カスミザクラ カスミザクラの概要

カスミザクラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 02:47 UTC 版)

カスミザクラ
カスミザクラ(秋田県井川町、日本国花苑)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: サクラ属 Cerasus
: カスミザクラ
学名
Cerasus leveilleana ( Koehne ) H.Ohba, 2001
和名
カスミザクラ (霞桜)

特徴

樹高は20mを超える高木、樹形は盃上。一重咲きで中輪の花を咲かせ花弁の色は白色。花はヤマザクラに似るが大きさがやや小さく白色でわずかに紅を帯びる個体もある。花弁は先端が切れ込み雄蕊は40本。葉は卵型で基部が若干細く裏面は光沢を帯び、葉と葉柄に毛が多くある。ヤマザクラと同じく花と葉が同時に展開するが、葉が赤くならず新緑色になることが相違する。日本の桜の中では比較的乾燥に強く、土壌の乏しい岩石地のような場所でも生育しやすい。花期が遅く、東京の花期は4月下旬で、標高の高い地域や東北地方では5月上旬。ヤマザクラより花期が1週間から2週間遅い事で種間雑種が避けられ種としての独立性を保っている。この花期の遅さにより、山ではほかの植物の葉の展開に紛れてカスミザクラの開花が目立たない。これが本種が花見であまり利用されてこなかった原因と考えられている[4][5]

分布域

日本では冷温帯を中心に北海道から九州北部にかけて広範囲に分布しており、朝鮮半島中国にも分布している[4]。ヤマザクラよりも標高の高い位置に生えている場合が多いが分布域は重なりがちで、本州中部においては分布域の標高下部でヤマザクラの分布と重なる。

分類の混乱

個体ごとの形態に変異が大きいため本種の分類には長年混乱があった。日本では、明治時代に「ケヤマザクラ(毛山桜)」と呼ばれヤマザクラの毛のある変異個体程度にしか認識されておらず、その後も現在ではカスミザクラとして一つに分類されるカスミザクラ、ケヤマザクラ、チョウセンヤマザクラを異なる種として扱っていた時期があった。逆に欧米の一部では現在でもカスミザクラがヤマザクラやオオシマザクラと同一種として扱われる場合もある[4]

外部リンク


注釈

  1. ^ ヤマザクラオオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラエドヒガンチョウジザクラマメザクラタカネザクラミヤマザクラクマノザクラの10種。疑義のあるカンヒザクラも含めると11種。

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) YList:カスミザクラ 2012年4月29日閲覧。
  2. ^ 勝木俊雄『桜』p13 - p14、岩波新書、2015年、ISBN 978-4004315346
  3. ^ 紀伊半島南部で100年ぶり野生種のサクラ新種「クマノザクラ」 鮮やかなピンク 森林総研 産経ニュース 2018年3月13日
  4. ^ a b c 勝木俊雄『桜』p160 - p163、岩波新書、2015年、ISBN 978-4004315346
  5. ^ 霞桜 日本花の会 桜図鑑


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