キャッシュ・フロー計算書 3つの表示区分

キャッシュ・フロー計算書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/05 13:47 UTC 版)

3つの表示区分

営業活動

直接法、または間接法により作成することが選択でき、どちらの方法で作成しても結果は同じ金額となる。企業活動との関係性を明らかにするため、支払利息の支払額は「財務活動」に、受取利息や受取配当金の受取額は「投資活動」にそれぞれ記載することも出来る。したがって、「小計」欄が純粋な営業活動によるキャッシュ・フローである。

投資活動

投資活動によるキャッシュ・フロー: Cash flows from investing activities投資CF)は直接法により作成する。営業活動以外での資産に関わる全ての資金の動きを示す。設備投資、固定資産の取得、資金の貸付による資金の増減、他社への資本投資に関して記載する。

表. 投資CF内訳
キャッシュ増減
- +
区分 固定資産 取得 売却 製造装置の取得、土地の売却
有価証券 取得 売却
投資有価証券 取得 売却 日本10年国債の取得
貸付 実行 回収 役員貸付の実行、協力会社貸付の回収
子会社 取得 売却

財務活動

直接法により作成する。営業活動以外での負債と純資産の部に関わる全ての資金の動きを示す。主に借入金による調達や返済の増減や、自社の株や債権に関する発行益・配当金支払・買戻・返済などを記載する。

直接法と間接法

キャッシュ・フロー計算書を作成する方法には、直接法と間接法がある。

  • 直接法 - 直接法は現金収支に収益・費用を関連付けて計算する。直接法は間接法に比べてキャッシュ・フローに対する収益・費用の関連性を表記できる反面、実務が煩雑である難点を持つ。直接法の連結キャッシュ・フロー計算書を作成するためには、通常、連結側に取り込まれない「売上原価」の内訳を連結側に取り込み、内訳毎の連結消去が必要となる。しかし、この機能を実現している連結会計システムはごく一部に限定されている[5]。しかし、IFRSは直接法に一本化される方向であり、米国基準も直接法を推奨している[6]
  • 間接法 - 間接法は利益から非資金性費用を加算して資産・負債の増加減少を逆算する事により計算する方法である。つまり間接法によるキャッシュフロー計算書では、損益計算書の税引前当期純利益を元にキャッシュフロー要因の期首との差異を加減することで計算する。実務では間接法によることが多い。これは、特に連結での直接法キャッシュ・フロー計算書が作成困難であり、比較的に間接法によって作成することが簡便であることが理由の一つである。また、中国の「新企業会計準則」では2012年1月1日より、間接法は禁止されている。

意義と分析

キャッシュ・フロー計算書は、様々な情報を提供する。その内容を検討することにより、企業活動に関して以下のことが明確になる[7]

  1. キャッシュを生み出す現金創出力。
  2. 資本の活用方針(企業がどこへ向かっているか)。
  3. 借入金に係る支払利息の負担能力。
  4. 外部からの資金調達への依存度。
  5. 収益力の質と量(企業は何によってキャッシュを稼いでいるか)。

  1. ^ "『キャッシュ・フロー計算書』は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり ... 『キャッシュ・フロー計算書』を導入するに当たり、これを財務諸表の一つとして位置付けることが適当である" 企業会計審議会. (2008). 連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準の設定に関する意見書.
  2. ^ "キャッシュ・フロ-計算書では ... キャッシュの増減から会社の資金状況を判断します。" 中小企業庁. 中小企業の会計 31問31答.
  3. ^ "現金主義では,基本的に現金勘定残高が利益を示すことになるので,利益に対して資金的な裏付けがなされることになる." 村田. (2016). 現金主義と発生主義の会計史. 経済集志.
  4. ^ G.ベネット・スチュワート,Ⅲ 『EVA創造の経営』: ISBN 978-4-492520-89-5
  5. ^ http://www.sap.com/japan/campaigns/2010/ifrs/expert07.epx[リンク切れ]
  6. ^ http://www.sap.com/japan/campaigns/2010/ifrs/expert21.epx[リンク切れ]
  7. ^ 以下本節、出典:『キャッシュフロー分析と企業価値判断』シグマベイスキャピタル


「キャッシュ・フロー計算書」の続きの解説一覧




キャッシュ・フロー計算書と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キャッシュ・フロー計算書」の関連用語

キャッシュ・フロー計算書のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キャッシュ・フロー計算書のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキャッシュ・フロー計算書 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS