オートバイ オートバイの概要

オートバイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/05/10 01:56 UTC 版)

アジアを中心に各国で大量に売れているホンダスーパーカブ初期モデル(カブF型)
世界最速の公道走行可能な市販オートバイとしてギネス世界記録に登録されたスズキ・GSX1300Rハヤブサ
インドの人々がオートバイに乗る様子

概要

2つの車輪を前後に配置して、ガソリンエンジンや電気モーターといった原動機によって走行する乗り物を指す。自転車に原動機を備えたもので、原動機の動力のみで走行することができるものも含めてこのように呼ぶこともある。

基本的には二輪のものを指しているが便宜上、サイドカーを備えて三輪になっているものや、エンジン付き二輪車をベースにして開発・改造されてできた三輪車も広義の「オートバイ」に含める場合がある。

オートバイという呼び方は「autobike」に由来する和製英語である[2]1902年明治35年)にアメリカからエンジン付き自転車「トーマス」が輸入された当時は英語と同様に「モーターサイクル」と呼ばれていたが、1923年大正12年)に月刊誌『オートバイ』が発売されて以来、「オートバイ」という呼び方が日本人に広く認知されるようになった[3]

日本語では、他に「自動二輪車[1]」「単車[1]」「バイク」とも呼ばれる。「単車」はサイドカーを付けたものを「側車付き」と呼ぶのに対して、サイドカーを付けていないオートバイ単体を指す言葉として用いられていたが、サイドカーが希少なものとなった現在も「単車」という言葉が生き残っている。なお、中国語でも二輪車の意味で単車という言葉が存在する。

英語で単にbike(バイク) と言うと二輪車全般を指すものの、どちらかというと自転車bicycle[注釈 2]の略語として使われる場合が多く、自動二輪車については「原動機」を意味する「motor」を加えて「motorbike」、あるいは「motorcycle」と呼ばれることが多い。 1988年に出版された百科事典では「日本では…(中略)…、またスクーターはオートバイの範疇に含めないのがふつうである」と書かれたが[4]、2012年現在では、様々な文献やメーカーのホームページにおいて、スクーターもオートバイの範疇に含まれるように変化した[5]

2012年現在のオートバイの車両区分は、主に道路交通法で定められた免許区分である排気量やギアチェンジの有無による区分を用いるのが一般的であるが、四輪と二輪を両方製造するメーカーの場合、それら二つで大別することや、コンセプトとしてスポーツ性を持たせたスクーターなどを開発した場合、他のスクーターと別記載し差別化することもあり、様々である[注釈 3][注釈 4][注釈 5][注釈 6][注釈 7]

自動二輪車の普及

自動二輪車の普及状況 2002年
濃い青がオートバイで、水色が四輪の自動車。単位は百万台。オートバイの台数の多い順でトップから20か国。インド中国日本インドネシアタイイタリア…といった順になっている。人口は赤色の線(2002年)。
各国のオートバイと四輪自動車の保有台数の割合。濃い青がオートバイ。水色が四輪の自動車。円の大きさは人口を表す。(2002年)

20世紀自動車(四輪)と共に自動二輪車は個人の移動手段として大きく普及した。自動車は2010年には10億台が世界で保有されており、6.9人あたり1台の割合となっている。 自動二輪車の保有台数(2011年または2012年)は全世界で約2億から4億[6]台と推定されており、中国に約1億台(1台あたり13人、以下同)、インドネシアに約7598万台(3人/台)、インド5192万台(20人/台)[7]タイ1924万台(4人/台)、台湾1514万台(1.5人/台[8])、日本1199万台(11人/台)、マレーシア1059万台(3人/台)、イタリア858万台(7人/台)となっている[9]。台湾、インドネシア、マレーシア、タイは二輪車の普及率が非常に高く道路は自動二輪車で溢れている。インド・中国は人口超大国でありそれなりの台数となっているが同時に国土も広く東南アジアの二輪車天国ほどではない。

二輪車は中国やインドでの保有率の向上が見込まれ、世界の保有台数は2010年の約4億台から2030年には9億台へ達すると推定されている[6]

統計的にはインドと中国におけるオートバイの台数が突出して多い。インドや中国ではオートバイはほとんどが実用目的で使われている[10]。先進国の台数は相対的に小さいが、高価格帯の車種も売れており、モータースポーツも盛んで、趣味や道楽として楽しむ人も多い。




