エクゾスカル 零 エクゾスカル 零の概要

エクゾスカル 零

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/25 05:28 UTC 版)

エクゾスカル 零
ジャンル 近未来SF
漫画
作者 山口貴由
出版社 秋田書店
掲載誌 チャンピオンRED
レーベル チャンピオンREDコミックス
発表号 2010年12月号 - 2015年1月号
巻数 既刊7巻(2014年8月現在)
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概要

前作『シグルイ』が『チャンピオンRED』の2010年9月号で連載を終了した山口から編集に対する3ヵ月後に新連載をするとの約束により開始された連載であるが、『シグルイ』を終えた後の達成感でしばらくゴロゴロしていて時間の感覚が希薄になっていたため、雑誌の予告に名前が出ているのを見て驚いたと語っている[1][2]。作中では『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載していた『覚悟のススメ』や『ヤングアニマル』(白泉社)で連載していた『蛮勇引力』に関連するキーワードが幾つも出ており、これはクロスオーバーというより、山口の中では今まで描いてきた作品は全てつながっており、生涯をかけて1つの大きな物語を描くと思っているとのことである[1]

それぞれの時代で正義の戦士として人々を守ってきたヒーローが、文明が完全に崩壊した世界で目覚め、これまでの正義や守るべきものが存在しない、絶望の世界での出会いや闘いを描く、という物語構造を取っている。主要キャラである「エクゾスカル」所有者はいずれもそれぞれが生きていた時代の主人公であり正義のヒーローという設定で、各自が主人公としての戦いの履歴や設定を持っている。作中では彼らの回想シーンなどの際、各作品のタイトルとともに、所属・敵対していた組織などの内容が明らかになっている。また、エクゾスカル所有者達には「七つの大罪」をモチーフにした、罪を意味する用語が1つずつあてがわれているのが、本編や単行本の紹介文などで明かになっている。

時系列としては、『覚悟のススメ』→『開花のススメ』(『チャンピオンREDいちご』(秋田書店)連載)→『衛府の剣』(動地憐が活躍した時代)→『蛮勇引力』(西暦2051年)→『鉄腕探偵リッカ』[3](初夜六花が活躍した時代)→『大帝戦記レオクロス』(九十九猛が活躍した時代)という順で、『覚悟』の時代に破壊された世界が『開花』の時代に復興を始め、『衛府』の時代に新エネルギーでほぼ復興を遂げたが、『蛮勇引力』の時代に再び崩壊した、という流れになっている[1]

あらすじ

地獄篇

これは地獄を旅する少年と鎧の物語

覚悟と零の地獄篇

はるかな未来。文明が崩壊し、人類が絶滅に瀕した世界。冷凍睡眠から目覚めた正義を行う者、葉隠覚悟・“エクゾスカル零”は、意思を持つバイク・モーントヴォルフを従えて、荒廃した地下施設から地上に出た。

覚悟を待っていたのは、彼と同じように冷凍睡眠されていた正義を行う者九十九猛・“エクゾスカル霹”。過酷な環境に適応した異形の新人類を守ろうとする猛の正義と、あくまで滅びゆく人類の刃たろうとする覚悟の正義は衝突する。

猛との激闘を制した覚悟は、残った人々を求め、果てしない荒野を巡る。そこに人間の姿はなく、環境に適応して生き延びる異形の生物たちだけがいた。覚悟はその生物たちを、容赦なく滅ぼしていく。“自分は死神ではないのか”その苦悩を抱えながら…。

やがて覚悟は、ひとりの少女と出会う。少女の名は初夜六花。覚悟と同じ正義を行う者“エクゾスカル雪”だった。彼女を通じて覚悟は、正義を行う者“エクゾスカル震電”こと動地憐が、強化外骨格を集め、メデューサ計画なる計画を企てていることを知る。憐から差し向けられた震電挺身隊を排した覚悟は、彼の待つヴァールハイト精神城に赴く。そんな中、覚悟は自分の記憶が何者かに奪われていることを自覚する。

動地憐との邂逅を果たした覚悟は、彼からこの世界の真実とメデューサ計画の全容を知る知らされるが、憐の正義と覚悟の正義は相容れることはなかった。覚悟は動地憐に発砲し、精神城から遁走。細胞賦活液で蘇生した憐は、覚悟への応報に燃えてその後を追い、ついに最強不敗のふたりの戦士、零と震電は互いの正義を賭けて軍事衝突する。激戦の中、覚悟は、安らかな眠りを乞う人々の姿を見る。その残存人類の願いこそが、この世界にエクゾスカル戦士たちを覚醒させたものだった。しかし覚悟の武人の魂は承服を拒み、憐の放つ残存人類の祈りを込めた拳を覚悟は因果で打ち砕く。覚悟は憐を締め落とし、勝敗を決する。

2人が雌雄を決したその場に、六花と共に現れた黒須京馬こと“エクゾスカル雷電”は、憐を否定した覚悟の正義を問う。地獄を流浪した果てに覚悟が至った悟りとは「限られた時間の中で生き、満ち足りることなく死ぬのが人間である」。出会った“正義を行う者”たちと袂を分かった覚悟は、ふたたび、ひとりで流浪の旅を始めるのだった。

