クレジットカード
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歴史
「クレジットカード」の語自体は、1888年にアメリカ合衆国の著作家エドワード・ベラミーが、2000年(100余年後)を舞台にしたユートピア小説、『顧みれば』で用いたのが最初とされている。この小説では "credit card" という語が11回用いられている。この小説でベラミーは、100年後の社会で紙幣に代わる、国家から配布される、労働の対価、支払い手段としてのクレジットカードを構想している。
クレジットカードの出現は、19世紀後半のアメリカ合衆国にその起源を求められ、20世紀に入ってガソリン、流通など特定の業種を中心に発達した。アメリカでのプラスチックカードの本格的な普及は1950年代からであり、ほかのカード先進国では1960年代に入って普及した。米国では膨大な小切手処理、高額紙幣の信用が低く使いにくいこと(100ドル札が偽造されることが多い。偽札参照)、社会生活に必要不可欠な信用情報(クレジットヒストリーおよびクレジットスコア)を構築する手段や、使用者自身の信用を証明する手段としてクレジットカードがもっとも一般的であること、日常的な消費にあたりごく少額の支払いであってもクレジットカードによる支払ができるなどの理由により、クレジットカードの保持および使用が多い。
米国
- 19世紀後半 - フランク(Frank)という紙製の通信、荷物の料金支払いなどのためのペイメントカードが発行され普及した。
- 1910年代初め - 石油会社、タクシー会社などにより、紙製のクレジットカードが発行された。Credit Cardという名称も使用された。ただし機能的にはクレジットカードであっても、クレジットカードとは呼ばれていないものも多かった。
- 20世紀前半から、金属製のクレジットカード(チャーガ・プレート)が流通業界を中心に多数発行された。並行して紙製、セルロイド製などもあった。
- 1950年 - 最初のクレジットカード専業会社ダイナースクラブが米国で設立。当初は手帳のようなチケット型であった。設立動機は、創業者が「夕食のときに財布を忘れても、惨めな思いをしなくていい支払い方式があればいいのに…」という経験から誕生したとされる[15]が、これは当時の企業の宣伝であり、日本では「これが最初のクレジットカード」という事実に基づかない「都市伝説」として広まっている。クレジットカードは、前述の通りダイナースカードの半世紀近く前から、さまざまな形態のものが多数発行されていた。
- 1951年 - フランクリン・ナショナル銀行がクレジットカードを発行。
- 1958年 - アメリカン・エキスプレス(Amex)がクレジットカード業務を開始、バンク・オブ・アメリカカード(VISAの前身)発行開始。
- 1966年 - インターバンク・カード・アソシエーション(ICA)設立。ICA加盟銀行が発行するカードがマスターチャージカード(マスターカードの前身)。
- 1985年 - ディスカバーカード設立。
日本
- 1960年
- 富士銀行(現・みずほ銀行)と日本交通公社(現・ジェイティービー)が日本ダイナースクラブ(シティコープダイナースクラブジャパンを経てシティカードジャパンに分割)を設立(発行は翌年の1961年春、JCBとほぼ同時期に開始)。
- 丸井が割賦販売用のツールとして「クレジット・カード」を発行。ただし、その名称と形態をアメリカのクレジットカードに模しているものの、割賦販売の支払いが終了したあとで、次回の買い物のために1回限り使用できる紙の「完済証明書」のようなものであり、クレジットカードとは機能が違うものだった。これは次回の買い物の時点で回収された。その後、丸井は買い物の機能があるプラスチック製の「クレジットプレート」を発行したが、きわめて限定的な発行になり普及しなかった。
- その後、1970年代に入って、丸井はクレジットカード業務を本格的に開始し、そのカードには「赤いカード」の愛称がつく。2006年春から「エポスカード」に変更。
- 三和銀行(現・三菱UFJ銀行)と髙島屋が国内初の百貨店と都市銀行によるクレジット業務提携を始める。
- 1961年 - 三和銀行と日本信販(現・三菱UFJニコス、以下同)が日本クレジットビューロー(現・ジェーシービー(JCB))を設立してJCBカードの発行を開始。
- 1961年 - 日本ダイナースクラブが、ほぼJCBと同時期にカードを発行。JCBとダイナースクラブが日本での本格的なクレジットカードの発行の始まり。その後は、JCB(および姉妹会社のOCB)のシェアが圧倒的で、JCBグループによる全国展開が進んだ。これらが事実上、日本での最初の汎用型クレジットカードの標準となり、日本のクレジットカードの標準的な機能はJCBによって整備された。
- 1966年 - 日本信販(現・三菱UFJニコス)がクレジットカードを発行。
- 1967年 - 三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)が中心にダイヤモンドクレジット(現・三菱UFJニコス)、住友銀行(現・三井住友銀行)が中心に住友クレジットサービス(現・三井住友カード)を設立。JCBがアメックスと提携し国際カード発行。
