コンデンサ コンデンサの概要

コンデンサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/13 05:21 UTC 版)

コンデンサ一覧
足のあるものを「リード形」、長方体のものを「チップ形」と呼ぶ
代表的なリード形電解コンデンサ

コンデンサの主要な特性は静電容量により表され、その他の特性としては印加できる電圧(耐圧)などがある。 国際単位系(SI)における静電容量の単位はファラド(記号: F)である。しかし通常使われるコンデンサにはファラドは過大であり、マイクロファラド(μF = 10−6F)やピコファラド(pF = 10−12F)を用いる場合が多い。欧米ではナノファラド(nF=10−9F)を用いている回路例が多く見かけられるが、日本では稀である。なお、電気二重層コンデンサのような電源の用途として用いられる物では、数千ファラドを超える大容量の物もある。また、耐圧も2.5ボルトや10キロボルト程度など様々である。

なお、英語で「コンデンサ(condenser)」と言った場合は復水器などを指す。この項目で説明しているコンデンサを指す語には「キャパシタ(capacitor)」が主として用いられている。ただし「コンデンサマイク(condenser microphone)」など、英語でも「コンデンサ」で定着しているものもある。

歴史

1745年10月後ポメラニア英語版ポーランド語: Pomorze Tylneドイツ語: Hinterpommern)出身のエヴァルト・ゲオルク・フォン・クライストは、で持ったガラスの中に満たされた水へ高圧静電発電機導線でつなぐと電荷が蓄えられる事を発見した[1]。クライストの手と瓶の中の水が導電体として働き、かつガラス瓶が誘電体として働いたのである(当時は詳細な原理が間違って理解されていた)。クライストは、発電機を外したあとに、(ガラス瓶の中の水に浸した)導線に触ると激痛を伴う火花が起きることを見出した。彼はこのことを「フランス王国の二撃目は受けたくない ("I would not take a second shock for the kingdom of France.")」と手紙で述懐している[2]。3ヶ月後、オランダの物理学者ピーテル・ファン・ミュッセンブルークにより同様なコンデンサが発明され、クライストの物より早く発表されたことで、彼が勤務していたライデン大学に因んでライデン瓶と名付けられた。グダニスクDaniel Gralathは電荷容量を増やすため、初めていくつかの瓶を並列に結合し"battery(意 : 砲兵中隊)"を作った。

ベンジャミン・フランクリンはライデン瓶が想定されていた手と水ではなく、ガラスが電荷を蓄える効果を増している事を追試し証明した。彼はまた化学電池の組に対して(砲兵は数に比例して威力を増す様から)バッテリーの言葉を当てはめた[3][4][5]。後にライデン瓶は金属箔で瓶の外側と内側を覆い、2つの箔が放電しないよう瓶の口から2つの箔の縁までの距離をあけて作られるようになった[要出典]。最も初期のコンデンサの単位は「jar(瓶)」であり、1jarはおおよそ1nF程度である。

このようなライデン瓶や導電箔を板ガラスに対向せたより強力なコンデンサは、無線電気通信の発明により規格化された容量が要求され、また高周波への移行によりインダクタンスの低いコンデンサが必要になるまで、1900年頃まで専ら使われ続けた。コンデンサの小型化は金属箔の間に油を浸した紙のような柔軟な誘電体膜を挟み、それを巻いたり折りたたんで小さな外周器に入れたもの、すなわち油浸紙コンデンサの製造から始まった[要出典]。通常の容量球と比べ、より高い密度の電荷を蓄えられるという装置の性能から1782年アレッサンドロ・ボルタが初めてCondensatoreイタリア語で凝集器・濃縮器・圧縮機の意味)の言葉を当てはめた論文を発表した事に由来する[6]

物理学的説明

模式図

まずは電磁気学に基づく理論的な観点から説明を行い、工学的(電気・電子工学)な観点からの解説や応用は後述する。

静電容量

周囲と電気的に絶縁された導体に電圧を印加すると内部に電荷の偏りが生じる。この現象は静電誘導と呼ばれる。理想的な状況では重ね合わせの原理から印加する電圧と偏る電荷には比例関係がある。印加する電圧を V、偏る電荷を Q としたとき、この関係は

