コロッサス級航空母艦 コロッサス級航空母艦の概要

コロッサス級航空母艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/18 00:20 UTC 版)

コロッサス級航空母艦
トライアンフ
艦級概観
艦種 航空母艦
艦名
前級 イラストリアス級航空母艦
次級 マジェスティック級航空母艦
性能諸元
排水量 13,600トン
全長 211.8m
全幅 24m
吃水 7.2m
機関 蒸気タービン2基、2軸推進、40,000hp
最大速力 25 ノット
航続距離 12,000nm (14ノット時)
乗員 1,300名(航空要員含む)
兵装
搭載機 48機

コロッサス級は全部で16隻の建艦が予定されていた。しかし後期の6隻は一時建艦が中断され、より大型の艦載機を運用できるように改設計されたためマジェスティック級航空母艦と新たに名付けられた。そのためコロッサス級として完成したのは10隻である。10隻のうちパーシュースとパイオニアは改設計の後、航空機整備艦として就役した。

目次

概要

背景

1941年12月戦艦プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋戦艦レパルス」が日本海軍陸上攻撃機(一式陸上攻撃機九六式陸上攻撃機)によって撃沈されたことは、航空機支援を受けていない主要艦の航空攻撃に対する脆弱性を明らかにし、海軍航空戦力の早急なる拡大の必要性を浮彫にした。

大戦開始当初、イギリス海軍は護衛空母正規空母の2種類を運用していた。しかし、護衛空母は輸送艦隊の護衛を第一に設計されており、攻撃的役割は皆無に等しかった。その速力の遅さとサイズの小ささは、高性能艦上戦闘機の運用母体となることを不可能としていた。一方、高価な正規空母は装備するには数が足らず、さらに建艦にも時間がかかる。商船からの改造もしばらく考慮されたが、輸送船の必要性からそれは拒否された。

この空母の不足を埋めるための窮余の策として登場した戦時急造空母がコロッサス級である。

設計

HMS Glory, 1951

コロッサス級航空母艦はイラストリアス級航空母艦の設計を基礎としながらも、2年で完成できるようにという目標のため、排水量をほぼ半分近くまで縮小したうえ建艦が容易なように軍艦の標準的な方法ではなく商船の設計法で作られている。にもかかわらずその一方で、通常空母並みの航空戦力を維持するために飛行甲板長と搭載機数はほとんど減っていない。

その無理のしわ寄せは防御力に現れている。当時のイギリス艦隊空母イラストリアス級は装甲甲板を有することを特徴とし、沖縄戦での日本軍特攻機の命中からも数時間で飛行甲板を使用可能としたことで有名だが、コロッサス級にはその装甲甲板が装備されていない。また、最大速度も通常空母が30ノットを超えていたのに対し25ノットと比較的低速に留まっている。

船体

本級の船体はそれまでとは異なり、LB比(水線長/幅)が比較的大きい7.9と、英空母としては細長い船体を採用している。水線長192.0mに対して飛行甲板長210.3m[1]も、英空母としては比較的「おとなしい」数字であり、ロイド商船規格に沿った結果、従来とは異なった船体設計に仕上がったことが見て取れる。

飛行甲板高は12.5mで、イラストリアス級(11.6m)より1m近く高いが飛龍(12.8m)や大鳳(12.5m)とほぼ同水準であり、空母としては比較的背の低い部類に属す。

排水量は

  • コロッサス・グローリー・オーシャン・ヴェネラブル・ヴェンジャンス:基準1万3190トン、満載1万8040トン
  • パーシュース:基準1万2265トン、満載1万6500トン
  • シーシュース・トライアンフ・ウォーリア:基準1万3350トン、満載1万8200トン
  • パイオニア:基準1万2000トン、満載1万6500トン

と、個々にかなりの相違がある。

兵装

本級では両用砲の搭載は行われていない。兵装は2ポンド機銃以下全て近接防空火器で、2ポンド4連装機銃2基をアイランド前後に、4基を飛行甲板前後左右1基ずつ計6基24丁と、甲板両舷各所に20基前後(コロッサスで19基)の40mm単装機銃を配置した。

