クロノグラフ フライバック・クロノグラフ

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クロノグラフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 08:15 UTC 版)

フライバック・クロノグラフ

計測中に、クロノグラフを動作させたままリセットボタンを押すだけで針位置をリセットし、連続計測を可能とする機能を持つもの。

通常のクロノグラフでは、作動機構の設計上、スタート→ストップ→リセット→再スタートという一連の操作を行わなければならないが、フライバッククロノグラフではリセットボタンの作用を別系統として、計測動作中のリセットを可能としている。自動車のドライバー、航空機のパイロットが、反復的な操作を繰り返す最中に時間を計測をする場合に便を図った機構であり、ストップから再スタートまでの操作をリセットボタンの1プッシュで済ませることができ、ハンドルや操縦桿から一方の手を離す間が最小限で済む。

スプリットセコンド・クロノグラフ

ストップウォッチ用の針を2本持ち、中間タイム(スプリットタイム)の計測などを行える特殊なクロノグラフ。日本では「割剣」と呼ばれていた。

通常のクロノグラフと同様の運針を行う針をクロノグラフ針、もう1本の針をスプリット針と呼ぶものとして機能を説明すると次のようになる。

スタート/ストップボタンを押すと2本の針が同時に動き、秒単位の計測を開始する。計測の途中でスプリットボタンを押すとスプリット針が停止。一方クロノグラフ針は運針を続ける。

2台の自動車あるいは2人のランナーといった2つの移動体のタイム差を計測するのならば、先行している移動体が計測地点を通過した時点でスプリットボタンを押す。そして後続の移動体が計測地点を通過した時点で今度はスタート/ストップボタンを押せばクロノグラフ針の運針も停止する。この場合スプリット針は先行する移動体のタイムを、クロノグラフ針は後続の移動体のタイムを示すことになる。

また単体の自動車なりランナーのラップタイムも連続して計測できる。この場合は、移動体が計測地点を通過した時にスプリットボタンを押せばスプリット針が停止し、これがラップタイムとなる。もう一度スプリットボタンを押すと、停止していたスプリット針が運針を続けているクロノグラフ針に追いつく。次の周回以降も同様の操作を繰り返し、前周までとの差を紙などに記録していけば、トータルタイムと各周回のラップタイムがわかるというわけである。

機構としてはスプリットボタンと連動する歯車やカムがあり、それらと連動して動く機構内のレバーの作用により、1度目のプッシュでスプリット針を回す歯車を停止させるブレーキレバーが作用し、スプリット針が停止する。2度目のプッシュではスプリット針と同軸のハートカムをハンマーが叩き、それによって生じた回転運動によってスプリット針がクロノグラフ針に追いつく。

自動巻クロノグラフ

自動巻もクロノグラフもかなり空間占有率が大きい機構であるため、長らく「自動巻型腕時計クロノグラフの設計製造は無理」とされてきたが、ブライトリング、ホイヤー・レオニダス(Heuer-Leonidas 、現タグ・ホイヤー)、ハミルトン・ビューレン(現ハミルトン)、デュボア・デプラの4社共同で腕時計用自動巻クロノグラフキャリバー「キャリバー11」(Caliber 11) が開発され、1969年3月3日に発表された。1969年5月にはセイコー(現セイコーホールディングス)がキャリバー6139を発売、ゼニスモバードが「エル・プリメロ(キャリバー3019)」を開発し同じく1969年9月バーゼルフェアにて発表している[11]

1973年にはムーブメント専門メーカー、バルジュー(Valjoux、現エタ)がキャリバー7750を完成させた。キャリバー7750はバルジューがエタに統合された後はエタが製造を継続し、各時計メーカーがベースムーブメントとして多数採用することで機械式時計復興期に大きな役割を果たし、現在もなお自動巻きクロノグラフ・ムーブメントで最大のシェアを占めている。


  1. ^ Louis Moinet unveils the World’s First Chronograph dating back to 18162013年3月21日、2013年7月24日閲覧
  2. ^ 時計史を塗り替える新発見!ルイ・モネ クロノグラフ イノベーター、2013年7月11日、2013年7月24日閲覧[リンク切れ]
  3. ^ a b c 中村省三 編『広告の中の腕時計 : 腕の上のデザイン』ワールドフォトプレス、東京、2010年、24,28,91,146-152頁。ISBN 978-4-8465-2817-1OCLC 650209260 
  4. ^ スペシャル ファースト オメガ リスト-クロノグラフ コレクション | OMEGA®”. Omega. 2021年2月2日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ 1900年のLonginesの歴史 - 1900”. www.longines.com. 2021年2月2日閲覧。
  6. ^ 『Time of legend : the Breitling insider.』レジスター、大阪、2006年12月、2,14-15,255頁。ISBN 4-901638-23-8OCLC 676603081 
  7. ^ 栗崎 2001, p. 117.
  8. ^ 栗崎 2001, p. 98.
  9. ^ 栗崎 2001, p. 82.
  10. ^ 栗崎 2001, p. 85.
  11. ^ 栗崎 2001, p. 83.
  12. ^ 故障か発条の巻きが切れたかを判断する場合、巻き上げて使用して時計自体に狂いがなければ発条の巻き切れと考えた方がよい。一旦停止してもそれに気が付かず時が進み、それを知らず時計自体を動かすと自動巻きが働き動き出すので、時刻表示が遅れていることに気が付かない場合がある。


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