エクゾスカル 零 エクゾスカル 零の概要

エクゾスカル 零

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/03/29 09:28 UTC 版)

エクゾスカル 零
ジャンル 近未来SF
漫画
作者 山口貴由
出版社 秋田書店
掲載誌 チャンピオンRED
レーベル チャンピオンREDコミックス
発表号 2010年12月号 -
巻数 既刊6巻
テンプレート - ノート 

概要

前作『シグルイ』が『チャンピオンRED』の2010年9月号で連載を終了した山口から編集に対する3ヵ月後に新連載をするとの約束により開始された連載であるが、『シグルイ』を終えた後の達成感でしばらくゴロゴロしていて時間の感覚が希薄になっていたため、雑誌の予告に名前が出ているのを見て驚いたと語っている[1][2]。作中では『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載していた『覚悟のススメ』や『ヤングアニマル』(白泉社)で連載していた『蛮勇引力』に関連するキーワードが幾つも出ており、これはクロスオーバーというより、山口の中では今まで描いてきた作品は全てつながっており、生涯をかけて1つの大きな物語を描くと思っているとのことである[1]

それぞれの時代で正義の戦士として人々を守ってきたヒーローが、文明が完全に崩壊した世界で目覚め、これまでの正義や守るべきものが存在しない、絶望の世界での出会いや闘いを描く、という物語構造を取っている。主要キャラである「エクゾスカル」所有者はいずれもそれぞれが生きていた時代の主人公であり正義のヒーローという設定で、各自が主人公としての戦いの履歴や設定を持っている。作中では彼らの回想シーンなどの際、各作品のタイトルとともに、所属・敵対していた組織などの内容が明らかになっている。また、エクゾスカル所有者達には「七つの大罪」をモチーフにした、罪を意味する用語が1つずつあてがわれているのが、本編や単行本の紹介文などで明かになっている。

時系列としては、『覚悟のススメ』→『開花のススメ』(『チャンピオンREDいちご』(秋田書店)連載)→『衛府の剣』(動地憐が活躍した時代)→『蛮勇引力』(西暦2051年)→『鉄腕探偵リッカ』[3](初夜六花が活躍した時代)→『大帝戦記レオクロス』(九十九猛が活躍した時代)という順で、『覚悟』の時代に破壊された世界が『開花』の時代に復興を始め、『衛府』の時代に新エネルギーでほぼ復興を遂げたが、『蛮勇引力』の時代に再び崩壊した、という流れになっている[1]

あらすじ

これは地獄を旅する少年と鎧の物語

覚悟と零の地獄篇

時代は21世紀の終末。文明は崩壊し、僅かな食料の備蓄とともに幾つかの地下施設に籠る者達を除いて人類は滅亡していた。

少年が目覚めたのは、そんな時代。少年の名は葉隠覚悟。目覚めた彼を襲った豹と武装兵士を退けた後、意思を持つバイク・モーントヴォルフを従えて、彼は地下世界を巡り始めた。

そこは地獄。とうに死に果てた人間達が高性能な人工臓器に動かされて覚悟を襲い、覚悟は戦術神風で彼らを沈黙させる。屍を踏み越え進む覚悟は、眠りについた時から遥かな時間が経過していることを知る。かつて彼が愛した友や歌は、もうどこにも存在しない。

地上に出た覚悟を待っていたのは1人の少年と豹。少年の名は九十九猛。猛は覚悟と同じ正義を行う者だった。2人の正義が衝突する激闘の後、モーントヴォルフに跨り、覚悟と零は果てしない荒野を巡る。過酷な環境に適応し生き延びる生物たちを滅ぼしながら。すべては、牙をもたぬ人々を守るため…

