デュアルパーパス デュアルパーパスの概要

デュアルパーパス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/09 07:18 UTC 版)

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ホンダ・CRF1000 アフリカツイン

オフロードバイク」や「オン・オフモデル」または「オフロードタイプ」などと呼ばれることもあるが、公道を走るための保安基準を満たしていないオフロード専用の車種、つまりモトクロッサーエンデューロレーサーなどとは区別してデュアルパーパスと呼ばれる。

概要

「デュアルパーパス」という言葉は、英語で「2つの用途」といった意味で、この場合はオフロードとオンロードの2つの用途を指す[1]。この場合の「オフロード」は不整地や未舗装路、公道ではない場所を指し、「オンロード」は舗装路公道を指す。日本国外では、「dual-sport」や「Trail」などとも呼ばれている。

公道の舗装化が進んでおらず、オートバイの種類や市場の細分化もされていなかった頃は、オフロード専用か公道走行可能かの区別なく「スクランブラー」と呼ばれていた時代があった。その後各メーカーから専用設計のオフロード車が発売されるようになると、スクランブラーはロードモデルの1カスタムジャンルとして生き延び、2010年代[注釈 1]から自社の遺産を復刻するかのようなモデルにスクランブラーの名が再び商標として使われ始めている[2]

オフロードでの走行性能や車体の特徴は一様ではなく、オフロードでの車体特性とオンロードでの車体特性のどちらに重きを置くかの匙加減によって多様性に富み、さらに細分化して分類されることも多い。同様にデュアルパーパス車用タイヤはユーザーの用途に応じて選択できるようにトレッドパターンの種類が豊富で、未舗装路でのグリップ性能を重視したブロックパターンタイヤからオンロードでの性能を重視した製品まで数種類のものがある。

国内では舗装路の長距離ツーリングに向いたアドベンチャータイプ(後述)が堅調な売り上げを示す一方で、それ以外のオフロード競技用バイクに近い形状のデュアルパーパスはほぼ絶滅状態にある。2023年現在、後者で国内正規販売が行われている国産車はホンダ・CRF250Lのみとなっている。むしろ純競技用の方が人気が高く、カワサキ、ヤマハに至っては10種類以上のオフロード競技バイクを用意している。

主な特徴

オンロード走行を主眼に設計された車種に比べると、軽量で細身の車体で、単気筒ないしは2気筒のエンジンを搭載するものが多い。タイヤは細く径が大きいものが装着され、サスペンションは柔らかくストロークが長いが、オフロード指向の強い車種ほどその傾向が強くなる。最低地上高やシート(座席)の高さが高い車種が多い。最高出力よりも中低速域での過渡特性を重視して、オフロードで扱いやすい出力特性のエンジンを搭載している。そのため、横風に弱く煽られやすいといった特徴がある。総じて、オンロード用の車種に比べると、オンロードでの性能や快適性は劣り、オフロードでの走行性能は優れていて、オフロードで取り回しやすい車種は市街地での走行で扱いやすい。ただし、程度は比較する車種によって異なる。

一方、モトクロッサーなどのオフロード専用の車種と比較すると、メンテナンスフリー性や公道での運用に耐える耐久性、あるいは荷物の積載や二人乗りに耐えられる強度を持たせた設計となっていて車重がやや重い。さらに保安部品に適合した灯火類や消音効果の高いマフラーが装備されている。先進国では公道走行が認可される条件として排出ガス値に規制があるため、オフロード専用の車種に比べるとエンジンの出力がやや抑えられる。シート高はモトクロッサーほど高くなく、長時間の着座でもオフロード専用車種よりは快適な構造となっている。オフロード専用タイヤはブロックが高く柔らかいため公道での使用が危険で認可されていないのに対し、デュアルパーパス用のタイヤはオフロードでの性能を犠牲にして舗装路でも十分な安全性が確保されている。サスペンションステアリングの特性は衝撃吸収性能や旋回性能よりも、高速安定性や直進安定性などを重視した設定となっている。また、市街地から高速道路まで幅広い速度域に対応するため、トランスミッションはワイドレシオになっている。総じて、オフロード専用車と比べると、公道での日常的な利用にも対応できる一方で、オフロードでの走行性能が多少犠牲になっている。

なお、夜間や一部に公道を利用したコースを走行するエンデューロレース用やラリーレイド用の競技車両のように、オフロード専用車種の中には部分的に保安基準に適合したものもあるが、デュアルパーパスに分類されないのが一般的である。




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