セイバーガンダム セイバーガンダムの概要

セイバーガンダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 01:16 UTC 版)

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

製作エピソード

デザインを担当した大河原邦男は雑誌記事において、「高機動な機体であるという点以外は細かい指定が無かったため、スピード感のあるデザインを意識し、アスランの搭乗する機体であるため、ジャスティスの流れを汲むデザインを行った」と語っている[1]

設定解説

諸元
セイバーガンダム
SAVIOUR GUNDAM
型式番号 ZGMF-X23S
全高 18.61m
重量 77.13t
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲[2]
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載[2]
武装 MMI-GAU25A 20mmCIWS×2
MA-BAR70 高エネルギービームライフル
MA-M941 ヴァジュラビームサーベル×2
M106 アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲×2
MA-7B スーパーフォルティスビーム砲×2
MMI-GAU2 ピクウス 76mm機関砲
MMI-RD11 空力防盾
搭乗者 アスラン・ザラ

ユニウス条約締結後にザフトが開発した試作MS群「セカンドステージシリーズ(セカンドシリーズ)」の1機。型式番号の「X」は実験機、「2」は航空機系統、「3」は開発ナンバー、「S」は「Second Stage(セカンドステージ)」を示す[3]。頭部形状はGAT-Xシリーズのイージスに類似する[4]

他のセカンドステージシリーズ機同様にフリーダムジャスティスの基本性能を引き継ぎ、CE73年におけるザフト主力量産MSであるザクウォーリアを凌駕する[4]。機動性重視の機体であり、MS形態で高い空戦能力を発揮するだけでなく、双胴の戦闘機モビルアーマー (MA) への変形機構を持つことで加速性能と巡航速度を強化することも可能としている[4]大気圏内外を問わない優れた機動性を持ち、一撃離脱戦法から対MS戦・対要塞戦まで行える高い汎用性も有する[4]。複数敵との交戦から単体戦までをカバーしており、可変機構を生かして戦いに緩急をつけ、敵を翻弄する[5]。また、パワーエクステンダー[2]デュートリオンビーム送電システム[6]を採用しており、バッテリー駆動機でありながらプラントから地上基地まで無補給の巡行も可能としている[7]

セカンドステージシリーズにおいては初期に開発された機体であるが、その際のトラブルによって完成は遅延していた。他の機体に比べて特殊兵装は少ないものの、本体性能が高く操縦者の技量が要求される機体である[5]。なお、カオスアビスガイアとは異なる開発手順を踏んでいるため、インパルスの換装装備として派生する構想は存在しない[8]

武装

MMI-GAU25A 20mmCIWS
頭部内蔵の対空機関砲。MA時は砲口がシールドで覆われるため使用不能。
MA-BAR70 高エネルギービームライフル
MA(マティウス・アーセナリー)社製のビームライフル。フリーダムやジャスティスに装備されたMA-M20ルプスをベースとしている[5][9]。他のセカンドシリーズ用ライフルと共通の機構を持つ。セカンドステージシリーズのビームライフルはこの「MA-BAR70」をベースに各々の運用形態に適したアレンジが加えられている[5]。MA時は左肩アーマーに固定される。MS形態での非使用時はリアスカートにマウントする[4]
MA-M941 ヴァジュラビームサーベル
アビスを除くセカンドシリーズ共通装備。インファイトも得意とするセイバーの主力兵装の一つである[5]。両肩アーマーに格納される。
M106 アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲
背部に接続された2門の大出力ビーム砲。フリーダムに装備された「M100 バラエーナ」の改良型で、エネルギー変換効率の向上により核動力機と遜色ない威力を持つ[5]。MS形態での使用に際しては、アニメーション作中(第16話~)では両脇から発射する描写が見られるが、玩具商品のスチル写真においては両肩に乗せたものもみられた[6]
アムフォルタスとはリヒャルト・ワーグナーの楽劇『パルジファル』に登場する王の名を意味する。
MA-7B スーパーフォルティスビーム砲
アムフォルタス砲身と同軸上に設置されたビーム砲。ジャスティスの「MA-4B フォルティス」をバッテリー動力用に改良した装備で、出力・連射性ともに原型モデルと遜色のない性能を有する[5]
また、ただ攻撃に使用するだけでなく、まず本装備を射撃してターゲットの照準を確認し、アムフォルタス発射時の命中率アップを図る運用も可能[10]
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲
ZAFTガンダム目の機体やゲイツと同型の対空機関砲。MA時の機首部分(MS時の頭部後方ブロック)に2門を内蔵する。
MMI-RD11 空力防盾
左腕に装備される対ビームコーティングシールド。表面には補助翼を備える[4]。MA時は機体下面に装着され、死角からの攻撃に対応するとともに、整流効果を担っている[5]。この装備が破壊された場合は空気抵抗の観点からMA形態への変形は不可となる[11]

劇中での活躍

プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの計らいにより、ザフトに復隊したアスラン・ザラに与えられ、プラント本国より発進する。ミネルバが寄港しているオーブへ向かうが、ミネルバがすでに退去していたことを知らず、オーブに接近した際、迎撃に出たオーブ軍のMSムラサメ2機と交戦となり、これを一蹴した。