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注釈

  1. ^ 「ガソリン機関による動力で走る二輪車」(出典:大辞泉)。大辞泉では「ガソリン機関による」とされたが、2012年現在ではガソリン機関だけでなく、モーターやガスタービンを動力とするものも市販されている。
  2. ^ bi」は「2」を意味する接頭辞で「cycle」は「輪」輪を示す。いずれもラテン語に由来する。
  3. ^ また、ヤマハ発動機のウェブサイトでは、2012年3月29日時点で、Motorcyclesのページ内に大きく「スポーツバイク」「スクーター」「競技用」の3つを立てている[1]が、「スポーツバイク」の中に、TMAX(=スクーター タイプ)も含めている[2]
  4. ^ http://megalodon.jp/2012-0329-2122-59/www.honda.co.jp/motor/ ホンダのホームページ、http://megalodon.jp/2012-0329-2122-08/www.honda.co.jp/motor-lineup/category/ 同ページカテゴリー区分
  5. ^ スズキのホームページでは、2012年3月29日時点で、「二輪車」というタイトルのページをつくり、そこで排気量別で大きく分け、各排気量の中に、スクーターも含めて表示した。[3]
  6. ^ 「週刊バイクTV」は、オートバイに関する番組であるが、各社の大型スクーターの紹介を頻繁に行っている。
  7. ^ あるいは「オートバイ」という用語は最初から避け、「motorcycles」「二輪車」という用語を用いてスクーターも含めて様々なタイプのそれを説明・紹介している。
  8. ^ 人体を基準にするため黎明期から現代に至るまでおよそ全長200cm、幅70cm、高さ80cm程度の車格が用いられている
  9. ^ 代表的な技術としてサイドバルブ機構がOHV機構に、自動負圧式バルブが機械駆動式に、鋳鉄シリンダーおよびピストンがシリンダーで鋼製削りだし、ピストンが鋳鉄、あるいは鍛造アルミ、オイルリングの装着などが挙げられる
  10. ^ 60*60mm、180ccの空冷4ストローク単気筒エンジンは回転速度2000rpmまで回り、出力公証1.5psを発揮した
  11. ^ フロントブレーキや手を使ってのクラッチ操作には後にボーデンケーブル英語版が用いられ、これは現代においても同様の機構を用いた車種が存在する。
  12. ^ 1896年に十文字信介(十文字大元の実兄)が石油発動自転車を輸入して丸ノ内で試乗とある1896年1月26日『国民新聞』『新聞集成明治編年史. 第九卷』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  13. ^ 1935年までに日本にはAJS、アリエル、ダグラス、BSA、JAP、ノートン、ラッジ、サンビーム、トライアンフ、ヴェロセット(以上イギリス)、モトグッチ(イタリア)、クリーブランド(アメリカ)、BMW(ドイツ)といった各国のオートバイが輸入されていた。
  14. ^ 1928年、日本自動車の蒔田鉄司により設計された250cc、空冷2ストロークエンジンを搭載した車両。
  15. ^ 1930年に宍戸兄弟の手により製作された350cc、および500ccエンジンを搭載した車両
  16. ^ 1934年東京モーター用品製造組合会員による共同製作車両。エンジン設計はJAC号と同じく蒔田鉄司。
  17. ^ 1927年愛知県犬山のみづほ自動車製作所により製作された車両。キャブトンとは、Come And Buy To Osaka Nakagawaの頭文字を並べたもので、もともとは大阪の中川幸四郎商店が設計したものであった。
  18. ^ 1936年にプロレーサーとしても活躍した栗林が経営する栗林部品店が製作した車両。同社は1928年創業、1933年にヴィリアース社製2ストロークエンジンを搭載した車両を製作し、1936年には500cc、4ストロークエンジンを搭載した車両を製作した。
  19. ^ 1937年、日本内燃機会社が製作した1296cc、4ストロークV型2気筒の大型エンジン搭載し、最高出力は12psに達した。エンジン設計は蒔田鉄司、車名は同氏の名前にちなむ。
  20. ^ 1936年目黒製作所が製作、販売した車両。目黒製作所は1923年村田延治、鈴木高広の二名によって創業され、当初は変速機やエンジンの製造を行っていた。この車両では500cc、4ストロークOHV単気筒エンジンを日本で始めて搭載していた。
  21. ^ 現在の富士重工
  22. ^ 2ストローク42×45mm、62ccのエンジンで1.2馬力を発揮した。
  23. ^ 戦中2ストローク無線電源用発電機の多くはトーハツが製造、納品していた。
  24. ^ また、国産車にはないスリーブレスアルミメッキシリンダーといった技術も用いられていた。
  25. ^ 。ビスモーターを他社に先駆け発売したみづほは需要の変化に戦前からの実績があった350cc単気筒や600cc二気筒エンジンを搭載した車両を市場に送り出すが、当時の流行からは大きすぎた。こうした市場との乖離による業績不振や、晩年のなりふり構わぬ小型車の発売などはブランドイメージの低下に拍車をかけ、最盛期であった1954年のわずか2年後に倒産。
  26. ^ 。戦中、唯一オートバイを製造していた陸王も1960年に倒産したが、最後に販売した陸王AC型は空冷4ストロークOHV345cc単気筒、最大出力18ps/4,750rpm シャフトドライブで最高速度120km/h 車両重量180kgのドイツ車のような車両であった。
  27. ^ 。戦前の川西航空機が終戦を機に新明和興業と改名。航空機で培った技術を元にバイクモーターを手始めにオートバイ事業に参入したが、新進オートバイメーカーの躍進に業績が悪化。1963年に18年のオートバイ事業に幕を下ろす。
  28. ^ 画像は、ウィキメディア・コモンズの「Category:Motorcycles with FWD (front wheel drive 前輪駆動のモーターサイクル」を参照。
  29. ^ 重篤なものとしては大腿部の動脈を損傷した場合などがある
  30. ^ 2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備された。
  31. ^ C1に装備して発売し、ヨーロッパの一部の国ではヘルメット着用義務の例外として扱われる車種となった。
  32. ^ ヘルメットリムーバーまたエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されており、ヘルメットリムーバーにおいてはロードレースなどの競技会で義務化されつつある。

