タミル語 他言語からの影響

タミル語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 16:44 UTC 版)

他言語からの影響

タミル語にはきわめて近縁のマラヤーラム語という言語があるが、両者は同一の言語の方言の関係にあるとは必ずしも言いがたい。それはマラヤーラム語北インドサンスクリット語プラークリットヒンドゥスターニー語をはじめとするインド・アーリア語族の言語から語彙文法面での多大な影響を受けており、その他アラビア語ペルシア語ポルトガル語英語などの語彙を借用しているため、両者の意思疎通が容易でないからである。

但しタミル語はドラヴィダ語族の諸語の中では最も上記の言語からの影響が少ない部類に入るが、サンスクリットヒンドゥースターニー語などからの借用語は少なからずある。

日本語クレオールタミル語説

国語学者大野晋は、日本語の原型がドラヴィダ語族の言語の影響を大きく受けて形成されたとする説を唱えている。ただし、この説には系統論の立場に立つ言語学者からの懐疑的な意見が多く、同説を支持するドラヴィダ語研究者は少ない。この原因として、丸谷才一は現代日本語とタミル語を照らし合わせているからだとし、日本語の古語の専門的な知識を持つドラヴィダ語研究者がいないことを指摘している。

タミル映画と日本での認知

日本でも、1990年代のアジア映画ブームの中でインド映画が紹介された。その中でも特に『ムトゥ 踊るマハラジャ』などのタミル映画作品がピックアップされたことなどから、昨今ではタミル語を学ぶ日本人も増えてきている。

その他

タミル語は7000万人もの話者を持つ言語であり、インド国内のみならず世界的に見ても大言語である(主要先進国各国の人口は1億人に満たない場合が多く、数千万という話者人口はイタリア語ベトナム語朝鮮語母語話者の総数に匹敵する)。

南アジア東南アジアのいくつかの国で公用語にも採用され、豊富な古典文語も持つ。これだけの影響力のある言語でありながら、日本では本格的なタミル語文法学習の書籍や辞書、音声教材などがほとんど出ていない(小さい書籍が数点出版されているにとどまる)。かなりマイナーな言語も扱う大手の語学専門出版社でも、タミル語の学習書はあまり出版されていない[2]。その一方で、タミル語と日本語の関連性を扱った書籍は多数出版されている。そのような現状から、タミル語学習の書籍を出版すると、批判の多い仮説を扱った書籍と混同されるのを恐れて、大手の出版社はタミル語の学習書を出版するのをためらっているのではないかといった都市伝説さえ生まれた。しかし実は、タミル語を学習する書籍は英語などの他言語で出版された物でも決して豊富とは言いがたい。

脚注


  1. ^ a b c f と ʂ は借用語にのみ表れ、固有語の音で置き換えられることが多い
  2. ^ a b sɕ は方言によっては t͡ɕ の異音である
  3. ^ a b xɦ は方言によっては h の異音である
  1. ^ Keane, Elinor (2004). “Tamil”. Journal of the International Phonetic Association 34 (1): 111–116. 
  2. ^ マイナーな言語を扱う出版社の一例とされる白水社でも、2012年12月刊行の『ニューエクスプレス タミル語』が唯一である(白水社公式ホームページより。また、大学書林においてはタミル語関連書籍は一点も刊行されていない(大学書林公式ホームページより)。


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