや足回りを80系のままとした「105型」が併売された。
- ^ 日本国内でも200系へのディーゼルエンジンの導入を熱望する声は多いものの、平成22年排出ガス規制への対策コストの関係から見送られている。
- ^ 公式サイト上にも発売日以降に注文した場合の納期が1年以上となる見込みであることが記載されている[44]。
- ^ イグニッションがOFFの状態でクルマから降車するときは作動しない。
- ^ なお、他の「GR SPORT」グレードの車種とは異なり、リア以外は「GR SPORT」エンブレムではなく「GR」エンブレムが装着されている。
- ^ JBLプレミアムサウンドシステム(14スピーカー/JBL専用12chアンプ)も同時に装備される。
出典
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- 1 トヨタ・ランドクルーザーとは
- 2 トヨタ・ランドクルーザーの概要
- 3 概要
- 4 前史
- 5 BJ・FJ型(1951年 - 1955年)
- 6 20系(1955年 - 1960年)
- 7 40系(1960年 - 1984年)
- 8 55、56型(1967年 - 1980年)
- 9 60系(1980年 - 1990年)
- 10 70系(1984年 - 2004年、2014年 - 2015年、2023年 -)
- 11 80系(1989年 - 1997年)
- 12 100系(1998年 - 2007年)
- 13 200系(2007年 - 2021年)
- 14 300系(2021年 - )
- 15 250系(2024年 - 予定)
- 16 備考
- 17 脚注
固有名詞の分類
- トヨタ・ランドクルーザーのページへのリンク