インドール インドールの概要

インドール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/05 02:10 UTC 版)

インドール
識別情報
CAS登録番号 120-72-9
RTECS番号 NL2450000
特性
化学式 C8H7N
モル質量 117.15 g/mol
外観 白色結晶
密度 1.22 g/cm3, solid
融点

52 - 54°C (326 K)

沸点

253 - 254°C (526 K)

への溶解度 0.19 g/100 ml (20 °C)
熱水に溶ける
酸解離定数 pKa 16.2
(21.0 in DMSO)
塩基解離定数 pKb 17.6
構造
結晶構造  ?
分子の形 平面
双極子モーメント 2.11 D in ベンゼン
危険性
安全データシート(外部リンク) [1]
R/Sフレーズ R: 21/22-37/38-41-50/53
S: 26-36/37/39-60-61
引火点 121℃
関連する物質
関連する芳香族化合物 ベンゼンベンゾフラン
カルバゾールカルボリン
インデンインドリン
イサチンメチルインドール
オキシインドールピロール
スカトール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

一般的性質

インドールは室温では固体だが、大便臭を発散する。実際大便の臭い成分にもインドールが含まれる。ところが非常に低濃度の場合はのような香りがあり、オレンジジャスミンなど多くの花の香りの成分でもあって[1]香水に使われる天然ジャスミン油は約2.5%のインドールを含む。現在では合成インドールが香水や香料に使われている。またコールタールにも含まれる。

インドールはバクテリアによってアミノ酸の1種、トリプトファンの分解産物として生産される。

インドールの構造(インドール環)はいろいろな有機化合物、特に生体物質に含まれる。この中にはトリプトファンインドールアルカロイドなどがある。

対応する置換基はインドリル基と呼ばれる。 インドールは求電子置換反応を3位に受けやすく、インドールに置換基のついた構造はトリプトファンに由来する神経伝達物質セロトニンメラトニン麦角アルカロイド(またそれをもとに合成されたLSD)など幻覚作用を示すアルカロイドに含まれる。また植物ホルモンの一種オーキシン(インドリル-3-酢酸、IAA)のほか、人工化合物では非ステロイド性抗炎症剤インドメタシンβブロッカーのピンドロールなどにも含まれる。

インドールの名は植物由来の染料であるインディゴ(酸化されたインドール分子2個が連結した構造をもつ)に由来する。

歴史

バイヤーが最初に提唱したインドールの構造(1869年)

インドールの化学は染料であるインディゴの研究から始まった。インディゴはイサチンに、続いてオキシインドールに変換できる。次に、1866年、アドルフ・フォン・バイヤー亜鉛粉末を用いてオキシインドールをインドールに還元した[2]。1869年、バイヤーはインドールの構造式を提唱した[3]

特定のインドール誘導体は19世紀末まで染料として重要であった。1930年代、トリプトファンオーキシンと共に、多くの重要なアルカロイドにインドール母核構造が存在していることが知られるようになると、インドールに対する関心は高まり、今日でも活発な研究領域である[4]




  1. ^ http://www.leffingwell.com/olfact5.htm
  2. ^ Baeyer, A. (1866). “Ueber die Reduction aromatischer Verbindungen mittelst Zinkstaub”. Ann. 140 (3): 295. doi:10.1002/jlac.18661400306. 
  3. ^ Baeyer, A.; Emmerling, A. (1869). “Synthese des Indols”. Chemische Berichte 2: 679. doi:10.1002/cber.186900201268. 
  4. ^ R. B. Van Order, H. G. Lindwall (1942). “Indole”. Chem. Rev. 30: 69–96. doi:10.1021/cr60095a004. 
  5. ^ Gribble G. W. (2000). “Recent developments in indole ring synthesis—methodology and applications”. J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 (7): 1045. doi:10.1039/a909834h. 
  6. ^ Cacchi, S.; Fabrizi, G. (2005). “Synthesis and Functionalization of Indoles Through Palladium-catalyzed Reactions”. Chem. Rev. 105 (7): 2873. doi:10.1021/cr040639b. PMID 16011327. 
  7. ^ Humphrey, G. R.; Kuethe, J. T. (2006). “Practical Methodologies for the Synthesis of Indoles”. Chem. Rev. 106 (7): 2875. doi:10.1021/cr0505270. PMID 16836303. 
  8. ^ Gerd Collin and Hartmut Höke “Indole” Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2002, Wiley-VCH, Weinheim. doi:10.1002/14356007.a14_167.
  9. ^ Bratulescu, George (2008). “A new and efficient one-pot synthesis of indoles”. Tetrahedron Letters 49 (6): 984. doi:10.1016/j.tetlet.2007.12.015. 
  10. ^ Diels, Otto; Reese, Johannes (1934). “Synthesen in der hydroaromatischen Reihe. XX. Über die Anlagerung von Acetylen-dicarbonsäureester an Hydrazobenzol”. Ann. 511: 168. doi:10.1002/jlac.19345110114. 
  11. ^ Ernest H. Huntress, Joseph Bornstein, and William M. Hearon (1956). “An Extension of the Diels-Reese Reaction”. J. Am. Chem. Soc. 78 (10): 2225. doi:10.1021/ja01591a055. 
  12. ^ James, P. N.; Snyder, H. R. (1959), “Indole-3-aldehyde”, Org. Synth. 39: 30, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv4p0539 .
  13. ^ Heaney, H.; Ley, S. V. (1974), “1-Benzylindole”, Org. Synth. 54: 58, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv6p0104 .
  14. ^ Bergman, J.; Venemalm, L. (1992). “Efficient synthesis of 2-chloro-, 2-bromo-, and 2-iodoindole”. J. Org. Chem. 57 (8): 2495. doi:10.1021/jo00034a058. 
  15. ^ Alan R. Katritzky, Jianqing Li, Christian V. Stevens (1995). “Facile Synthesis of 2-Substituted Indoles and Indolo[3,2-bcarbazoles from 2-(Benzotriazol-1-ylmethyl)indole”]. J. Org. Chem. 60 (11): 3401–3404. doi:10.1021/jo00116a026. http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jo00116a026. 
  16. ^ Lynch, S. M. ; Bur, S. K.; Padwa, A. (2002). “Intramolecular Amidofuran Cycloadditions across an Indole π-Bond: An Efficient Approach to the Aspidosperma and Strychnos ABCE Core”. Org. Lett. 4 (26): 4643. doi:10.1021/ol027024q. PMID 12489950. 


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