オートバイの種類 オートバイの種類の概要

オートバイの種類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 04:17 UTC 版)

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様々な種類のオートバイが一堂に会してのパレード。

分類

オートバイは用途、設計、特徴などのさまざまな要素によって分類され、その種類は数多い。分類方法には法規に基づく排気量や変速型式を規準にする分類や、用途、構造、特性など、利用者の価値観に基づく分類などが挙げられ、それらを組み合わせた説明がなされている場合が多い。

たとえば、1980年代に出版された百科事典では、大別すれば、

  1. スポーツ性を重視し、身体を使いつつ、走行すること自体を楽しむタイプ[1][注釈 1]
  2. 通勤、通学などの移動手段として利用される比較的小型のタイプ[1]

になるとされ、1 のスポーツ性を重視したものをさらに細分化すると、

  1. 舗装道路を快適に走るためのオンロードモデル
  2. 路面状況を選ばず走るためのオフロードモデル

に大別できるとされている[1]。さらにスポーツ性を重視したモデルの中でも、オンロード、オフロードともに一般公道での走行ができない、オートバイ競技専用の車両なども存在する。

こうした規準を踏まえたうえで、一般に流通しているオートバイを扱うカタログ雑誌ではネイキッド、スーパースポーツ、ツアラー、メガスポーツ、クルーザー、デュアルパーパス、スクーター、レーサー、ビジネスバイク、などといった分類のもとにオートバイの車種の解説が行われている[2]

排気量の大きさで区別して、排気量の大きなものを「大型バイク」、排気量の小さなものを「ミニバイク」と分類することもある。例えば駐輪場の管理者などが用いており、何cc以上を大型と見なすか、その線引きについては、さまざまな方法がある。駐輪場などでは実際上は125cc以上で線を引いている例は多いが、文言上は50cc以上としている例もある[3]。自動車免許での運転が可能な原動機付自転車など、排気量の小さなものを「ミニバイク」と呼ぶことがある。

その車両を使用したレースなどが存在し、競技車両規則から一定の仕様が求められる場合などにおいては厳格な仕様、分類などが当てはめられる場合もあるが、こうした分類はメーカーによる販売戦略を受け、使い勝手の広さをアピールする意図で他の分類を意味する単語が与えられたり、オートバイ雑誌やユーザーなどによって異なる分類がなされ、さらなる細分化がなされることがある。したがって、以下に列記する分類名は必ずしも普遍的なものではない。

オンロードモデル

オンロード車でワインディングロードを駆けるのもオートバイの楽しみ方のひとつである。
オンロードモデルを用いてサーキットでレースを行う、という楽しみ方もある。

オートバイメーカーの総合カタログなどにも用いられる大分類で、ロードスポーツロードバイクとも呼ばれる。舗装路を快適に走行できるように工夫されたタイプのオートバイを総称してこのように分類され、道路舗装の進んだ日本などの国では最も車種構成の幅広い分類である。