- 1968年 - 東海銀行(現・三菱UFJ銀行)が中心にミリオンカード・サービス(現・三菱UFJニコス)設立。住友クレジットサービス(現・三井住友カード)がVISAの国際カード発行。
- 1969年 - 第一銀行、富士銀行(以上2行、現・みずほ銀行)、三井銀行、太陽銀行、神戸銀行(以上3行、現・三井住友銀行)、大和銀行(現・りそな銀行)、埼玉銀行(現・埼玉りそな銀行)などが、ユニオンクレジット(現・クレディセゾンおよびユーシーカード)設立。オリエントコーポレーション、セントラルファイナンス(現・SMBCファイナンスサービス)、国内信販(現・Jトラストカード)がクレジットカードを発行。
- 1970年 - ジャックスがクレジットカードを発行。その後、銀行系・信販系クレジットカードの発行が続く。
- 1980年 - アメリカンエキスプレス(Amex)が日本で初めてのゴールドカードを発行。
- 1981年 - JCBが独自の世界展開を開始。
- 1987年 - 日本信販(現・三菱UFJニコス)がVISAカードを発行しMasterCardとのデュアル発行を果たす。この後、ほかの信販系・流通系カードが同様にVISA、MasterCardのデュアル発行をする。
- 1989年 - オムニカード協会設立。ビザ・ジャパン協会(現・VJA)がMasterCardとのデュアル発行を果たす。
英国
- 1961年 - イギリスのダイナースクラブ設立。
- 1966年 - バークレイズ銀行がクレジットカードを発行。
注釈
出典
- ^ “一時的にカード利用を停止することはできますか?”. 三井住友カード. 2021年10月21日閲覧。
- ^ a b “三井住友カード「番号を裏面に」の衝撃 「エンボスなし」は業界標準になるか”. J-CASTニュース. (2020年1月19日) 2021年10月21日閲覧。
- ^ a b 『クレジットカード用語辞典』株式会社民事法研究会 2008年5月30日発行
- ^ 海外で買い物お支払方法 オリコ
- ^ 岩田昭男『「信用力」格差社会』東洋経済新報社、2008年11月 ISBN 9784492222935
- ^ “国際ブランドとは?クレジットカードブランドの違い”. ゼウス. 2020年10月10日閲覧。
- ^ “クレジットカードの国際ブランドとは?世界5大ブランドの特徴を紹介”. 三井住友カード (2020年10月7日). 2020年10月10日閲覧。
- ^ “国際ブランドとは?VISA、MasterCard、JCBを始めとした7大国際ブランドについて解説!”. マネ会 クレジットカード. 2019年4月22日閲覧。
- ^ “Global Cards”. Nilson Report. 2020年10月10日閲覧。
- ^ “Visaと並ぶ2大ブランドのひとつ「Mastercard」とは?”. 三井住友カード (2020年10月7日). 2020年10月10日閲覧。
- ^ “「Mastercard」は「Visa」加盟店で使えないのですか?”. 三井住友カード. 2020年10月10日閲覧。
- ^ “JCBカードが使えない店が増えている?意外な理由や解決策について解説します”. VANDLE CARD. 2020年10月10日閲覧。
- ^ カードを複数枚持っていますが、利用可能枠はカードごとに設定されているのでしょうか? 三菱UFJニコス(MUFGカード)、2021年2月24日閲覧。
- ^ 利用枠(限度額)が80万円のカードを2枚持っていますが、160万円まで使えますか? 三井住友カード、2020年10月2日(2021年2月24日閲覧)。
- ^ a b 『わが国クレジットの半世紀』社団法人 日本クレジット産業協会
- ^ Visaプリペイドカード Visa Worldwide Tokyo
- ^ “法人カード(ビジネスカード・コーポレートカード)とは?(三井住友カード)”. 三井住友カード. 2020年7月15日閲覧。
- ^ “VISAパーチェシングカードで業務改善を実現”. りそなカード. 2019年7月24日閲覧。
- ^ “個人事業主におすすめ!法人用クレジットカードを持つメリットとは?”. 三井住友カード. 2020年5月8日閲覧。
- ^ a b c d e 「不気味に迫るクレジットカード危機 個人消費を支えてきたカード業界にサブプライムが波及」『日経ビジネスオンライン』2008年2月18日付配信
- ^ “業務委託先スタッフによる不正行為について”. JCB (2006年7月21日). 2016年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月26日閲覧。
- ^ 消費者金融等に関する判例集(カードの不正利用と責任)
- ^ キューバ滞在における要注意事項 在キューバ日本国大使館
- ^ 安全対策基礎データ キューバ外務省 2017年12月22日
- ^ 安全対策基礎データ イラン外務省 2017年7月24日
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