サンマ サンマの概要

サンマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/23 05:23 UTC 版)

サンマ
Sanma01.jpg
サンマ Cololabis saira
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 顎口上綱 Gnathostomata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ダツ目 Beloniformes
上科 : ダツ上科 Scomberesocoidea
: サンマ科 Scomberesocidae
: サンマ属 Cololabis
: サンマ C. saira
学名
Cololabis saira (Brevoort, 1856)
和名
サンマ
英名
Pacific saury

食材としても重宝されて、特に日本ではの味覚を代表する大衆魚である。

呼称

学名

さんま 皮つき、生[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,241 kJ (297 kcal)
0.1 g
23.6 g
飽和脂肪酸 4.06 g
一価不飽和脂肪酸 10.01 g
多価不飽和脂肪酸 4.39 g
17.6 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(2%)
16 μg
チアミン (B1)
(1%)
0.01 mg
リボフラビン (B2)
(23%)
0.27 mg
ナイアシン (B3)
(47%)
7.1 mg
(14%)
0.70 mg
ビタミンB6
(39%)
0.51 mg
葉酸 (B9)
(4%)
14 μg
ビタミンB12
(642%)
15.4 μg
ビタミンD
(99%)
14.9 μg
ビタミンE
(11%)
1.7 mg
ビタミンK
(1%)
1 μg
ミネラル
ナトリウム
(9%)
130 mg
カリウム
(4%)
190 mg
カルシウム
(3%)
26 mg
マグネシウム
(7%)
26 mg
リン
(24%)
170 mg
鉄分
(10%)
1.3 mg
亜鉛
(8%)
0.8 mg
セレン
(43%)
30 μg
他の成分
水分 57.7 g
コレステロール 65 mg
ビオチン(B7 7.1 µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。別名: さいら 廃棄部位: 頭部、内臓、骨、ひれ等(三枚下ろし) 
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
サンマ(生、100g中)の主な脂肪酸の種類[3][4]
項目 分量(g)
脂肪総量 24.6
脂肪酸総量 19
飽和脂肪酸 4.2
一価不飽和脂肪酸 10
多価不飽和脂肪酸 4.6
18:2(n-6)リノール酸 0.27
18:3(n-3)α-リノレン酸 0.21
20:4(n-6)アラキドン酸 0.096
20:5(n-3)エイコサペンタエン酸 (EPA) 0.21
22:6(n-3)ドコサヘキサエン酸 (DHA) 1.7

属名 Cololabis は、ギリシア語の「kolos(コロス、意:short、短い)」とラテン語「labia(ラビア、意:lip、)」を合成したもの。種小名 saira は、日本語での一古称であり紀伊半島方言名である「サイラ(佐伊羅魚)」に由来している。

各国語名

和名「サンマ」の由来については、2つの有力な説がある。「サ(狭、意:狭い、細い〉」に起源があるとして「細長い魚」を意する古称「サマナ(狭真魚)」が「サマ」 - 「サンマ」と変化したとする説が一つ、大群をなして泳ぐ習性を持つことから「大きな群れ」を意する「サワ(沢)」と「魚」を意する「マ」からなる「サワンマ」が語源となったという説が一つである。

サンマは古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サマナ(狭真魚〉」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされており、また、明治の文豪・夏目漱石は、1906年(明治39年)発表の『吾輩は猫である』の中でサンマを「三馬(サンマ)」と記している。これらに対して「秋刀魚」という漢字表記の登場は遅く、大正時代まで待たねばならない。現代では使用されるほとんど唯一の漢字表記となっている「秋刀魚」の由来は、秋にを迎えよく獲れることと、細い柳葉形で銀色に輝くその魚体がを連想させることにあり、「秋に獲れる刀のような形をした魚」との含意があると考えられている。1922年(大正10年)の佐藤春夫の詩『秋刀魚の歌』で、広くこの漢字が知れわたるようになった[5]。ただし、迪宮裕仁親王(後の昭和天皇)の幼少期のエピソードから、「秋刀魚」の表記は明治後期に流布していたとみなすこともできる。生後間もなく川村純義海軍中将の元に里子に出されていた親王は、川村邸では「アキガタナ」と呼ばれていたサンマを好んだという。現在[いつ?]では日本語のほか、中国語でも同じ漢字で記して「qiūdāoyú」と読まれている。

他に朝鮮語では「꽁치(kkongchi)」、ロシア語では「ロシア語: сайра(saira)」、英語では「Pacific saury」と称する。

生物的特徴

体は細長く、上下顎はくちばし状で下顎は上顎より突出した形状。背鰭の後方に6個程度、尻鰭の後方に7個の程度の小離鰭を有する。体の背部は暗青色、腹部は銀白色。胃が無く短く直行する腸が肛門に繋がる[6]。腸が短いため摂食した餌は、20分から30分程度の短時間で消化され体外に排出される。

