サンマ 人間との関わり

サンマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/23 05:23 UTC 版)

人間との関わり

食材

大根おろしが添えられた、サンマの塩焼き
七輪とサンマ
サンマの丸干し
焼きサンマとサンマの刺身
宮城県気仙沼直売所レストランにて2012年9月

秋のサンマは脂肪分が多く美味であり、特に塩焼きは日本の「秋の味覚」の代表とも呼ばれる。日本では、塩焼きにしてカボスや、スダチユズレモンライムなどの搾り汁やポン酢醤油などをかけ、大根おろしを添えて食べることが多い。サンマは餌を食べてから排出する時間が30分程度と短いため、内臓に独特のクセはあるがえぐみは少なく、塩焼きのはらわたを好んで食べる人も多い。日本各地でサンマ祭りが行われる(一例として「目黒のさんま#さんままつり」)。

蒲焼き缶詰は水産物缶詰のなかでも人気が高い。近年では刺身としても流通しており、脂の乗り切らない初秋が食べ頃とされ、他の青魚と同様に酢じめして食べる事もある。また、押し寿司としても利用される。

関西、南紀、熊野、志摩等、紀伊半島志摩半島の一部において「サイラ」と呼び(学名はここから取られた)、秋刀魚寿司や開きにして一夜干しにしたものを焼いて食べるのが一般的。志摩では天岩戸神饌の一つ。11月23日には岩戸の前でサンマを焼いて食べる。

伊豆や紀州、北陸などでは脂の落ちたサンマを丸干しに加工することもある。特にサンマの若魚を丸干しにしたものは「針子(ハリコ)」、鈴鹿ではカドと呼ぶ。

サンマには、血液の流れを良くするといわれるエイコサペンタエン酸が含まれており、脳梗塞心筋梗塞などの病気を予防する効果があるとされている。また、ドコサヘキサエン酸も豊富に含まれており、体内の悪玉コレステロールLDL)を減らす作用、細胞を活発化させ、頭の回転を良くする効果もあるとされている。

生のサンマの鮮度の見極めは

  • 尾を持ちサンマの頭を上に向けたとき、体が曲がらずにできるだけまっすぐに立つもの
  • 目が濁っていないもの
  • 口先がほんのり黄色いこと

などと言われている。おいしいサンマは口先だけでなく尾も黄色く、極まれに全身が黄色のサンマも獲れる。これらは高級魚として高値で取り引きされる。サンマが黄色くなる理由はいまだ解明されていない。

サンマの内臓には小さく赤いミミズのような虫が含まれていることがあるが、これはラジノリンクス (Rhadinorhynchus selkirki ) という名の寄生虫である。気味は悪いが、人体に寄生することはなく、無害である[13]。一方で、アニサキスが寄生している場合もあり、生食やそれに近い調理方法には注意が必要とする[14]

焼き魚として調理する場合、取り除くべき大きなを持たず、内臓やえらを取り出すことも少ないので包丁を必要とせずに扱いやすく、料理書で入門用鮮魚とされることがある。

沿岸漁業でサンマが獲れる地域が日本近海に限定されるため、サンマを食べる習慣があるのは日本とロシアのサハリンカムチャツカ半島周辺に限られていたが、近年[いつ?]では中国などでも和食ブームでサンマを出す日本食レストランが増え、人気が高まっている。ロシアでは焼いた物にスメタナをつけたり、生の切り身をマリネにするなどして食べる。初競りの際には1匹で万単位の価格が付くこともあり、この時だけ超高級魚の扱いを受けるという。

漁業

TAC制度(漁獲可能量制度)により資源量が調査され日本における漁獲量は管理されている[15]。日本付近の主漁場は根室沖 - 三陸沖 - 銚子沖である。日本におけるサンマ漁の漁期は9月から11月で、夏期にオホーツク海や北海道東方沖で成長した個体群は、9月頃から親潮とともに南下するが、30cm程度に成長し南下する群れを対象として流し網漁や光に集まる習性を利用する棒受け網漁によって行われる[7][6]。棒受け網漁は敷き網の一種で、一まとめに漁獲しようとする趣旨の漁法である。北海道道東地方で漁獲されるサンマの多くはこの漁法による(知事許可漁業)[16]。このほか、刺し網による漁業も行われている。また、産卵しようと流れ藻に入り込むサンマを手づかみで捕らえる漁が、日本の佐渡島北海道西岸沿海で行われている。