凍てつく世界の只中で、覚悟が出会ったのは1人の少女。少女の名は初夜六花。覚悟と同じ正義を行う者だった。

登場人物

葉隠 覚悟(はがくれ かくご)
本編の主人公。零の着装者。「牙を持たぬ人」を守るため、世界征服を企む超能力者や科学者、カルト教団を相手に人知れず戦ってきた一族の末裔。彼の時代での活躍が終わった後に冷凍睡眠に就いており、目覚めた後は戦闘に関すること以外全ての記憶を失っていた。
山口作品『覚悟のススメ』の主人公と同名だが、基本設定をはじめ、性格や武装なども若干異なる。
常に冷静で、表情を崩すことはほとんどない。「不当な攻撃には正当な報復を」という理念の下、危害を加えようとする者に対しては仮借ない反撃を行う。体内に埋め込まれた8個の鉄球を、己の意思により体内に吸収し、武器や防具に変えることで素手の状態であっても猛獣や武装した兵士を相手に互角以上に戦うことが出来る。また、習得した戦技“零式防衛術”は、防爆服で身を包んだ兵士をも絶命させ得る威力を持つ。
「傲慢」の罪を持つとされる。
九十九 猛(つくも たける)
霹の着装者。目覚めた覚悟が地上に出て最初に出会った“正義を行う者”。傍らに豹を従えた、女性と見紛うような美しい顔立ちをした少年。必殺技やとっておきという意味で「エクセレント」を多用する。
生まれた時はクラゲのように内臓や脳が透けた状態だったため、生命を維持するための最低限の行動さえも不可能だった。そのため、メタルペインという人工骨格を入れられ、成長する度に骨格を入れ直してきた。やがて鎧を纏えるほどに体が強くなった時、弱き人間たちを支えることこそが己の使命と考えるようになった。栄養の補給は錠剤の服用によって行っている。
長い眠りから覚醒した後、変わり果てた世界と過酷な環境に適応し変貌した人類を目の当たりにして、“生きようと願う者”を守ることを誓う。
新人類・甲殻霊長類を守るため、覚悟と死闘を繰り広げ、身に纏う電磁装甲の使用制限時間が切れた後、甲殻霊長類たちの糧食とするべく我が身を捧げる。その後、動地憐によって体を回収され、再生される。
「暴食」の罪の持ち主とされている。
動地 憐(どうち れん)
震電の着装者で、“正義を行う者”の1人。額と左頬に傷のある、精悍な顔つきをした巨漢。
自身が神命と定めた「メデューサ計画」を行うため、雹、霆をはじめとする零式特殊武装、即ち鎧を収集している。
過去の回想(『衛府の剣』)で、牙なき人々全てを守りたいという「強欲」を指摘され、自身もそれを自覚している。
平和だった時代には大学でラグビー部に所属。ポジションはロック (LO)。その巨体とパワーから企業からスカウトが来るほどだった。生身でも1トンのベンチプレスを上げるらしく、メタルフレームの影響で体重180キログラムにもなる澪を軽々と抱き上げ、またその怪力とタフネスは白兵戦においても強力無比な武器となっている。
震電挺身隊(しんでんていしんたい)
動地憐につき従う者達。強化外骨格を身に纏い、スキンヘッドの中央に「六」「七」などの数字が書かれている。元は衛府(後述)の人間たちの末裔。
動地 澪(どうち みお)
動地憐の妹。震電挺身隊の者と同様に、額に「一」と書かれているが、剃髪はしていない。六花からは「妹氏」と呼ばれている。
その正体はアンドロイド・神造磁力線機「澪」(後述)。文明が崩壊する前の世界では、足が不自由なため車椅子に乗って生活していた。アンドロイド・「澪」には、人間・「澪」の脳だけが残っている[1]
初夜 六花(はつや りっか)
雪の装着者。右頬にほくろのある、ふくよかで活力に満ちた少女。動地憐の婚約者。
雪の結晶が描かれた帽子を被っており、極寒の中でも腹部や腕を露出した服を着て平然としている。着ている服は、3タイプに変形可能。
小柄で鎧の装着基準を満たしていないが、エクゾスカルの装着時には靭帯拡張剤を注入されることで関節が極限まで伸ばされ、着装可能な体格に変化する。正義の味方である自分の意思を誰よりも重んじる性格。
「姦淫」の罪の持ち主とされている。
黒須 京馬(くろす きょうま)
雷電の着装者。“正義を行う者”の1人。『覚悟のススメ VOLTEX』及び、『開花のススメ』に登場した着装者と同名。
兵頭 伊織(ひょうどう いおり)
霄の装着者。葉隠一族の支流・兵頭家の女性戦士。到達者(後述)となるくらいなら人の心のままで死にたいと願っており、憐の思想を理解しない覚悟に襲い掛かるが敗北した。
現人鬼(あらひとおに)
1000年の眠りについていたエクゾスカル戦士の1人。両性具有で、体には覚悟の何倍もの数の零式鉄球が埋め込まれている。
「憤怒」の罪の持ち主とされている。
大衛兵 震(だいえいへい しん)
現人鬼を守護する「超越者」と呼ばれる存在。本名は不明。髪を短く刈り込んだ褐色の肌の大男で、憐を凌駕するほどの巨躯の持ち主。刀で強化外骨格をも切り裂く、卓越した戦闘能力の持ち主。着装する強化外骨格は、『覚悟のススメ』に登場する「震」に酷似している。



  1. ^ a b c d 『チャンピオンRED』2012年12月号の、610ページ掲載の作者インタビューより。
  2. ^ ニコニコ生放送「小池一夫・回」へのゲスト出演の際の編集者の一存で決められたことで山口自身は寝耳に水だったという発言は『チャンピオンRED』のインタビューで誤解を招く発言だったと訂正している。
  3. ^ 本編内での六花の作中作タイトルは「軍用乙女ユキ」だが、インタビューでは「鉄腕探偵リッカ」となっている。単行本掛け替えカバーの記載によれば、六花は2本の作品に出ているとのこと。
  4. ^ 強化外骨格の名称は、単行本収録版を記載。雑誌掲載時は“エクゾスカル禅”“エクゾスカル鱗”だが、単行本収録時には“エクゾスカル雪”“エクゾスカル霧”となっている。
  5. ^ エクゾスケルトン (Exoskeleton) は、外骨格のこと。


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