サンゴ礁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/05 07:15 UTC 版)
サンゴ礁の環境と生物
礁の外側は急に深くなっており、波も高いが、外礁に囲まれた礁池や礁湖は、外礁が激しい波浪を止める天然の防波堤となるため、波が穏やかである。サンゴのすき間は小さな生物の隠れ場所に都合がよく、それらを捕食する大型動物も集まってくる。さらに礁池の内外には砂浜やアマモ場もできるので、これらも含めるとサンゴ礁には実に多様な環境が作られ、多くの生物が生息することとなる。サンゴ礁は生物多様性の観点からも重要な場所といえよう。
ここではサンゴ礁に生息する生物のごく一部を挙げる。
海岸
サンゴ礁付近の岩礁海岸や砂浜は石灰分を多く含むので、石灰分の多い土壌に適応した特有の植物が自生する。草本ではイソフサギやクサトベラ、ハママンネングサなど、木本ではオオハマボウやアコウなどが挙げられる。これらの木陰にはオカヤドカリやヤシガニなどの動物が生息する。なお、岩のすき間はウミヘビ類のねぐらや産卵場所となる。
砂浜ではハマヒルガオやグンバイヒルガオ、コウライシバなどが自生し、植物が生えない波打ち際付近にはミナミスナガニやツノメガニなどのスナガニ類が生息する。なお、砂浜はウミガメ類の産卵場所となる。
礁の内側
波が穏やかな礁の内側には多くの生物が生息する。ふだんは礁の外側に生息する大型魚が、産卵や採餌のために礁の内側へ入ってくることもある。
- 爬虫類 - タイマイやアオウミガメなどのウミガメ類、エラブウミヘビやクロガシラウミヘビなどのウミヘビ類
- 魚類 - スズメダイ、チョウチョウウオ、ベラ、ネンブツダイ、ハリセンボン、ウツボなど
- 軟体動物 - シャコガイ、イモガイ、タカラガイ、ホラガイ、ヤコウガイ、コブシメ、テナガダコ、ヒョウモンダコなど
- 甲殻類 - オトヒメエビ、カクレエビ類、イセエビ類、サンゴガニ、オウギガニ類など
- 棘皮動物 - バイカナマコ、パイプウニ、ガンガゼ、オニヒトデ、クモヒトデなど
- 刺胞動物 - サンゴ類、サンゴイソギンチャク、ソフトコーラル、クラゲ類など
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シャコガイ(グレート・バリア・リーフ内ミコマス・ケイ)
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ルリスズメダイ(石垣島・白保)
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アケボノチョウチョウウオ(石垣島・白保)
海草藻場
礁池内の、潮下帯の浅いところから水深数m程度の所にかけて、海草の繁茂する藻場が各所に形成される。たとえば沖縄ではウミジグサやボウアマモ、ウミショウブなどの数種類の海草が生息している。藻場は様々な小型動物の生息場になり、魚類の稚魚の拠り所となる。さらに藍藻類が多量に生息することで窒素固定が行なわれる場でもあり、サンゴ礁の高い生産力を支えている。
礁の外側
外礁を過ぎると水深は急に深くなる。斜面には多くのサンゴが枝を広げ、礁の内側と同じように小魚もいるが、その周囲にはキントキダイやシマアジ、フエダイ、ハタなど大型魚が見られ、オニイトマキエイやシュモクザメなども姿を現す。
危険な生物
色とりどりのサンゴや生物に彩られたサンゴ礁だが、これらの生物には棘や毒をもった生物や獰猛な生物も多く、中には命に関わるほどの毒をもつものもいる。
- 爬虫類 - ウミヘビ。東南アジアからオーストラリアにかけてはイリエワニも姿を現す。
- 魚類 - サメ、エイ、ミノカサゴ、ダルマオコゼ、アイゴ、ウツボなど
- 軟体動物 - ヒョウモンダコ、イモガイ類など
- 棘皮動物 - ガンガゼ、ラッパウニ、オニヒトデなど
- 刺胞動物 - サンゴイソギンチャク、スナイソギンチャク、ウンバチイソギンチャク、カツオノエボシ、ハブクラゲ、アナサンゴモドキ、シロガヤなど
また、食用魚にも注意が必要である。フグ類の毒はよく知られているが、サンゴ礁域に生息するバラハタやバラフエダイ、ヒラマサ、イシダイ、イシガキダイなどの大型魚は藻類に由来するシガトキシンという毒を体内に蓄える。小さな個体は危険が薄いが、大型個体を食用にする際は注意しなければならない。
- ^ “日本サンゴ礁学会公式サイト : サンゴ礁Q&A”. www.jcrs.jp. 2023年12月4日閲覧。 “「サンゴ」がその石灰質の骨格を積み重ねて海面近くまで高まりを作る地形を「サンゴ礁」といいます。”
- ^ “The race to build climate-resilient coral reefs”. www.bbc.com. 2024年2月5日閲覧。
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- ^ モニタリングサイト1000サンゴ礁調査の平成28年度調査結果(速報)について(環境省)
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- ^ Spatial and temporal patterns of mass bleaching of corals in the Anthropocene Hughes, T. P. et al. Science 2018, Vol.359, pp. 80–83.
- ^ 日焼け止めでサンゴが白化 伊大学、実験で確認
- ^ Microplastics disturb the anthozoan-algae symbiotic relationship Nami Okubo, Shunichi Takahashi, Yoshikatsu Nakano Marine Pollution Bulletin 2018, Vol. 135, pp. 83–89.
- ^ a b サンゴ食害生物 著:横地洋之 公開:環境省
- ^ S.B. NO. 2571 ハワイ州政府
- ^ 米ハワイ州、サンゴに有害な日焼け止め禁止へ BBC 更新日:2018年5月4日
- ^ Responsible Tourism Education Act パラオ共和国
- ^ Thailand bans coral-damaging sunscreens in marine parks BBC 更新日:2021年8月5日
- ^ 地理 統計要覧 2014年版 ISBN 978-4-8176-0382-1 P,146
- ^ http://www.jcrs.jp/old/information/ishoku-guideline.pdf
- ^ モニタリングサイト1000
- ^ 今度の『私の青空』環境貢献活動は サンゴ礁の再生!〜沖縄県・恩納村との官民共同で美ら海を蘇らせます〜
- ^ サンゴ礁保全プロジェクト
- ^ 社会貢献事業「サンゴ礁保全プロジェクト」について
- ^ 雪肌精「SAVE the BLUE」キャンペーン2年目 化粧水・乳液購入でボトルの底面積分、サンゴの森を広げます
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