三陸沖から銚子沖での漁場は、親潮第一分枝の先端や三陸沖暖水塊に巻き込まれた細長い第二分枝、第三分枝の先端に形成される[9]

2006年(平成18年)の日本の陸揚げ上位漁港は以下の通り[17]。単位当たりの卸売価格は、シーズン初期(8月)の主要陸揚げ港である北海道道東の港で高く、三陸海岸沖に魚群が南下してくるシーズン中期以降の主要陸揚げ港である東北地方太平洋側諸港で安くなる傾向がある。ただし、魚群の南下スピードや漁期、市場の需要供給などにより、細かく魚価は変化している。

サンマは太平洋全域に生息するが、日本は主に排他的経済水域内で漁獲し、公海上では少ない(日本の2013年の漁獲量約15万7千トンのうち、公海で取ったのは約8千トン)。一方、近年[いつ?]では日本の排他的経済水域の外側公海でサンマ漁をする海外の船の急増が見られ、漁獲の大半は北太平洋の公海で、サンマの群れが日本付近に来遊する前に先取りする。中国、台湾、韓国の漁船は多いときには1つの漁場に50 - 60隻が集まり、日本では見られない1,000トン級の大型船も用いられている。最大の漁獲量を上げているのが台湾で総トン数およそ1,000トンという日本の一般的なサンマ漁船の50倍の大きさの船が台湾全体で90隻以上あるという。台湾の漁獲量はおよそ23万トン(2014年)に達している。

順位
漁港
都道府県
上場水揚量
t
卸売価格
/kg
1 根室漁港 北海道 56,226 91
2 女川漁港 宮城県 33,459 58
3 気仙沼漁港 宮城県 29,356 54
4 釧路漁港 北海道 28,438 79
5 厚岸漁港 北海道 26,200 76
6 大船渡漁港 岩手県 20,894 56
7 宮古漁港 岩手県 16,853 63
8 銚子漁港 千葉県 13,819 63
9 小名浜漁港 福島県 3,639 55
10 釜石漁港 岩手県 2,389 51
合計 197漁港計 238,176 70

飼育

生存したままでの捕獲が極めて難しく、また、養殖の需要もないため、飼育はほとんど行われていない。日本の福島県にあるアクアマリンふくしま において常設展示用飼育が行われていたが、震災により予備飼育施設「水生生物保全センター」が被災したことにより、2012年8月に展示を中止したが、2013年5月、同所にて展示が再開された[18]。上記の通り短命なのと、非常に臆病な魚でパニックをおこしやすいため、当初は1000匹いたのが2014年10月には30匹に減少している。過去にはしながわ水族館名古屋港水族館 でも展示されていたことがある。

釣り餌

イギリスでは、Blueyと呼ばれ、釣り餌として使われている。

マグロ延縄漁船では、冷凍サンマが餌に使われている。




[ヘルプ]
  1. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  3. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
  4. ^ 五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編
  5. ^ テレビ朝日・食彩の王国第50回
  6. ^ a b c d さんま”. 全国さんま漁業協会. 2013年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
  7. ^ a b サンマの回遊と漁場形成(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P304-305
  8. ^ a b 隠岐島近海におけるサンマCololabis saira (BREVOORT) の産卵についてI 1962年春期北上サンマの産卵について 日本水産学会誌 Vol.31 (1965) No.10 P799-803
  9. ^ a b c 為石日出生:サンマの回遊と漁場形成(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P304-305
  10. ^ 堀田秀之、小達和子:サンマの食餌構成とその摂餌行動に就いて 東北海区水産研究所研究報告 (7), 60-69, 1956-03
  11. ^ a b 夏季の中部北太平洋におけるサンマの成熟と日齢 日本水産学会誌 1996年 5月15日発行 62巻 3号p.361-369
  12. ^ 飼育下で観察されたサンマの産卵時間帯 水産増殖 Vol.57 (2009) No.2 p.339-340
  13. ^ ラジノリンクス (Rhadinorhynchus)”. 東京都福祉保健局. 2009年9月9日閲覧。
  14. ^ 食中毒アニサキス生の魚介類で猛威 毎日新聞(2017年5月8日)2017年5月9日閲覧
  15. ^ TAC設定に関する資料(水産政策審議会配布資料等) 水産庁
  16. ^ 漁具と漁法の現状と展望(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P307
  17. ^ 平成18年水産物流通統計年報(2008年12月11日公表)
  18. ^ アクアマリンふくしま生き物情報(2012年8月10日公表)


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