煉獄篇

果てしない荒野をバイクに跨って流離う少年がいた。少年の名は御菩薩木紡。覚悟と同じ正義を行う者だった彼は、ある悲劇を経験した後、正義失格者となった。

登場人物

葉隠 覚悟(はがくれ かくご)
本編の主人公。零の着装者。白い軍服を纏う少年。「牙を持たぬ人」を守るため、世界征服を企む超能力者や科学者、カルト教団を相手に人知れず戦ってきた一族の末裔。山口作品『覚悟のススメ』の主人公と同名だが、基本設定をはじめ、性格や武装など若干異なる。
彼の時代での活躍が終わった後に冷凍睡眠に就いており、目覚めた後は零式防衛術の倫理と、戦闘経験以外全ての記憶を失っていた。そのためか、心に欠落したものがあることを自覚しており、必要と判断すれば、容赦ない攻撃を躊躇なく行う冷酷非情な“死神”となっている。
常に冷静で、表情を崩すことはほとんどない。「不当な攻撃には正当な報復を」という理念の下、危害を加えようとする者に仮借ない反撃を行う。体内に埋め込まれた8個の鉄球を、己の意思により体内に吸収し、武器や防具に変えることで素手の状態であっても猛獣や武装した兵士を相手に互角以上に戦うことが出来る。また、習得した戦技“零式防衛術”は、防爆服で身を包んだ兵士をも容易く絶命させ得る威力を持つ。
「傲慢」の罪を持つとされ、絶望に満ちた世界でも頑ななまでに「正義」を守ることに拘っている。
九十九 猛(つくも たける)
霹の着装者。目覚めた覚悟が地上に出て最初に出会った“正義を行う者”。傍らに豹を従えた、女性と見紛うような美しい顔立ちをした少年。必殺技やとっておきという意味で「エクセレント」を多用する。
生まれた時はクラゲのように内臓や脳が透けた状態だったため、生命を維持するための最低限の行動さえも不可能だった。そのため、メタルペインという人工骨格を入れられ、成長する度に骨格を入れ直してきた。やがて鎧を纏えるほどに体が強くなった時、弱き人間たちを支えることこそが己の使命と考えるようになった。栄養の補給は錠剤の服用によって行っている。
長い眠りから覚醒した後、変わり果てた世界と過酷な環境で生き延びるために変貌した人類を目の当たりにして、“生きようと願う者”を守ることを誓う。
新人類・甲殻霊長類を守るため、覚悟と死闘を繰り広げ、身に纏う電磁装甲の使用制限時間が切れた後、甲殻霊長類たちの糧食とするべく我が身を捧げる。その後、動地憐によって体を回収され、再生される。
「暴食」の罪の持ち主とされている。
動地 憐(どうち れん)
震電の着装者で、“正義を行う者”の1人。額と左頬に傷のある、精悍な顔つきをした巨漢。初夜六花の婚約者。平時は優しく礼節をわきまえた好漢だが、気が高ぶっている時は口調が荒っぽくなる。
ヴァールハイト精神城を居城とし、震電挺身隊を率いて、自身が神命と定めた「メデューサ計画」を行うため、雹、霆をはじめとする零式特殊武装である鎧を収集している。
冷凍睡眠する以前は衛府の戦士として帝都を守っていたが、元々は大学のラグビー部で活躍する選手だった。ポジションはロック (LO)。その巨体とパワーから企業からスカウトが来るほどだった。生身でも1トンのベンチプレスを上げるらしく、メタルフレームの影響で体重180キログラムにもなる澪を軽々と抱き上げ、またその怪力とタフネスは白兵戦においても強力無比な武器となっている。
その資質を見込まれて、衛府から震電の着装者となることを求められるが、一度は拒み、普通の社会人として平穏に暮らしていた。しかしエクゾスカル雷電との偶然の出会いが、彼を震電の着装者になることを決意させた。その時、雷電に語られた人間の“火”を守るという強い使命感を抱いている。
六花は彼を「最強のエクゾスカル戦士」と評しているが、覚悟曰く、その属性は「牙なき人」であり、上記の来歴からも生粋の戦士ではない。そのパワーや仲間への思いやり、“火”を守るという使命感は、ラグビー選手としての経験に培われたものである。
過去の回想(『衛府の剣』)で、牙なき人々全てを守りたいという「強欲」を指摘され、自身もそれを自覚している。
震電挺身隊(しんでんていしんたい)
動地憐につき従う者達。強化外骨格を身に纏い、スキンヘッドの中央に「六」「七」などの数字が書かれている。元は衛府(後述)の人間たちの末裔。
動地 澪(どうち みお)
動地憐の妹。震電挺身隊の者と同様に、額に「一」と書かれているが、剃髪はしていない。六花からは「妹氏」と呼ばれている。
その正体はアンドロイド・神造磁力線機「澪」(後述)。文明が崩壊する前の世界では、足が不自由なため車椅子に乗って生活していた。アンドロイド・「澪」には、人間・「澪」の脳だけが残っている[1]
