シュルレアリスム シュルレアリスム絵画の系譜

シュルレアリスム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/26 21:43 UTC 版)

シュルレアリスム絵画の系譜

運命の三女神 フランシスコ・デ・ゴヤ 1819-1823
Pablo de Valladolid ディエゴ・ベラスケス 1632-1635
快楽の園』地獄の部分 16世紀 ヒエロニムス・ボス
第五の封印 エル・グレコ 1608-1614
バベルの塔 Pieter Bruegel 1563

プラド美術館では、シュルレアリスム絵画と抽象主義絵画のルーツをベラスケスエル・グレコゴヤなど、スペインの宮廷画家に求めている。ベラスケスはすでに17世紀に、背景を大胆に省略した肖像画を数多く残している。肖像画の背景は肖像人物の地位や経済力を表す重要なアイテムで、画家の嗜好で省略できるものではない。背景の省略は当時のスペイン人の気質による一種の表現主義的な描画だが、当時の人々にとっては十分に超現実的な視覚表現であった。左のベラスケスによる肖像画では床と壁の境界まで省略され、人物はあたかも宙に浮かぶがの如くである。(フランスでこのような表現が見られるのは、19世紀末から始まるジャポニスム以降である。)

右のゴヤの絵は「運命の三女神」という伝統的な神話のモチーフによっている[4]が、それと説明しないと分からないほど伝統的な絵画表現からかけ離れた絵となっている。ぽっかりと宙に浮かぶ、さして美しくもない人物群の表現は、それまでの神話絵画と一線を画し、確かにシュルレアリスム的なインスピレーションを与える。これが描かれた年代は19世紀初頭で、パリではロココや新古典主義の流行が続いており、印象派など影も形も無い時代である。

シュルレアリスムの巨匠ダリ、抽象主義のピカソ、ミロも共にスペイン出身であり、スペイン絵画におけるこれらのシュルレアリスムと抽象主義の系譜は、フランスを中心とした写実主義印象派抽象画とは異なる流れとして捉えることができる。

もう一つのシュルレアリスムの源流としてフランドル、ドイツを中心とした流れがある。16世紀のベルギーの画家ヒエロニムス・ボスは、カトリックの説く天国や地獄を具象的に描いた。農民をユーモラスに描いたことで知られるピーテル・ブリューゲルらブリューゲル一族も、神話や死後の世界を具象的に描いた。これらは当然シュルレアリスムではないが、現実には無い光景を具象的に強調して描き出す画風は、同じゲルマン系の画家であるマグリットやポール・デルヴォーに色濃く見ることができる。

19世紀後半になると、アカデミズムへの反発運動として、パリを中心に従来の作画技法や画面構成を刷新した印象派が起こるが、その一方で古典的技法を継承しつつも新しいモチーフに挑む象徴主義新古典主義が生まれる。これらの画風がシュルレアリスムに影響したこと、あるいはシュルレアリスムそのもの、またあるいはその一部であったことは絵を見れば説明無用だろう。1924年のシュルレアリスム宣言は単にシュルレアリスム的表現の再発見をしたに過ぎない。写実主義から現代絵画の潮流の起点として印象派だけが強調されがちだが、シュルレアリスムの静かで力強い系譜を知れば、印象派が決してその中心ではないことが分かるだろう。

死の島(1883) Arnold Böcklin[1827–1901]
ベルリン美術館
眼=気球(1878) Odilon Redon[1840–1916]
ニューヨーク近代美術館



[ヘルプ]
  1. ^ フランス語発音: [sy(ʁ)ʁealism]
  2. ^ 英語発音:[səˈri(ə)lɪz(ə)m]
  3. ^ フランス語発音: [sy(ʁ)ʁealist]
  4. ^ プラド美術館鑑賞案内 ゴヤ(黒い絵) バレリヤ・ボザール


「シュルレアリスム」の続きの解説一覧





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「シュルレアリスム」の関連用語

シュルレアリスムのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング

画像から探す

SH-01F DRAGON QUEST

孀婦岩

台輪鳥居

バナー

坪内逍遥

日光国立公園

USBミニ端子

F4U





シュルレアリスムのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシュルレアリスム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2017 Weblio RSS