インド洋での戦闘において、ファントムペインのスティング・オークレーが搭乗するカオスと交戦になり、優勢気味に戦う。シンが搭乗するインパルスの危機を救い、カオス及びネオ・ロアノークウィンダムを抑えつつ数機のウィンダムを撃墜した。ガルナハンでの戦闘では、地球連合軍のMAゲルズゲーを撃破し、ローエングリンゲート突破に貢献している。ダーダネルス海峡での戦闘では、カオスと再戦するが、戦場に割って入ったキラ・ヤマトフリーダムガンダムの妨害により撃破には至らなかった。

クレタ島沖の戦闘において、多数の地球連合軍のMSと交戦し、スティングのカオスと再戦する。その後、再び戦場に割って入ったキラのフリーダムと交戦。キラの口からカガリの苦悩をぶつけられたアスランは少なからず動揺を見せ、直後の白兵戦において碌に切り結ぶことも出来ずにフリーダムの二刀流のビームサーベルに五体を切り刻まれるほど破壊され、ミネルバに回収された胴体部が艦内に永久保管される描写があるものの修復は不可能な状態にあった。

プロトセイバー

諸元
プロトセイバー
PROTO SAVIOUR
型式番号 ZGMF-YX21R
RGX-04(連合側ナンバー)
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲[2]
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載[2]
武装 MMI-GAU25A 20mmCIWS×2
MA-BAR70 高エネルギービームライフル
MA-M941 ヴァジュラビームサーベル×2
M106 アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲×2
MA-7B スーパーフォルティスビーム砲×2
MMI-GAU2 ピクウス 76mm機関砲
MMI-RD11 空力防盾
搭乗者 イルド・ジョラール
プロトセイバー+11
PROTO SAVIOUR+11
型式番号 ZGMF-YX21R/RGX-04+11
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載[2]
核エンジン(リジェネレイト・コアユニット部)

重力下での可変、機動試験を目的に製造されたセイバーのプロトタイプ機。型式番号、構造や外観、装備はセイバーと同一だが、VPS装甲の起動色はダークグレー地に飛行試験及び変形時の状態の計測用に追加された白ラインというパターン。オーブが開発に協力しており、地上に降ろされている[12]。廃棄予定の実験機であるため信頼性はあまり考慮されていないが、過酷な飛行試験に耐え、ほぼ同構造でセイバーが製作された。アスランの機体はこの機体のデータを基にプラント本国で組み上げられた物であった。

開戦前に地球連合軍特務情報局の手に渡り、新たに「RGX-04」の型式番号が与えられる。マティスの指示により、テスタメントと同様の量子コンピュータウイルス送信機能が追加されている。エースパイロット養成機関「サーカス」出身の戦闘用コーディネイター、イルド・ジョラールが搭乗する。試験時にあった白いラインが残されているのはカイト・マディガンの真似をしたいイルドの意向によるもの[11]

護送中のベルナデット・ルルーを救うために、リーカ・シェダーザクファントムモーガン・シュバリエエグザスと交戦する。

プロトセイバー+11

地球連合軍が回収したリジェネレイトのコア・ユニットと合体した形態。核エンジンの大出力とコア・ユニットの大推力を付加した高機動形態。機体の稼働時間も実質的に半永久的となり、PSダウンも発生しない。ただし、核エンジンを搭載しているのはコア・ユニットの側であり分離状態で戦闘を行った場合、プロトセイバー側はその間バッテリー駆動に切り替わりいずれはエネルギーの補給が必要になる。 この合体のためにプロトセイバー側にも専用ジョイントが増設され、取り付けの際は背部スタビライザーを取り外す。コア・ユニットはウイルスにより遠隔操作が可能。


  1. ^ 『月刊ガンダムエース』2005年3月号、角川書店、15頁。
  2. ^ a b c d e f 『マスターグレード 1/100 ストライクルージュ オオトリ装備 Ver.RM』バンダイ、2013年9月発売、組立説明書。
  3. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル メカ編VOL.1』講談社、2005年2月、12頁。(ISBN 978-4063671513)
  4. ^ a b c d e f 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、20-23頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  5. ^ a b c d e f g h 『1/100 セイバーガンダム』バンダイ、2006年10月発売、取扱説明書。
  6. ^ a b モビルスーツ・イン・アクション セイバーガンダム』バンダイ、2004年11月、付属データカード。
  7. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房、2006年5月、31頁。(ISBN 978-4812426876)
  8. ^ 『月刊ガンダムエース』2005年6月号、角川書店、366-367頁。
  9. ^ 『1/100 MG フォースインパルスガンダム』バンダイ、2008年5月発売、組立説明書。
  10. ^ a b c d e 『1/100 ヴァンセイバーガンダム』バンダイ、2009年11月発売、組立説明書。
  11. ^ a b 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY 下巻 絆を求める者』メディアワークス、2006年8月15日初版発行、134-135頁。(ISBN 978-4840234986)
  12. ^ 『機動戦士ガンダムSEEDアストレイアーカイブ 3D&設定資料集』メディアワークス、2009年11月、117頁。(ISBN 978-4048682404)
  13. ^ a b 『ガンダムの常識 モビルスーツ大百科 ガンダムSEED 連合・オーブ篇』双葉社、2011年11月、170-171頁。ISBN 978-4575303667


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