グリセリン グリセリンの概要

グリセリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/04/14 07:38 UTC 版)

グリセリン
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識別情報
CAS登録番号 56-81-5 チェック
PubChem 753
ChemSpider 733 チェック
UNII PDC6A3C0OX チェック
KEGG D00028
ChEMBL CHEMBL692 チェック
ATC分類 A06AG04,A06AX01

, QA16QA03

特性
化学式 C3H5(OH)3
モル質量 92.09382 g/mol
外観 無色透明の液体
吸湿性
匂い 無臭
密度 1.261 g/cm3
融点

17.8 °C, 291.0 K, 64.0 °F

沸点

290 °C, 563 K, 554°F [1]

屈折率 (nD) 1.4746
粘度 1.412 Pa·s[2]
危険性
MSDS JT Baker
引火点 160 °C (密閉式)
176 °C (開放式)
発火点 370 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

1779年スウェーデンカール・ヴィルヘルム・シェーレオリーブ油加水分解物の中から発見し、甘味を持つことからギリシャ語γλυκυς(glykys、甘い)にちなんで名づけられた。

性質

石鹸の廃液を精製するか、プロピレンから合成して作られる。引火点 176 °C(開放式)、発火点 370 °C可燃性を持ち、消防法により危険物第4類(引火性液体)の第3石油類に指定されている。

無色透明の糖蜜液体エタノールに可溶、エーテルに難溶。に非常に溶けやすく、吸湿性が強い。その保水性を生かして、化粧品、水彩絵具によく使われる。医療分野では利尿薬、脳圧降下薬、浣腸液、目薬など様々に用いられるが、血中に入ると腎不全を起こすおそれがある。

  • 局所(腸管肛門)の炎症・創傷部などから血中にグリセリンが入り、溶血をきたす
  • 溶血が起きると遊離ヘモグロビンが生じる
  • ヘモグロビンは腎尿細管上皮内でヘムグロビンに分解される
  • ヘムの毒性が尿細管壊死を起こす→腎障害

エチレングリコール同様に不凍液としても使用されている。また、ニトログリセリンの原料としても重要である。

3つのヒドロキシ基すべてを脂肪酸エステル化したものはトリアシルグリセロール(トリグリセリド)と呼ばれる。

反応

ギ酸と加熱するとエステル化を経て脱離が起こり、アリルアルコールを与える[3]硫酸水素カリウムなどを作用させながら熱すると、脱水が起こりアクロレインに変わる[4]。酸触媒の存在下にアセトンと加熱すると、脱水して1,2位がイソプロピリデン基で保護された形の誘導体が得られる[5]

赤リンと臭素とともに反応させると1,3位が臭素化された誘導体が得られ[6]、酢酸中で塩化水素を作用させると、その当量により 1-モノクロロ体[7]もしくは1,3-ジクロロ体[8]が生成する。後者や 1,3-ジブロモ体をアルカリと加熱することにより、エピクロロヒドリン[9][10]、エピブロモヒドリン[10]が得られる。

アニリン誘導体と酸化条件で縮合させるとキノリン骨格が構築できる[11][12]。この手法はスクラウプのキノリン合成と呼ばれる。


  1. ^ Lide, D. R., Ed. CRC Handbook of Data on Organic Compounds, 3rd ed.; CRC Press: Boca Raton, FL, 1994; p 4386.
  2. ^ Viscosity of Glycerol and its Aqueous Solutions”. 2011年4月19日閲覧。
  3. ^ Kamm, O; Marvel, C. S. (1921), “Allyl alcohol”, Org. Synth. 1: 15, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0042 ; Coll. Vol. 1: 42 .
  4. ^ Adkins, H.; Hartung, W. H. (1926), “Acrolein”, Org. Synth. 6: 1, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0015 ; Coll. Vol. 1: 15 .
  5. ^ Renoll, M.; Newman, M. S. (1948), dl-Isopropylideneglycerol”, Org. Synth. 28: 73, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0502 ; Coll. Vol. 3: 502 .
  6. ^ Braun, G (1934), “Glycerol α,γ-dibromohydrin”, Org. Synth. 14: 42, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv2p0308 ; Coll. Vol. 2: 308 .
  7. ^ Conant, J. B.; Quayle, O. R. (1922), “Glycerol α-monochlorohydrin”, Org. Synth. 2: 33, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0294 ; Coll. Vol. 1: 294 .
  8. ^ Conant, J. B.; Quayle, O. R. (1922), “Glycerol α,γ-dichlorohydrin”, Org. Synth. 2: 29, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0292 ; Coll. Vol. 1: 292 .
  9. ^ Clarke, H. T.; Hartman, W. W. (1923), “Epichlorohydrin”, Org. Synth. 3: 47, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0292 ; Coll. Vol. 1: 233 .
  10. ^ a b Braun, G. (1936), “Epichlorohydrin and epibromohydrin”, Org. Synth. 16: 30, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv2p025 ; Coll. Vol. 2: 256 .
  11. ^ Clarke, H. T.; Davis, A. W. (1922), “Quinoline”, Org. Synth. 2: 79, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0478 ; Coll. Vol. 1: 478 .
  12. ^ Mosher, H. S.; Yanko, W. H.; Whitmore, F. C. (1947), “6-Methoxy-8-nitroquinoline”, Org. Synth. 27: 48, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0568 ; Coll. Vol. 3: 568 .
  13. ^ ジヒドロキシアセトンリン酸
  14. ^ 菊池誠 (2005年5月21日). “グリセリンの結晶”. kikulog. 2010年8月24日閲覧。


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