出典

  1. ^ a b c d 広辞苑 第五版
  2. ^ 日本のオートバイの歴史。- 二輪車メーカーの興亡の記録。、P. 7
  3. ^ 百年のマン島 - TTレースと日本人、P.179-180
  4. ^ a b c d e f g 世界大百科事典 第4巻
  5. ^ 『図解入門よくわかる最新バイクの基本と仕組み』秀和システム、2010)第二章
  6. ^ a b International Council on Clean Transportation European Vehicle Market Statistics - Pocketbook 2013
  7. ^ 日本自動車工業会 「インド自動車市場とその将来」 他の国のデータと年次が異なり2004年の数値である。
  8. ^ 出典元に記載が無いため、記載されている台数と台湾の頁の人口より算出。
  9. ^ 日本自動車工業会 「世界各国/地域の二輪車保有台数」
  10. ^ 注 - 四輪の自動車の価格は発展途上国では年収と比較して高すぎ手が届かないのでオートバイが購入される。発展途上国の多くでは、オートバイは特に重要な交通手段である。
  11. ^ a b c d 日本のオートバイの歴史。 - 第3章 ガソリン・エンジンの誕生P. 23-30
  12. ^ 日本のオートバイの歴史。 - 第2章 後進・日本のオートバイ産業P. 19-22
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n 日本のオートバイの歴史。 - 第4章 黎明期の日本のオートバイ界P. 31-66
  14. ^ a b c d e f 日本のオートバイの歴史。 - 第1章 オートバイ技術の内容P. 7-18
  15. ^ a b c d e f g h i 日本のオートバイの歴史。 - 第5章 敗戦とそのあとに来たものP. 67-82
  16. ^ 後に中日本重工は新三菱重工となり、後に3社は合併し、再び三菱重工業となる。新三菱重工は実質上三菱自動車工業の前身ともいえる面を持っており、後のミニカミニキャブの礎となった三菱・360の成功を契機に二輪・オート三輪を捨て四輪メーカーへと梶を切ることとなる。
  17. ^ a b 日本のオートバイの歴史。 - 第7章 オートバイ大流行の先駆・バイクモーターP. 99-116
  18. ^ a b 日本のオートバイの歴史。 - 第8章 本格的オートバイ時代到来P. 117-138
  19. ^ a b 日本のオートバイの歴史。 - 第9章 戦後派の大進出と制覇P. 139-168
  20. ^ a b c 日本のオートバイの歴史。 - 第10章 優勝劣敗強まるP. 169-192
  21. ^ a b c 日本のオートバイの歴史。 - 第11章 日本オートバイの世界制覇P. 193-202
  22. ^ Sarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38 (2) :242-5. PMID 7869444
  23. ^ 平成18年中の交通事故の発生状況について
  24. ^ Stella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14 (1) :58-61. PMID 11993836
  25. ^ Kraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52 (3) :548-53. PMID 11901334
  26. ^ 交通安全の模範例となる二輪車 - 二輪車の利用環境改善と安全走行のために | JAMAGAZINE 2007年5月号より
  27. ^ 月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210
  28. ^ European Agenda for Motorcycle Safety (PDF)


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