グレネードランチャー グレネードランチャーの概要

グレネードランチャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/03 04:23 UTC 版)

概要

古くはライフル火薬手榴弾を投射する火器を指していたが、現在では、高低圧理論を元に、低反動で歩兵が保持して使用できる火砲についてもグレネードランチャーと称することが多い。威力増強のため、発射機に無反動砲の原理を導入したり、擲弾にロケット推進を導入してロケット擲弾としたものも多くなっており、これらについては、むしろ無反動砲やロケットランチャーと称される場合もある。また誘導爆弾のような発射後の誘導機能も実現している(Pike)。

グレネードランチャーは、歩兵砲迫撃砲など歩兵部隊が有する支援火器と、歩兵個人が投擲する手榴弾との間にある性能・射程的な間隙を埋めるものとして開発された。このことから、一般的に射程は短く、射撃組に配備されるもので150-200メートル程度、小銃分隊に配備されるもので500メートル程度、小銃小隊以上の階梯に配備されるもので1,000メートル程度となっている。

擲弾筒

アンダーバレル・グレネードランチャー M203を装着したM727
XM25

グレネードランチャー(Grenade launcher=擲弾発射器・擲弾筒)には、信号拳銃から発展したドイツカンプピストーレやシュトゥルムピストーレ、米軍M79のような中折れ式ショットガン大口径にしたような物がある。用以外にも、治安部隊向けにゴム弾ガス弾を発射する物もあり、リボルバーと同様の機構を持ち、連射が可能な物もこれに含まれる。構造がシンプルで扱いやすいが、これを装備していると同時に近距離での自衛用火器が使えないため、アンダーバレル・グレネードランチャーが開発された。

アンダーバレル・グレネードランチャー(Underbarrel grenade launcher)は、その名のとおり小銃銃身下部に装着し、専用の擲弾を発射する(アドオン方式)。このため、擲弾を装弾したままライフルの発砲が可能である。擲弾自体に発射のための装薬が込められており、発砲後空薬莢を排出する。ただし、大抵のアンダーバレル式グレネードランチャーは、装着時にライフルのハンドガードを取り外してそこに付け替える必要がある[2]ベトナム戦争の途中から本格的に採用された。

日本八九式重擲弾筒のような、発射時に携帯せず地面に置く小型迫撃砲のような物もあるが、英語版WikipediaなどではLauncherではなくDischargerと訳し、別に分類している。

NATOにおいては、40x46mm弾が標準的な規格となっている。また、これとともに、警察用としては37/38mm弾が世界的に標準となっている。

主な機種

単発式
チューブ弾倉式(ポンプアクション
回転弾倉式
アンダーバレル式(アサルトライフル短機関銃などのオプションとして、銃身下部に取り付ける)
エアバースト式

ライフルグレネード(小銃擲弾)

スティック型(Mk.II グレネード)
カップ型(二式擲弾器
ソケット型(SIMON ライフルグレネードM4カービンの外部銃身部分に直接装填されている)

ライフルグレネード(Rifle grenade, 小銃擲弾)は、小銃が発砲する際に生じる発射ガス、あるいは弾丸そのものを利用して、手榴弾または専用の擲弾を投射するものである。通常、擲弾を小銃の銃口に装着するためには専用のアダプターが必要となり、これが発射機と呼ばれることが多い。

一部のタイプでは銃身の途中から発射ガスを誘導して発射する方式や、銃身の下に装着するものもあり、これは、実包での発射が可能である。どの方式でも発射する物体の重量が大きいことから反動が強く、発射するときは通常の構え方ではなく銃を地面につけて発射する。近代では弾丸トラップ式が主流となり、空包ではなく通常のライフル弾で発射できるようになっている。この方式は銃身に過大な圧力がかからず、反動も小さいため通常の銃の構え方で使用でき、利便性が高い。