と表される。このときの比例係数 C静電容量と呼ばれる。静電容量は導体の幾何学的な形状と導体の周囲の絶縁体により決まる。

平行板コンデンサ

電極板間に符号の異なる電荷が充電されると電極板間に電界が生じる。 この電界は単純な平行板コンデンサにおいて電位差V = E dを生み出す。

電気的に絶縁された導体が近接していると、一方に正の電荷が、他方に負の電荷が生じて互いに引き合うので電荷が充電されやすくなり、静電容量が大きくなる。この性質を利用したものがコンデンサであり、コンデンサは誘電体によって電気的に絶縁された複数の電極や電極板の組み合わせによって構成される。

コンデンサのモデルとして、平行に近接した2つの平面を電極板とする平行板コンデンサがある。電極板の面積を A、電極板の間隔を d とすれば、静電容量が

で近似される[7]。 このときの比例係数 ε は電極板間を絶縁する誘電体誘電率である。 この近似が成り立つには電極板の間隔 d が充分に小さい()という条件が必要である。あるいは電極板の面積 A が充分に大きい()と言い換えることもできる。

静電エネルギー

充電されたコンデンサが蓄える静電エネルギー

で表される。つまり、容量1ファラドのコンデンサに10ボルトの電圧がかかっている場合、電力量は50ジュール(ワット秒)となる。したがって、この場合における定格出力50ワットの電気製品が1秒間動作することになる。(これは理論値であり、実際には電圧を安定させるための回路などが必要となるため、その分電力量が減ることとなる。

以下、工学的解説や応用を述べる。




  1. ^ Henry Smith Williams (1999年3月). “A History of Science Volume II, Part VI: The Leyden Jar Discovered”. 2013年1月17日閲覧。
  2. ^ Houston, Edwin J. (1905). Electricity in Every-day Life. P. F. Collier & Son. http://books.google.com/?id=ko9BAAAAIAAJ&pg=PA71&dq=jar+%22von+Kleist%22. 
  3. ^ Isaacson, Walter (2003). Benjamin Franklin. Simon and Schuster. p. 136. ISBN 0684807610, 9780684807614. http://books.google.com/?id=oIW915dDMBwC&lpg=PA135&dq=%22benjamin%20franklin%22%20leyden%20jar&pg=PA136#v=onepage&q=. 
  4. ^ Franklin, Benjamin (1749年4月29日). “Experiments & Observations on Electricity: Letter IV to Peter Collinson (PDF)”. pp. (page 28). 2009年8月9日閲覧。
  5. ^ Morse, Robert A., Ph.D. (2004年9月). “Franklin and Electrostatics—Ben Franklin as my Lab Partner (PDF)”. Wright Center for Science Education. Tufts University. pp. (page 23). 2009年8月10日閲覧。 “After Volta’s discovery of the electrochemical cell in 1800, the term was then applied to a group of electrochemical cells”
  6. ^ “Sketch of Alessandro Volta”. The Popular Science Monthly (New York): pp. 118–119. (May–Oct 1892). http://books.google.com/books?id=eCADAAAAMBAJ&pg=PA117&source=gbs_toc_r&cad=1#v=onepage&q&f=false 
  7. ^ http://www.ttc-cmc.net/~fme/captance.html
  8. ^ セラミックコンデンサのFAQ なぜ、セラミックコンデンサは音鳴きが発生するのでしょうか?”. 村田製作所. 2016年3月7日閲覧。
  9. ^ 比較的古い家電ではコンデンサの品質に問題があるために膨張・破裂するケースも少なくない。詳しくは不良電解コンデンサ問題を参照。
  10. ^ 三洋電機株式会社の登録商標です。
  11. ^ トランジスタ技術 2004年9月号 p108, p111 - p114
  12. ^ プレスリリース 高速デジタル回路を安定動作させる低インピーダンス線路素子の開発について” (日本語). NEC (2003年10月20日). 2015年4月20日閲覧。
  13. ^ 品番の読み方”. 村田製作所( http://www.murata.co.jp/ ). 2016年11月3日閲覧。







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