ネイキッド
日本以外ではスタンダード(: standard)やロードスター(: roadster)と呼ばれる、最も基本的な車体構成を持つ車種である。日本では1980年代にカウルを装備した車種が流行したのち、カウルの無い車種を区別して「ネイキッド」と呼ぶことが一般化した。それ以前は戦中戦後に日本で多く見られたアメリカンとは対照的に、ヨーロッパで広まっていたスタイルの車種として「ヨーロピアン」と呼ばれていた。
ストリートファイター
カウルを装備していないオートバイの分類で、ネイキッドを細分化した1ジャンルとして扱われる場合もある。乗車姿勢やエンジンの特性は乗りやすさよりも走行性能を重視している[4][5]
スーパースポーツ
サーキットなどでのスポーツ性の高い走行に比重をおいた車種である。乗車姿勢は前傾が強くスポーツ性が高いが、クッションが硬いシートなどにより、長距離走行では疲れやすい。日本ではかつてレーサーレプリカと呼ばれた。
メガスポーツ
外観はスーパースポーツに近いが、大排気量のエンジンと比較的大柄な車体を持ったものをこのように呼ぶ場合がある。
ツアラー
長距離のツーリングを快適に行うことを目的とした設計がなされた車種をこのように分類する。総じて、乗員に当たる走行風を軽減するための大きめのカウルや、長距離でも疲れにくい乗車姿勢の車体構成を持ち、直進安定性の高い車体特性などを備えている。高出力エンジンを搭載したハイスピードツアラーや、旋回性能などを高めたスポーツツアラーなどのように細分化される場合もある。
アメリカン
北米大陸の郊外に多く見られる直線道路を長く移動する利用環境のなかで、アメリカ合衆国を中心に発達したタイプを日本ではこのように呼び、オートバイメーカーの分類にも用いられる。英語圏ではクルーザー(: cruiser)と呼ばれる。ドラッグレースをイメージさせるものはドラッグとも呼ばれる。
ストリートバイク
取り回しが楽で、市街地走行に十分なエンジン性能をもつ車種をストリートバイクと呼ぶ場合がある。空冷単気筒エンジンやシングルクレードルフレームといったシンプルな車体構成により改造の自由度が高く、スカチューンローダウンといったカスタムのベースとされる。
オールドルック
スポークホイールや空冷エンジンなど、旧車が持つ外観的特徴を持つものをこのように分類する。本当の旧車は設計や製造そのものが古いのに対し、オールドルックは昔の(オールド)オートバイを模した外観(ルック)の意匠を持つだけで、部品は新しい設計のものが搭載されている。
カフェレーサー
イギリスロッカーズが1970年代に始めたとされる改造スタイル。カフェを起点とする短時間の公道レースに使うため、市販車を当時のグランプリロードレース車両を模したスタイルにチューンしている。
後にメーカーからカフェレーサー風のデザインを採用したモデルや交換用の純正パーツが販売されているが、乗車姿勢を調整し乗りやすく仕上げたモデルが多い。
スクランブラー
スクランブルレースで用いられたオンロードバイクの車体にオフロードタイヤを履かせたオフロードバイクの原型となったタイプ。
ビッグスクーター
排気量の大きなスクーターをビッグスクーターと呼び分ける場合がある。

注釈

  1. ^ スポーツレースとは別の言葉で、同義ではない。
  2. ^ ヘッドライト、ブレーキランプ、ウィンカー など。
  3. ^ ファミリーバイク特約と称して125cc以下のオートバイに限定した保障内容を設けるなど。
  4. ^ 施錠可能な金属製ケースや、岡持ちを積載する出前機など。
  5. ^ 日本以外ではこうしたビジネスバイクを総括してアンダーボーン(en:Underbone)と呼ばれている。

出典

  1. ^ a b c 世界大百科事典 第4巻、P. 303 オートバイ
  2. ^ 青木タカオ『図解入門よくわかる最新バイクの基本と仕組み』秀和システム、2010年
  3. ^ [1] (PDF)
  4. ^ Wallis, Michael; Clark, Marian (2004), Hogs on 66: Best Feed and Hangouts for Road Trips on Route 66, Council Oak Books, ISBN 9781571781406, https://books.google.co.jp/books?id=4b_qJyw-ZX8C&redir_esc=y&hl=ja, "Streetfighter -- Also known as a 'hooligan' cycle, this is a sports-bike stripped of all superfluous bodywork." 
  5. ^ Doeden, Matt; Leonard, Joe (2007), Choppers, Lerner Publications, ISBN 9780822572886, https://books.google.co.jp/books?id=7wDcbl-UsmYC&pg=PA46&redir_esc=y&hl=ja, "streetfighter: a type of superbike customized for maximum speed and performance." 
  6. ^ バイクのカテゴリー ストリートエッセイ 【STREET-RIDE】ストリートバイク ウェブマガジン”. 株式会社バイクブロス. 2015年10月22日閲覧。
  7. ^ a b 交企発第434号交指発第590号 (PDF) 石川県警察 平成2年12月26日
  8. ^ 仕様:PW50 - バイク スクーター”. ヤマハ発動機株式会社. 2014年3月31日閲覧。 “PW50は体重が25kg以下の方の使用を想定して開発しています。”


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