キュウリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 10:08 UTC 版)
キュウリ | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
キュウリ
| |||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||
標準: Cucumis sativus L. (1753)[1]
狭義: Cucumis sativus L. var. tuberculatus Gabajev (1930)[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
キュウリ(胡瓜) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Cucumber |
かつては、熟した実も食用とされたが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになった。インド北部、ヒマラヤ山麓原産。日本では平安時代から栽培され、大正以降によく利用されるようになった[4]。
名称
和名キュウリの呼称は、実が熟すと黄色くなり、古く日本では黄色くなったものを食用にしていたといわれ、黄色いウリを意味する「黄瓜」(きうり)が語源とする説が有力とされる[4][5][6]。「胡瓜」の中国音(胡語)「クークワ」が日本人には発音しにくかったため、瓜を日本での読み「ウリ」と発音し、「クーウリ」から「キュウリ」となったものと考えられている[4]。現代の中国植物名は黄瓜(おうか)または、胡瓜(こか)という[5]。漢字表記で使われる胡瓜の「胡」という字は中国から見た西方諸民族を指し、シルクロードを渡って来たことを意味している。その他の外国語表記は、英語名は common cucumber 、フランス語は concombre 、イタリア語は cetriolo である[7]。
日本の地方により、別名でカラスウリ[5]、ツバウリ[5]ともよばれている。
キュウリの標準学名は Cucumis sativus [1]、狭義のキュウリとされる種は Cucumis sativus var. tuberculatus [2]である。
生態
インド原産[5]、またはヒマラヤ山麓が原産とされる、一年生のつる性の植物である[4]。広く畑で栽培されている[5]。栽培されているキュウリのうち、3分の2は生で食することができる。種子は暗発芽種子である。雌雄異花ではあるが、単為結果を行うため雄花が咲かなくとも結実する。
キュウリは、つるを伸ばしながら果実をつけるという、栄養生長と生殖生長を同時に行う[8]。元来、つるは地を這って伸びて、葉腋の節から巻きひげが伸びて他物にからんで躰を支える[9]。つるの生長は早く、1日に3センチメートル (cm) ほど伸びていく[10]。主に黄色く甘い香りのする花を咲かせるが、生育ステージや品種、温度条件により雄花と雌花の比率が異なる。概ね、雄花と雌花がそれぞれ対になる形で花を咲かせてゆく。葉は鋸歯状で大きく、果実を直射日光から防御する日よけとしての役割を持つ。長い円形の果実は生長が非常に早く、50センチメートル (cm) にまで達する事もある。熟すと苦味が出るため、その前に収穫して食べる。
果実色は濃緑が一般的だが、淡緑や白のものもある[11]。果実の表面に白い粉が吹いたようにも見えるろう状の物質はブルームで、水分の蒸発を防ぎ、果実の皮を保護する役割がある[12]。果実の表面にはイボがついているが、品種によってはイボがないものもある[12]。根の酸素要求量が大きく、過湿により土壌の気相が小さい等、悪条件下では根が土壌上部に集中する。
注釈
出典
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cucumis sativus L. キュウリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月30日閲覧。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cucumis sativus L. var. tuberculatus Gabajev キュウリ(狭義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月30日閲覧。
- ^ 農林水産省/野菜の魅力(2018年8月7日閲覧)。
- ^ a b c d 田中孝治 1995, p. 174.
- ^ a b c d e f g h i j k 貝津好孝 1995, p. 184.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 講談社編 2013, p. 97.
- ^ a b 講談社編 2013, p. 94.
- ^ a b c d e f 主婦の友社編 2011, p. 81.
- ^ a b c d e f g h 学研・たまねぎ舎編 2015, p. 62.
- ^ a b c d e 板木利隆 2020, p. 42.
- ^ 学研・たまねぎ舎編 2015, pp. 64–65.
- ^ a b c d e f g h i j k l 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 71.
- ^ 宮崎正勝『知っておきたい「食」の日本史』145p・角川ソフィア文庫。
- ^ a b c 竹下大学 2022, p. 40.
- ^ 鈴木晋一 『たべもの史話』 小学館ライブラリー、1999年、pp36-38
- ^ “苦さゆえ幕末まで不人気だった「胡瓜(きゅうり)」 身体を冷やし、利尿効果も高い、使える夏野菜に”. ダイヤモンド・オンライン. (2012年7月6日)
- ^ a b c d e 竹下大学 2022, p. 41.
- ^ a b c d e f g 板木利隆 2020, p. 38.
- ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 236.
- ^ a b c 主婦の友社編 2011, p. 79.
- ^ a b c d 板木利隆 2020, p. 39.
- ^ a b 学研・たまねぎ舎編 2015, pp. 70–71.
- ^ “キュウリの栽培方法・育て方のコツ”. やまむファーム. 2020年8月27日閲覧。
- ^ a b c d 板木利隆 2020, p. 40.
- ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 80.
- ^ 講談社編 2013, p. 95.
- ^ a b c d 板木利隆 2020, p. 41.
- ^ a b “「赤色ネット」でハウス侵入防止 キュウリ害虫に効果”. 岐阜新聞. (2014年7月21日). オリジナルの2014年7月29日時点におけるアーカイブ。 2014年7月22日閲覧。
- ^ “世界のキュウリ類 生産量 国別ランキング・推移”. GLOBAL NOTE - 国際統計・国別統計専門サイト. グローバルノート. 2023年7月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 主婦の友社編 2011, p. 77.
- ^ a b c d e 講談社編 2013, p. 96.
- ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 42.
- ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 72.
- ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 43.
- ^ a b 学研・たまねぎ舎編 2015, p. 67.
- ^ a b c d 学研・たまねぎ舎編 2015, p. 66.
- ^ 長野県「信州の伝統野菜 選定リスト」より(2015年7月15日更新、2015年10月23日閲覧)。
- ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 96.
- ^ a b 講談社編 2013, p. 104.
- ^ a b c d e f g h 講談社編 2013, p. 99.
- ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 73.
- ^ a b c d e 主婦の友社編 2011, p. 76.
- ^ a b “漬物の製造法”. 全日本漬物協同組合連合会. 2022年4月8日閲覧。
- ^ 宮尾 茂雄. “漬物塩嘉言と小田原屋主人”. 東京家政大学・食品加工学研究室. 2023年1月12日閲覧。
- ^ a b 学研・たまねぎ舎編 2015, p. 74.
- ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版) (PDF) 」
- ^ 新潟県農林水産部食品・流通課「新潟県青果物出荷規格基準について」
- ^ “世界一、世界記録のきゅうりの世界を覗く : きゅうりとギネス世界記録”. guinnessworldrecordsnews. Guinness World Records社 (2016年1月28日). 2020年6月28日閲覧。
- ^ https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl[出典無効]
- ^ 大澤俊彦、「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』 2009年 20巻 1号 p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11
- ^ 野崎洋光・工藤孝文『きゅうり食べるだけダイエット』(KADOKAWA)など。
- ^ a b c d e f 田中孝治 1995, p. 175.
- ^ 田中孝治 1995, p. 195.
- ^ a b キュウリを育てては絶対ダメな町 風習受け継ぐ福井市網戸瀬町福井新聞、2015年9月9日
- キュウリのページへのリンク