カチノン カチノンの概要

カチノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 15:38 UTC 版)

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カチノン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
識別
CAS番号
71031-15-7 
ATCコード none
PubChem CID: 62258
DrugBank DB01560 
ChemSpider 56062 
UNII 540EI4406J 
KEGG C08301  
ChEBI CHEBI:4110 
化学的データ
化学式C9H11NO
分子量149.19 g/mol
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構造活性相関

カチノンの分子構造。アミノ基が結合している炭素はキラル中心である。

カチノンの分子構造は、エフェドリンカチンアンフェタミンなど、モノアミン精神刺激薬に類似している。ベンゼン環に水酸基を持たない、これらの化合物は血液脳関門を通過し易い[2]。カチノンも血液脳関門を容易に突破し、線条体からのドーパミンの放出を促進する[3]

しかしながら、カチノンはケトン基を持つ点で、他の多くのモノアミンの精神刺激薬と異なる。カチノンと骨格を共有する他のモノアミンの精神刺激薬には、抗うつ薬ブプロピオン[4]精神刺激薬メトカチノンなどが挙げられる。なお、カチノンの化学構造はメトカチノンに対して、アンフェタミンとメタンフェタミンの関係と同じ関係である。カチノンは、側鎖のβ位にケトン基を持つ点でアンフェタミンと異なる。

カチノンに対応するアルコールであるカチンは、カチノンと比べて覚醒剤としての効果が弱い事が知られている。

所在

カチノンは、植物のカートから抽出できる。このカートが有する覚醒作用の主な原因が、カチノンだと考えられている。吸収されたカチノンが排泄されるだけでなく、吸収されたカチノンは、カチノンよりも覚醒剤としての効果が弱いカチンへと代謝される事も、カートの葉を摂取後、時間が経過すると覚醒作用は弱まってゆく理由である。なお、新鮮なカートの葉は、乾燥した葉よりもカチンに対するカチノンの割合が高く、そのため精神活性作用がより強い。

合成

カチノンは、α-ブロモプロピオフェノンを原料としての人工的な化学合成も可能である。


  1. ^ Bentur Y, Bloom-Krasik A, Raikhlin-Eisenkraft B (March 2008). “Illicit cathinone ("Hagigat") poisoning”. Clin Toxicol (Phila) 46 (3): 206-210. doi:10.1080/15563650701517574. PMID 17852166. 
  2. ^ 柴崎 正勝・赤池 昭紀・橋田 充(監修)『化学構造と薬理作用 - 医薬品を化学的に読む』 p.86 廣川書店 2010年10月20日発行 ISBN 978-4-567-46240-2 (注記:これは第1版。)
  3. ^ Kalix P (1981). “Cathinone, an alkaloid from khat leaves with an amphetamine-like releasing effect”. Psychopharmacology (Berl.) 74 (3): 269-270. doi:10.1007/BF00427108. PMID 6791236. 
  4. ^ Jan van Amsterdam; David Nutt; Wim van den Brink (2013). “Generic legislation of new psychoactive drugs” (PDF). J Psychopharmacol 27 (3): 317–324. doi:10.1177/0269881112474525. PMID 23343598. http://www.undrugcontrol.info/images/stories/documents/generic-legislation-nps.pdf. 
  5. ^ International Narcotics Control Board (2003年). “List of psychotropic substances under international control (pdf)”. United Nations. 2013年7月8日閲覧。
  6. ^ bathsalts


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