が小さい上にはがれやすく、棒受け網で漁獲されたものは漁船から水揚げされる際にほとんどの鱗がはがれ落ちてしまうため、状況によっては水揚げの直前に自ら多くの鱗を呑み込んで内臓に溜める個体が少なくない(すなわち、内臓を食べようとして多くの鱗を含む場合があるのは、サンマが捕食した小魚の鱗ではなく、サンマ自らの鱗であるということ)。

分布

北太平洋に広く生息し、日本海を含む日本近海から、アメリカ大陸沿岸のアラスカおよびメキシコまでの海域に分布する。季節によって広い範囲を回遊する魚として知られるが回遊経路は十分に解明されていない[6]。かつて分布群は北西太平洋系群、中央太平洋系群、東部太平洋系群の3系統が考えられていたが、分布に明瞭な境界が無く連続して分布し、また遺伝子解析の結果からも明瞭な差がないとされている[6]

日本近海の群れは、太平洋側では黒潮の暖流域で孵化し海流とともに北上する、夏季はオホーツク海方面で回遊し成長する。成魚になると秋に産卵のために寒流(親潮)に乗って太平洋側では東北関東沖を通過し、近畿九州沖までに南下する。日本海側でも同様に山口県沖の対馬海流の暖流域で産卵し新潟県沖など日本列島を囲むように南下を行う[7][8]

生態

寿命は1年から2年程度であり、通常2年で全長35cm程度まで、まれに40cmを超える大きさに成長する。28cm未満は、0歳魚と考えられる。成魚は海洋の表層近く(昼間の成魚の分布水深は表層から10-15m程度、仔魚は昼夜に無関係で少なくとも水深20cm以浅)を大群をつくって泳ぐ。千島列島沖で群れが形成される際は表面水温10℃から18℃で水深25mの温度が8℃の等温線に沿って分布するとする研究がある[9]捕食者から逃げるときにはトビウオのように水面から飛び出して滑翔することもある。動物性プランクトン甲殻類・小魚・魚の卵などを食べる[10]

産卵と孵化

海域によって産卵時期は異なりニシンの様な特定の季節に集中した産卵ではなく、一定の大きさを超え成熟した個体が産卵するが、「年2回のピークを持った産卵」とする説と「冬を産卵期」とする説があり解明されていない[11]。また、一度に全ての卵を産卵するのか、あるいは複数回に分けて産卵するのか等も不明である[11]。たとえば、日本列島の南側の産卵場は、黒潮本流のやや南側の海域とされる[9]が、日本海側では5月から6月に山口県沖[8]。人工照明下で昼夜を擬似的に再現した環境下での産卵は8時から13時の時間帯に多く、少数ながらも深夜1時台にも観察された。強い照度変化が産卵誘発の要因として示唆される[12]

卵は1.7 - 2.2mmと大型で付属糸を有し、同じダツ目のメダカの卵によく似ている。メスはこの卵を流れ藻などに産着させる。卵は水温10℃から25℃の範囲で孵化することが確認されており,この範囲では水温が高いほど孵化日数が短く、20℃では10日前後となる。




[ヘルプ]
  1. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  3. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
  4. ^ 五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編
  5. ^ テレビ朝日・食彩の王国第50回
  6. ^ a b c d さんま”. 全国さんま漁業協会. 2013年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
  7. ^ a b サンマの回遊と漁場形成(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P304-305
  8. ^ a b 隠岐島近海におけるサンマCololabis saira (BREVOORT) の産卵についてI 1962年春期北上サンマの産卵について 日本水産学会誌 Vol.31 (1965) No.10 P799-803
  9. ^ a b c 為石日出生:サンマの回遊と漁場形成(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P304-305
  10. ^ 堀田秀之、小達和子:サンマの食餌構成とその摂餌行動に就いて 東北海区水産研究所研究報告 (7), 60-69, 1956-03
  11. ^ a b 夏季の中部北太平洋におけるサンマの成熟と日齢 日本水産学会誌 1996年 5月15日発行 62巻 3号p.361-369
  12. ^ 飼育下で観察されたサンマの産卵時間帯 水産増殖 Vol.57 (2009) No.2 p.339-340
  13. ^ ラジノリンクス (Rhadinorhynchus)”. 東京都福祉保健局. 2009年9月9日閲覧。
  14. ^ 食中毒アニサキス生の魚介類で猛威 毎日新聞(2017年5月8日)2017年5月9日閲覧
  15. ^ TAC設定に関する資料(水産政策審議会配布資料等) 水産庁
  16. ^ 漁具と漁法の現状と展望(日本水産学会漁業懇話会) 日本水産学会誌 Vol.66 (2000) No.2 P307
  17. ^ 平成18年水産物流通統計年報(2008年12月11日公表)
  18. ^ アクアマリンふくしま生き物情報(2012年8月10日公表)


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