ウィキリークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 01:44 UTC 版)
投稿された文書の検証
誤解を生じさせる、又は、騙すように意図的に作られた内部告発情報がウィキリークスを通して、社会に出回ってしまうのではないかという懸念に対し、ウィキリークスは「そのようなものは、主要メディアにおいて、既にある程度の地位を獲得してしまっている。たとえ、ウィキリークスがその中の一つとなったとしても、状況は何も変わらない。」と反論している[23]。FAQは、「単純でいてかつ最も効果的な対抗策として、リークされた文書を精査し、議論できるだけの十分な知識を有しているユーザーから成る世界規模のコミュニティーがあるのだ」と述べている[24]。
主な内部告発行為
前述のとおり、ウィキリークスはアジアやアフリカや中東の独裁政権に対抗する目的を有しているが、実際には欧米の政府に不都合な情報が多数を占めている。
サラ・ペイリンのヤフーアカウントハッキング
2008年9月、アメリカ合衆国大統領選挙期間中、共和党副大統領候補者であるサラ・ペイリンのヤフーアカウントが、ウィキリークスに投稿された。
イラク戦争の民間人殺傷動画公開事件
2010年4月、ウィキリークス上にて、2007年7月12日のイラク駐留アメリカ軍ヘリコプターがイラク市民やロイターの記者を銃撃し殺傷した事件の動画が公表された。2010年5月、米軍諜報アナリストとされる軍人がこの動画と、外交機密文書約26万件をウィキリークスに提供したことが発覚し、この軍人は逮捕された[25]。
アフガン紛争関連資料公開事件
2010年7月25日、ウィキリークスにてアフガニスタン紛争に関するアメリカ軍や情報機関の機密資料約75000点以上が公表された。提供された資料は9万点以上に及ぶという。これは2004年から2009年にかけての記録で、パキスタンの情報機関「ISI」とアフガン武装勢力との関係や、未公表の民間人死傷案件、アフガン側のアメリカへの情報提供者の身元情報が含まれていた[26][27]。これに対しアメリカのロバート・ゲーツ国防長官はFBIに捜査協力を要請した。国防総省内の内部告発者のみならず、ウィキリークス側にも捜査の手を広げようという意図があると言われている[28]。
文章をリークした罪で米国諜報員のブラッドリー・マニング(22歳)が告発されて降格かつ不名誉除隊となり、35年の禁固刑が言い渡された [29]。
イラク戦争の米軍機密文書公開事件
2010年10月22日、イラク戦争に関する米軍の機密文書約40万点をウィキリークス上で公開した。ウィキリークスは声明で「民間人が検問で無差別に殺されたとの報告や、連合軍部隊によるイラク人拘置者への拷問のほか、屋根に反政府勢力と疑わしい人物が1人いるという理由で、米軍兵士が民間施設を丸ごと爆破した報告がある」としている。
国防総省のモレル報道官は「ウィキリークスが法律に背いて情報を流出させるように個人に働きかけ、傲慢に機密情報を世界と共有することを遺憾に思う」とコメントしている[30]。
アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件
2010年11月29日より、米国外交機密文書約25万点の公開を開始。内容としては、公式では公開されることのなかった外交公電や世界中の重要施設についての情報などが含まれており、当初は少しずつ文書を新たに公開していくという手法をとっていたが、2011年9月2日にすべての文書を未編集のまま全公開した[31]。
CIAによるハッキング関係機密文書公開事件
2017年3月7日、アメリカ合衆国中央情報局(CIA)の、Microsoft Windows、iPhone、Android、サムスン電子製スマートテレビ等に対するハッキング技術に関する機密文書が公開された。同文書によるとイギリスの保安局や政府通信本部も関わっているとされる[32][33]。
備考
- ドイツで子供の名前を「ウィキリークス」と名づけようとしたところ、市当局が子供の将来に悪影響を及ぼすとして、受理を断られたケースがある[34]。
- ^ http://wlcentral.org/
- ^ “ウィキリークスとジャーナリズム”. Global News View (GNV), Virgil Hawkins. 2019年5月10日閲覧。
- ^ “Wikileaks has 1.2 million documents?”. Wikileaks. 2008年2月28日閲覧。
- ^ Agence France Press (2007年1月11日). “Chinese cyber-dissidents launch WikiLeaks, a site for whistleblowers”. The Age 2008年2月28日閲覧。
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- ^ a b Paul Marks (2007年1月13日). “How to leak a secret and not get caught”. New Scientist 2008年2月28日閲覧。
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- ^ “Wikileaks Releases Secret Report on Military Equipment”. The New York Sun. (2007年9月9日) 2008年2月28日閲覧。
- ^ “Website wants to take whistleblowing online”. CBC News. (2007年1月11日) 2008年2月28日閲覧。
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- ^ Wikileaks judge gets Pirate Bay treatment - The Register
- ^ “Is Wikileaks blocked by the Chinese government?”. Wikileaks (2008年). 2008年2月28日閲覧。
- ^ “機密暴露サイトの閲覧制限 タイ政府、理由は明かさず”. 朝日新聞. (2010年8月18日). オリジナルの2010年8月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ Daniel Friedman "Web site aims to post government secrets"[リンク切れ], Federal Times, 4 January 2007.
- ^ wikileaks.org
- ^ WikiLeaks(ウィキリークス)が新たな注目の的に - 問題の動画と創始者の横顔 - 小林恭子の英国メディア・ウオッチ
- ^ “米軍:機密が大量流出…サイト公開、軍中枢の人物関与か”. 毎日jp. (2010年7月26日). オリジナルの2010年8月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ “ウィキリークス アフガンの協力者の身元も流出 生命に危機、FBIも捜査”. MSN産経ニュース. (2010年7月30日). オリジナルの2010年12月2日時点におけるアーカイブ。
- ^ ウィキリークス:FBIに捜査依頼 アフガン資料流出で - 毎日jp[リンク切れ]
- ^ “ブラッドリー・マニング被告に35年の禁錮刑--WikiLeaksへの軍事機密漏えいの罪で”. CNET Japan (ASAHI INTERACTIVE). (2013年8月22日) 2013年12月19日閲覧。
- ^ イラク戦争:民間犠牲さらに1万5000人 ウィキリークス、秘密文書40万件公開[リンク切れ]毎日新聞 2010年10月23日
- ^ “ウィキリークス、米公電全25万件を未編集で公開”. CNN.co.jp (CNN). (2011年9月2日) 2011年9月3日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 「自動車をハッキングして暗殺する」「テレビで部屋の会話を録音する」などCIAの極秘諜報作戦の実態を暴露する機密資料「Vault 7」をWikiLeaksが放出Gigazine2017年03月08日
- ^ “CIAハッキング暴露、対応急ぐIT企業”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2017年3月9日). オリジナルの2017年3月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ “子供の名前に「ウィキリークス」=市当局は受理せず-ドイツ”. 時事通信. (2014年4月3日). オリジナルの2014年8月13日時点におけるアーカイブ。 2014年4月4日閲覧。
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