クロルプロマジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/05 02:08 UTC 版)
副作用
クロルプロマジンの使用で、特に頻繁に遭遇する副作用は以下の通りである。
- 循環器(血圧降下、頻脈、不整脈、心疾患悪化)
- 血液(白血球減少症、顆粒球減少症、血小板減少性紫斑病)
- 消化器(食欲亢進、食欲不振、舌苔、悪心・嘔吐、下痢、便秘)
- 内分泌(高プロラクチン血症、体重増加、女性化乳房、乳汁分泌、射精不能、月経異常、糖尿)
- 精神神経系(錯乱、不眠、眩暈、頭痛、不安、興奮、易刺激、痙攣)
- 錐体外路症状(パーキンソン症候群、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア)
クロルプロマジンの本来の作用と反対の効果、つまり、易興奮性、筋痙攣などが見られることがあるかもしれない。これを「奇異反応」という。こうした反応があった場合、上記のような副作用が現れた場合には、減量または投与を中止すること。
外来患者にクロルプロマジンを処方する場合、眠気・注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあるので、投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍などによる嘔吐症状を不顕性化することがある。
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症などの血栓塞栓症が報告されているので、不動状態・長期臥床・肥満・脱水状態などの危険因子を有する患者に投与する場合には注意が必要である。
睡眠時無呼吸発作を有する患者には、呼吸抑制作用によって呼吸停止と死を招く可能性がある。
重大な副作用
ほとんどが頻度不明となっているが、報告されている重大な副作用は以下の通り。
- 悪性症候群、遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア、SLE様症状
- 横紋筋融解症、麻痺性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
- 突然死、心室頻拍、肝機能障害、黄疸
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症、再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、白血球減少
- 眼色素沈着
過量摂取
クロルプロマジンをオーバードースした人は、傾眠から昏睡までの中枢神経系の抑制、血圧低下と錐体外路症状などの徴候を示す。その他には、激昂と情緒不安、痙攣、口渇、腸閉塞、心電図変化および不整脈などがあらわれる可能性がある。
クロルプロマジンの過量摂取は、医学的な緊急事態であり、救急医学関係者による迅速な処置が必要である。処置としては、本質的には対症療法かつ補助療法である。早期の胃洗浄は、有効であることが認められている。
クロルプロマジンは、血中半減期が長いため、対症療法を続けながらの経過観察が必要である。酒や中枢神経抑制剤との併用は、致死的となるおそれがある。
相互作用
クロルプロマジンを他の薬剤と併用投与する場合、薬理学的な相互作用の可能性に注意を払わなければならない。とりわけバルビツール酸塩・フェノチアジン・麻薬・アルコールなどのクロルプロマジンの効果を高める薬には注意が必要である。
- ^ 高橋一志. 向精神薬の今(1)抗精神薬. 日本医事新報 2014; 4709:14-21.
- ^ a b 佐藤光展 (2016年6月30日). “「飲む拘束衣」販売中止へ”. 佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」 (読売新聞東京本社) 2016年11月14日閲覧。
- ^ 精神科の薬を知ろう こころの元気+オンライン 2009年、 NPO法人地域精神保健福祉機構コンボ ( 「こころの元気+」 2005年5月号、特集「薬を減らして元気になりたい」からの転載
- ^ 誤診・誤処方を受けた患者とその家族たち + 笠陽一郎『精神科セカンドオピニオン - 正しい処方と診断を求めて』(シーニュ、2008年7月10日) ISBN 978-4990301415 p.194
- ^ “コントミン糖衣錠12.5mg/コントミン糖衣錠25mg/コントミン糖衣錠50mg/コントミン糖衣錠100mg 添付文書” (2015年4月). 2016年11月4日閲覧。
クロルプロマジンと同じ種類の言葉
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