初夜 六花(はつや りっか)
雪の装着者。右頬にほくろのある、ふくよかで活力に満ちた少女。自称「鉄腕探偵」。正義の味方である自分の意思を誰よりも重んじる性格。雪の結晶が描かれた帽子を被っており、極寒の中でも腹部や腕を露出した服を着て平然としている。着ている服は、3タイプに変形可能。
冷凍睡眠から目覚めた後、動地憐と出会い、その婚約者となった。しかし憐のメデューサ計画の全容は知らされておらず、憐を支援するために覚悟と接触した。
両手首に埋め込まれたエクゾスカルチップを接触(交差)させることでエクゾスカル雪を装着するが、彼女をメデューサ計画に関わらせたくない憐によってエクゾスカルチップを摘出されていた。後に取り返し、奥歯にエクゾスカルチップを埋めている。
小柄で鎧の装着基準を満たしていないが、エクゾスカルの装着時には靭帯拡張剤を注入されることで関節が極限まで伸ばされ、着装可能な体格に変化する。
「姦淫」の罪の持ち主とされている。
黒須 京馬(くろす きょうま)
雷電の着装者。“正義を行う者”の1人。『覚悟のススメ VOLTEX』及び、『開花のススメ』に登場した着装者と同名。白衣をまとった痩身の成人男性で、頭髪の一部が白髪になっている。冷凍睡眠に就く前には、戦地の封鎖された難民キャンプで救命医師として活動していた。
冷凍睡眠から目覚めた後、到達者を確保、監禁観察して研究し、それがすでに人間ではないことを確認し、到達者を虐殺した。やがて流浪の末に出会った人間の家族を守りながら暮らすようになるが、ある日、その人間が到達者に変貌したことで、この世界の真実を悟る。
御菩薩木 紡(みぞろぎ つむぐ)
“正義を行う者”の1人で、霧の装着者。パイロットの風体をした快活な少年で、ポケットモンキーの外見をした追従式端末・ヒデヨシを伴っている。正義感が強くヒーローの自覚を持っていたが、ガソリンビレッジ(後述)の住民を虐殺したトリデの人々を、霧を装着して断罪、殺戮したことから正義失格者となった。
兵頭 伊織(ひょうどう いおり)
霄の装着者。葉隠一族の支流・兵頭家の女性戦士。到達者(後述)となるくらいなら人の心のままで死にたいと願い、自らの意思でメデューサ計画に挺身。憐の思想を理解しない覚悟に襲い掛かるが敗北した。
現人鬼(あらひとおに)
1000年の眠りについていたエクゾスカル戦士の1人。両性具有で、体には覚悟の何倍もの数の零式鉄球が埋め込まれている。外見は『覚悟のススメ』の覚悟の兄・葉隠散に酷似しており、現人鬼という呼び名も散と同じもの。作中においても覚悟を弟と呼ぶ。
世俗との関わりを絶って、汚染地帯にある構造物に部下と思しき数名の者と共にいる。その構造物は『覚悟のススメ』に登場する「G.ガラン」の頭部に酷似している。
訪れた動地憐を検分すると、やがてその要望通り自分が保有する「霞」を譲り渡した。その後の、覚悟と憐の戦いもモニターしていたようである。
「憤怒」の罪の持ち主とされている。
大衛兵 震(だいえいへい しん)
現人鬼を守護する「超越者」と呼ばれる存在。本名は不明。髪を短く刈り込んだ褐色の肌の大男で、憐を凌駕するほどの巨躯の持ち主。刀で強化外骨格をも切り裂く、卓越した戦闘能力の持ち主。着装する強化外骨格は、『覚悟のススメ』に登場する「震」に酷似している。
ゼブラ、モモカ、カズマ
紡が出会った一般人たち。辿り着いた高床式住居「トリデ」で、到達者からの襲撃を警戒しながら生活する残存人類の人々。自らを「原種(オリジン)」と称し、自分たちは到達者やいずれ到達者となる者たちとは異なるとの選民的な考えを持つ。
ヒナタ
紡が燃料村(ガソリンビレッジ)で出会った少年。



  1. ^ a b c d 『チャンピオンRED』2012年12月号の、610ページ掲載の作者インタビューより。
  2. ^ ニコニコ生放送「小池一夫・回」へのゲスト出演の際の編集者の一存で決められたことで山口自身は寝耳に水だったという発言は『チャンピオンRED』のインタビューで誤解を招く発言だったと訂正している。
  3. ^ 本編内での六花の作中作タイトルは「軍用乙女ユキ」だが、インタビューでは「鉄腕探偵リッカ」となっている。単行本掛け替えカバーの記載によれば、六花は2本の作品に出ているとのこと。
  4. ^ 強化外骨格の名称は、単行本収録版を記載。雑誌掲載時は“エクゾスカル禅”“エクゾスカル鱗”だが、単行本収録時には“エクゾスカル雪”“エクゾスカル霧”となっている。
  5. ^ エクゾスケルトン (Exoskeleton) は、外骨格のこと。


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