コンブ
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利用
食材としての利用
コンブは古くから日本各地で食べられており、主に乾燥させて出汁を取るために日本料理では幅広く使われる。さらに食材としても利用され、結び昆布や昆布巻きなどに用いられる棹前昆布は「早煮昆布」とも呼ばれ、漁期前に採取された未成熟で薄い昆布を、煮てから干した加工品である[30]。コンブを食材として用いた料理は日本各地に見られ、例えば昆布締めは富山県、昆布巻きニシンは山形県、松前漬けは北海道の郷土料理の1つとして知られる。さらに北海道では、湯通しした若い昆布を刺身昆布として食べる習慣もあった。他にも、コンブを細長く刻んで刻み昆布(そうめん昆布)にも加工され昆布の佃煮が作られ、おにぎりの具などにも使われる。また、表面を薄く削ってとろろ昆布やおぼろ昆布(こちらは糸状ではなく薄く帯状に削った製品)にする他、酢昆布やおしゃぶり昆布としてお茶請け・おやつにも用いられる。
ロシアでコンブは「海のキャベツ(морская капуста)」と呼ばれ、サラダに用いられる場合もあるが、食べ物としてはそれほどよく知られていない。
日本の統計局の家計調査によると、青森市、盛岡市、富山市[31]が昆布消費量の多い都市(2003〜2005年平均:1世帯当たり)で、日本の平均の1.4〜1.8倍を消費している。沖縄県那覇市は7位(日本の平均の1.1倍)である。沖縄県はかつて日本産昆布を中国に輸出するための中継地点であったことから、昆布を利用する食文化が生まれ昆布消費量が多かったものの、近年は若者の伝統食離れで消費が減少している。昆布の佃煮の消費量が多い都市は、福井市、大津市、富山市で、これに京都、奈良など近畿地方の都市が続く。近畿地方では古くから北前船によって昆布が多く流通し、独特の昆布消費文化と加工技術が存在するため、佃煮の消費量が多い。
コンブの比較的新しい利用法としては、コンブを醗酵させて利用することが挙げられる。元来、コンブには硫酸基を持つ物質が含まれており、菌の繁殖を妨げていたのだが、この硫酸基に影響を受けずに昆布を醗酵させる菌が海底生物から見つかったことで、醗酵塩昆布の開発に拍車がかかった。2004年にはこうはら本店と大阪府立大学が提携し、発酵塩昆布が発売された[32]。なお、コンブを醗酵させる技術は、宝酒造、協和発酵キリンなどがそれぞれ独自の技術を有する。
栄養素
コンブは特に豊富な食物繊維や鉄分、カルシウムなどが含まれており健康食品として人気が高い。1908年に池田菊苗が、日本では古来から食材などとして使われてきた昆布の旨み成分がグルタミン酸であることを発見し、これがうま味調味料の味の素となった。他にも、昆布にはヒトにとっての必須元素であるヨウ素を多量に含有している。
食品 | 含有量 (μg/g) |
---|---|
昆布(素干し) | 2100-2400 |
昆布(刻み昆布) | 2300 |
昆布(佃煮) | 110 |
カットわかめ | 85 |
昆布だし(液体) | 19-82 [33][34] |
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によると、ヨウ素の推奨量は成人で約130 µg/日、ヨウ素の耐容上限量は約2.2 mg/日としている[35]。コンブは大量にヨウ素を含み、素干しコンブ1 gでヨウ素の耐容上限量約2.2 mg/日に達する。北海道で見られた海岸性甲状腺腫は、ヨウ素の過剰摂取が原因であると考えられている。半面、ヨウ素の抗腫瘍作用を利用するため、少なくとも3 mg/日を摂取すべきとの説も存在する[36]。
調理
コンブの表面に付着している白い粉は味の源となっているグルタミン酸とマンニトールで、調理前に水洗いをすると流されてしまう。
調理の際、だし汁に色が付くことがある。このうち、緑色はクロロフィルの色素で、茶褐色はカロテンの色である。青紫色への変色は、水道水に含まれる塩化物イオンにより、コンブのヨウ素が溶け出し、例えばボウルや鍋などに付着していたデンプンとが、適度な温度でヨウ素デンプン反応を起こした結果であり、この色は加熱することにより消える。昆布からのグルタミン酸の抽出には水に含まれるミネラルが悪影響を及ぼすので軟水の使用が望ましい[37][38][39]。
医療での利用
乾燥したコンブは水分を吸収すると膨張するという性質を持つ。この性質を利用して、医療用拡張器の原材料としてコンブ科の海藻が利用される。子宮頸管等の拡張に用いられるラミナリアがそれである。原材料は主に Laminaria digitata の茎根である[40][41]。
工業製品としての利用
コンブに含まれるアルギン酸を繊維化させた物を、スピーカーの音響装置に利用する場合がある[42][43]。
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- ^ 早煮昆布は、その製造工程で出汁の成分は流れてしまうため、出汁を取るには向かない。
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- ^ 硬水・軟水で料理の味が変わる
- ^ 軟水、硬水はどのように使い分けされているのでしょうか。
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- ^ 宮本義己『歴史をつくった人びとの健康法』(中央労働災害防止協会、2002年、129-130頁)
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