グリセリン グリセリンの概要

グリセリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/05/18 10:12 UTC 版)

グリセリン
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識別情報
CAS登録番号 56-81-5 チェック
PubChem 753
ChemSpider 733 チェック
UNII PDC6A3C0OX チェック
KEGG C00116
ChEMBL CHEMBL692 チェック
ATC分類 A06AG04,A06AX01

, QA16QA03

特性
化学式 C3H5(OH)3
モル質量 92.09382 g/mol
外観 無色透明の液体
吸湿性
匂い 無臭
密度 1.261 g/cm3
融点

17.8 °C, 291.0 K

沸点

290 °C, 563 K [1]

屈折率 (nD) 1.4746
粘度 1.412 Pa·s[2]
危険性
MSDS JT Baker
NFPA 704
NFPA 704.svg
1
1
0
引火点 160 °C (密閉式)
176 °C (開放式)
発火点 370 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

性質

無色透明の糖蜜液体で、甘味を持つ。

融点は約18°Cだが、非常に過冷却になりやすいため結晶化は難しい。冷却を続けると-100°C前後でガラス状態となり[3]、さらに液体空気温度まで冷却後1日以上の時間をかけてゆっくり温度を上げると結晶化する[4]

に非常に溶けやすく、吸湿性が強い。水溶液は凝固点降下により凍結しにくく、共晶点は66.7重量パーセントで-46.5°Cである。ほかにエタノールフェノールピリジンなど様々な溶媒に可溶であるが、アセトンジエチルエーテルジオキサンには溶けにくく、ミネラルオイルクロロホルムのような無極性溶媒には溶けない。[3]

生産

グリセロールは年間100万トン以上生産されている。そのほとんどが大豆油や獣脂などの加水分解によっているが、プロピレンから化学合成することもできる。現在顧みられることはないが、発酵法も知られている[3]

油脂から

生物の油脂には大量のトリアシルグリセロール(トリグリセリド)が含まれている。これは脂肪酸とグリセリンのエステルであり、加水分解によりグリセリンと脂肪酸を生じる。例えば石鹸を生産する際に副産物として大量のグリセリンが得られる。

SaponificationGeneral.svg

またバイオディーゼル燃料の主成分は脂肪酸メチルエステルであるが、これは触媒を用いた油脂とメタノールエステル交換反応により得られ、その副産物がグリセリンである。

Transesterification of triglycerides with ethanol.png

こうして得られたグリセリンには不純物が多く含まれている。石鹸生産の副産物の場合、活性炭や、アルカリ処理、イオン交換などによって精製を行い、蒸留によって高純度のグリセリンを得ることができる[3]。バイオディーゼル燃料生産の副産物の場合は不純物が非常に多い場合があり、単に焼却されることが多い[5]

プロピレンから

プロピレンからエピクロロヒドリンを経由して合成するのが主であるが、ほかにもアクロレイン酸化プロピレンを経由する方法などが知られている。もっともバイオディーゼル燃料の普及にともないグリセリンは供給過剰になっており、こうした化学合成法はコスト的に見合わなくなっている。


  1. ^ Lide, D. R., Ed. CRC Handbook of Data on Organic Compounds, 3rd ed.; CRC Press: Boca Raton, FL, 1994; p 4386.
  2. ^ Viscosity of Glycerol and its Aqueous Solutions”. 2011年4月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g Christoph, Ralf; Schmidt, Bernd; Steinberner, Udo; Dilla, Wolfgang; Karinen, Reetta (2006). “Glycerol”. Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. doi:10.1002/14356007.a12_477.pub2. ISBN 3527306730. 
  4. ^ a b G. E. Gibson , W. F. Giauque (1923). "The third law of thermodynamics. Evidence from the specific heats of glycerol that the entropy of a glass exceeds that of a crystal at the absolute zero". J. Am. Chem. Soc. 45 (1): 93–104. doi:10.1021/ja01654a014. 
  5. ^ Sims, Bryan (2011年10月25日). “Clearing the Way for Byproduct Quality: Why quality for glycerin is just as important for biodiesel”. Biodiesel Magazine. http://www.biodieselmagazine.com/articles/8137/clearing-the-way-for-byproduct-quality 
  6. ^ Hudgens, R. Douglas; Hercamp, Richard D.; Francis, Jaime; Nyman, Dan A.; Bartoli, Yolanda (2007). An Evaluation of Glycerin (Glycerol) as a Heavy Duty Engine Antifreeze/Coolant Base. doi:10.4271/2007-01-4000. 
  7. ^ Kamm, O; Marvel, C. S. (1921), “Allyl alcohol”, Org. Synth. 1: 15, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0042 ; Coll. Vol. 1: 42 .
  8. ^ Adkins, H.; Hartung, W. H. (1926), “Acrolein”, Org. Synth. 6: 1, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0015 ; Coll. Vol. 1: 15 .
  9. ^ Renoll, M.; Newman, M. S. (1948), dl-Isopropylideneglycerol”, Org. Synth. 28: 73, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0502 ; Coll. Vol. 3: 502 .
  10. ^ Braun, G (1934), “Glycerol α,γ-dibromohydrin”, Org. Synth. 14: 42, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv2p0308 ; Coll. Vol. 2: 308 .
  11. ^ Conant, J. B.; Quayle, O. R. (1922), “Glycerol α-monochlorohydrin”, Org. Synth. 2: 33, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0294 ; Coll. Vol. 1: 294 .
  12. ^ Conant, J. B.; Quayle, O. R. (1922), “Glycerol α,γ-dichlorohydrin”, Org. Synth. 2: 29, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0292 ; Coll. Vol. 1: 292 .
  13. ^ Clarke, H. T.; Hartman, W. W. (1923), “Epichlorohydrin”, Org. Synth. 3: 47, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0292 ; Coll. Vol. 1: 233 .
  14. ^ a b Braun, G. (1936), “Epichlorohydrin and epibromohydrin”, Org. Synth. 16: 30, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv2p025 ; Coll. Vol. 2: 256 .
  15. ^ Clarke, H. T.; Davis, A. W. (1922), “Quinoline”, Org. Synth. 2: 79, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv1p0478 ; Coll. Vol. 1: 478 .
  16. ^ Mosher, H. S.; Yanko, W. H.; Whitmore, F. C. (1947), “6-Methoxy-8-nitroquinoline”, Org. Synth. 27: 48, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0568 ; Coll. Vol. 3: 568 .
  17. ^ 菊池誠 (2005年5月21日). “グリセリンの結晶”. kikulog. 2010年8月24日閲覧。


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