種類

ライフルグレネードには三種類のタイプがある。

スティック型
最初に開発されたタイプで、第一次世界大戦で大量に使用された。構造は、手榴弾の尻に銃口に差し込むための棒をつけただけで、空包で発射する。これが拡大発展したものがスピガット型の迫撃砲である。銃身内部の圧力が過大になり、銃身が曲がったり破裂したりする危険性があり、銃を傷めることから、銃身を針金などで巻き締めて補強するなどといった措置がとられた。現代では使用されていない。
カップ型
銃口に取り付けたカップにグレネードを入れて打ち出す方式、第二次世界大戦でも使用されたが、現代では使用されていない。
ソケット型
銃口に薬筒(ソケット)を装着してグレネードをかぶせる方式で、現在のライフルグレネードの主流である。第二次大戦当時の小銃は銃口付近にフロントサイトが配置されているため、かぶせる部分の長さを稼ぐために銃口にソケットを取り付ける必要があった。M1ガーランド用に開発されたM7小銃擲弾発射機が、その代表的な例である。
現在、NATOを中心に、フラッシュサプレッサーの外径を22mmとし、これにグレネードランチャーとしての機能を付加することが一般的になっている。このため、現代のアサルトライフルはソケットアダプターが不要であり、また、銃への負荷や反動が軽い弾丸トラップ式の普及もあって、ほぼあらゆるアサルトライフルをグレネードランチャーとして利用できるようになっている。

特徴

グレネードランチャー、特に小銃銃身下部に装着するアンダーバレル式と比較して、以下の特徴があげられる。

  • 弾頭が銃身に覆われないため、弾頭設計の自由度が高い。
    M31AC58などのように成形炸薬弾頭の直径を大型化して装甲貫徹力を強化した対戦車擲弾が代表的な例としてあげられるほか、ドア破砕に特化したSIMONなどのような特殊用途品も存在する。
  • 小銃本体と空包擲弾以外のものが基本的に必要ないため、全小銃手が使用可能。
    アンダーバレル式グレネードランチャーは、1個歩兵分隊もしくは1個歩兵に1つしか供給されないことが多いため、これを支給された擲弾手戦死や負傷などにより戦線離脱する、あるいは、ランチャーが故障や破損すると部隊火力が著しく低下する。
  • 弾頭の前後長が大きいため、一人あたりの携行可能弾数では専用のグレネード弾に劣る。
    特にソケット式は、この傾向が顕著である。一例として、ポーランドGNPO ライフルグレネード(成形炸薬弾、弾頭直径40mm)の全長が274mmであるのに対して、40x46mmグレネードのM433 HEDP弾は、全長102.9mm[1]と半分以下である。
  • 水滴や結露が銃身装着部やグレネードの推進薬や発射薬に付着し易いため、熱損失および不完全燃焼により推進力が不足し、飛距離が不安定になり易い。
  • 構造上、燃焼ガスの漏洩が起こる。
  • 専用アダプターを用いるタイプは、小銃射撃ができなくなるという欠点があり、ごく一部の兵士しか擲弾手を担当しなかった。
  • 一度ライフルグレネードを装着してしまったら、発射するか取り外さない限り小銃弾を発砲できない。

主な機種


  1. ^ ただし、擲弾の『擲』は、常用外の漢字であるため、てき弾と表記されることもある
  2. ^ ロシア製のGP-25/30は、小銃(AKM/AK-74/AN-94)側に何ら改造を施すことなく装着することが可能


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擲弾発射器

(グレネードランチャー から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 09:41 UTC 版)

擲弾発射器(てきだんはっしゃき、英語: Grenade launcher)は、擲弾を発射するための火器[1][2]。通常、口径20mm以上の火器は砲として扱われるが、擲弾発射器は運用上・形態上などの問題から小火器として扱われることが多い[3]


注釈

  1. ^ これらの5センチ級の軽迫撃砲は、第二次世界大戦の中頃には威力や射程が不足していると判断され、日本軍以外では姿を消していった[6]
  2. ^ 韓国も類似したK11複合型小銃を開発していたが、こちらは擲弾発射器はボルトアクション式で、またこちらも実用化に至らなかった[12]

出典



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