航空機修理艦として完成したパーシュース・パイオニアの両艦は兵装を甲板上に配置しており、スポンソンはほとんどない。2ポンド4連装機銃3基12丁、20mm単装機銃10基10丁と門数も姉妹艦より少ない。

防御

戦時急造型である本級では直接防御は放棄され、機関・弾火薬庫に10mmの隔壁が張られたのみである。

機関

機関は第1艦コロッサスはフィジー級軽巡洋艦の主機の半数を搭載し、その他の艦は同仕様で新造されたものを搭載した。構成はアドミラルティ式3胴型水管缶4基とパーソンズ式ギヤード・タービン2基で2軸推進4万馬力(400lb/平方インチ)である。配置は生残性向上のため前後機械室の中間に補機・ガソリン庫等を設けてスペースを空けた。これによって速力25ノットを発揮したが、満載時は最大23ノットが限界だった。

燃料は3196トンの重油と284トンの軽油を搭載し、1万2000浬/14ノット乃至6200浬/23ノットの航続性能を確保した。

航空艤装

本級の格納庫は1段で、搭載機収容力は決して高いとは言えないが、格納庫高さは米空母と同等の5.3mを確保しており、大戦後半に登場した新鋭艦載機の運用を問題なく行えた。本級が戦後、イラストリアス級などより息長く使われたのは余裕ある格納庫が新型機の搭載・運用を受け入れることができたのが非常に大きい。

カタパルトは1基のみ搭載し、BH3型油圧カタパルトで9.1トンの機体を66ノットで射出する能力を有した。なお後にパーシュースが1950~51年の間、蒸気カタパルトの試験艦となったことは特記されて良い。

その他

乗員は艦の運用が854名、航空関連要員222名の計1076名である。

同型艦

当初の目的である第二次世界大戦に間に合った艦は半数ほどしかないが、戦後は貸与・売却などによりイギリス海軍を除いても延べ6カ国で使用された。現在は全て退役しているが、最終的な退役は21世紀になってからという、戦時急造艦としては予想外に長い命脈を保った艦級でもある。

1944年就役。この級の一番艦。1946年フランスに売却され、アローマンシュとなる。1978年に解体。
1945年4月就役。太平洋戦争に参加の後、朝鮮戦争にも参加している。1961年解体。
1945年8月就役。朝鮮戦争に参加。第二次中東戦争では物資の上陸に重要な役割を果たす。1962年解体。
当初はエドガー (Edgar ) の名前で設計されていたが、再命名されて1945年10月に就役。同型艦のパイオニア同様、航空機整備艦とされており、1949年には蒸気カタパルトの実験を行っている。1958年に解体。
当初はイサリオン (Ethalion ) の名称で計画されていた。その後マーズ (Mars )という名に変更され、更にパイオニアと再命名されて1945年2月に就役。航空機整備艦として改設計された。1954年解体。
1946年就役。朝鮮戦争の後第二次中東戦争ではオーシャンと共に物資輸送に参加。1962年解体。
1946年5月就役。朝鮮戦争に参加。仁川上陸作戦では航空支援を務める。1981年解体。
1945年1月就役。第二次世界大戦では太平洋戦線に回され、戦後はそのままカナダ人・オーストラリア人戦争捕虜の本国移送任務に就く。1948年オランダに売却、カレル・ドールマンとなる。さらにアルゼンチンに再売却され、1969年ベインティシンコ・デ・マヨとなり、フォークランド紛争に参加して建造国のイギリスと対戦。1997年に退役し、2000年にインドに曳航されスクラップにされた。
1945年1月就役。太平洋戦線で終戦を迎えた後香港の再占領に向かい、その後戦争捕虜の移送任務に就く。1953年から1955年までオーストラリア海軍に貸与。1956年にブラジルに売却され、ミナス・ジェライスとなる。2001年に退役、2004年に解体。
1946年1月、竣工とほぼ同時にカナダ海軍に貸与。1948年にイギリスに返却され、イギリス最初の水素爆弾実験に参加する。朝鮮戦争に参加の後、1954年に改装を受け、このとき実験的に小角度のアングルド・デッキを設置している。1958年アルゼンチンに売却されてインデペンデンシアとなる。1971年に解体。



  1. ^ 船体長に対して10%の延伸。


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