インドール インドールの化学反応

インドール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/05 02:10 UTC 版)

インドールの化学反応

塩基性

ほとんどのアミンとは異なり、インドールは塩基性ではない。結合はピロールと完全に類似している。インドールをプロトン化するには塩酸のような非常に強い酸が必要である。プロトン化インドールのpKaは−3.6である。酸性条件下での多くのインドール化合物(例えばトリプタミン)の不安定さはこのプロトン化が原因である。

求電子置換反応

芳香族求電子置換反応に対して最も反応性が高いインドールの位置はC-3位であり、ベンゼンよりも1013倍反応性が高い。例えば、インドールのビルスマイヤー・ハックホルミル化[12]は、室温ではC-3位選択的に起こる。ピロール環がインドールの最も反応性の高い部分であるため、ベンゼン環部分の求電子置換反応はN-1、C-2、C-3位が置換された後にのみ起こる。

インドールのビルスマイヤー・ハックホルミル化

有用な合成中間体であるグラミン英語版は、インドールとジメチルアミンおよびホルムアルデヒドマンニッヒ反応により合成される。グラミンはインドール-3-酢酸および合成トリプトファンの前駆体である。

インドールからのグラミンの合成

窒素-Hの酸性および有機金属インドールアニオン錯体

N-H中心のpKaDMSO中で21であるため、水素化ナトリウムあるいはブチルリチウムといった非常に強い塩基と無水条件がインドールの完全な脱プロトン化には必要である。得られたアルカリ金属誘導体は2つの方法で反応する。よりイオン性の高いナトリウムあるいはカリウム化合物といった塩は窒素-1位で求電子剤と反応する傾向にあるが、より共有結合性の高いマグネシウム化合物(インドールグリニャール試薬)および(特に)亜鉛錯体は炭素-3位で反応する傾向にある。同様に、DMFやDMSOといった非プロトン性極性溶媒中では窒素による攻撃が起こりやすく、トルエンといった非極性溶媒中ではC-3攻撃が起こりやすい[13]

インドールアニオンの生成および反応

炭素の酸性およびC-2リチオ化

C-2位の水素原子はインドール中でN-Hプロトンの次に酸性度が高い部分である。N-保護インドールとブチルリチウムあるいはリチウムジイソプロピルアミド (LDA) との反応では、選択的にC-2位のリチオ化が起こる。この強い求核剤は、求電子剤との反応に使うことができる。

バーグマンおよびベネマルムは無置換インドールの2位をリチオ化する技術を開発した[14]

インドールの2位リチオ化

アラン・カトリツキーも、無置換インドールの2位リチオ化の技術を開発した[15]

インドールの酸化

電子豊富な性質のため、インドールは容易に酸化される。N-ブロモスクシンイミドといった単純な酸化剤はインドール (1) をオキシインドール(4および5)に選択的に酸化する。

N-ブロモスクシンイミドによるインドールの酸化

インドールの環化付加

インドールのC-2 - C-3π結合のみが、環化付加反応を起こす。分子間環化付加反応は起こりにくく、分子内反応が大抵高収率である。例えば、Padwaら[16]は、ストリキニーネ合成の中間体の合成のために、この種のディールス・アルダー反応を開発している。この場合、2-アミノフランがジエンであり、インドールはジエノフィルである。

インドールの環化付加反応の例

インドールはまた、分子内 [2+3] および [2+2] 環化付加反応も起こす。




  1. ^ http://www.leffingwell.com/olfact5.htm
  2. ^ Baeyer, A. (1866). “Ueber die Reduction aromatischer Verbindungen mittelst Zinkstaub”. Ann. 140 (3): 295. doi:10.1002/jlac.18661400306. 
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