インゲンマメ 利用・栄養価

インゲンマメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 06:53 UTC 版)

利用・栄養価

いんげんまめ(全粒、乾)[21]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,393 kJ (333 kcal)
57.8 g
食物繊維 19.3 g
2.2 g
飽和脂肪酸 0.25 g
一価不飽和 0.19 g
多価不飽和 0.79 g
19.9 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
1 µg
チアミン (B1)
(43%)
0.50 mg
リボフラビン (B2)
(17%)
0.20 mg
ナイアシン (B3)
(13%)
2.0 mg
パントテン酸 (B5)
(13%)
0.63 mg
ビタミンB6
(28%)
0.36 mg
葉酸 (B9)
(21%)
85 µg
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ビタミンK
(8%)
8 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(32%)
1500 mg
カルシウム
(13%)
130 mg
マグネシウム
(42%)
150 mg
リン
(57%)
400 mg
鉄分
(46%)
6.0 mg
亜鉛
(26%)
2.5 mg
(38%)
0.75 mg
セレン
(1%)
1 µg
他の成分
水分 16.5 g
水溶性食物繊維 3.3 g
不溶性食物繊維 16.0 g
ビオチン(B7 9.4 µg

ビタミンEはα-トコフェロールのみを示した[22]
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
赤インゲンマメ(100g中)の主な脂肪酸の種類[23]
項目 分量(g)
脂肪 1.06
飽和脂肪酸 0.154
16:0(パルミチン酸 0.136
18:0(ステアリン酸 0.018
一価不飽和脂肪酸 0.082
18:1(オレイン酸 0.082
多価不飽和脂肪酸 0.586
18:2(リノール酸 0.228
18:3(α-リノレン酸 0.358
インゲンマメのアミノ酸スコア[24][25]

若いさやを食べる軟莢種サヤインゲン)と、完熟させて乾燥した種子(豆)を食べる種実用種(インゲン豆)に大別できる[2]。サヤインゲンは、莢が丸いタイプの「丸サヤ」と、莢が平らなタイプの「平ザヤ」の2タイプがある[2]。若い莢を食べる品種は、夏場(6 - 9月)に食材としてのを迎える[2]

インゲン豆は安価で低脂肪、高蛋白の非常に優れた食品で、世界中で主食または主要な蛋白源として利用される。サヤインゲンは、抗酸化作用があるβ-カロテンや、疲労回復効果があるアスパラギン酸リジンなどを含むため、夏の緑黄色野菜として利用できる[2]

サヤインゲンは、生のまま天ぷらにするか、塩茹でにして和え物やおひたしにするか、あるいはバター炒めにすることが多い。調理で下ごしらえする際は、筋のかたいものは、茹でてからヘタのほうから筋をとるとよく、筋もやわらかい品種のものは、茹でてからヘタの先を切るとよいとされる[2]。莢が長いので、食べやすい大きさに切ったり、薄く斜め切りにして料理に使われる[2]

若い莢を収穫せずに完熟させると、やがて枯れて中に豆ができる[15]。この豆を食べるインゲンマメは、金時豆などが代表種として知られる[15][注 2]。成熟した種子は乾燥させて貯蔵し、煮豆や甘納豆、菓子用のなどに用いられる。フランス料理イタリア料理では白インゲン豆が煮込み料理に好んで使用される。乾燥重量の2割余りをタンパク質が占める。アミノ酸組成のバランスも良くアミノ酸スコアは100であり、特にリシンを豊富に含み、リシンが不足している主要3大穀物(小麦トウモロコシ)との食べ合わせも良い。ラテンアメリカ諸国の重要な蛋白源でもある。


注釈

  1. ^ 隠元は、インゲンマメのほかにも、スイカレンコンなどを日本に伝えたとされる[2]
  2. ^ 姿がよく似ているササゲはマメ科ササゲ属で、インゲンマメ属のインゲンマメとは種が少し異なる[15]

出典

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phaseolus vulgaris L. インゲンマメ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 130.
  3. ^ 青葉高『野菜の博物学』(講談社ブルーバックス) 83ページ
  4. ^ ジョンソン 1999, pp. 114–115.
  5. ^ ジョンソン 1999, pp. 117–118.
  6. ^ a b c d e 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 70.
  7. ^ インゲン豆をもたらした隠元禅師 - みろくや
  8. ^ 年産別・都道府県別データ(平成18年)”. 日本豆類協会. 2014年11月3日閲覧。
  9. ^ 金時豆(きんときまめ)”. 日本豆類協会. 2023年1月8日閲覧。
  10. ^ a b 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 141.
  11. ^ うずらまめ”. 日本豆類協会. 2023年1月8日閲覧。
  12. ^ 虎豆(とらまめ)”. 日本豆類協会. 2023年1月8日閲覧。
  13. ^ 手亡(てぼう)”. 日本豆類協会. 2023年1月8日閲覧。
  14. ^ 大福福(おおふくまめ)”. 日本豆類協会. 2023年1月8日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 131.
  16. ^ a b 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 71.
  17. ^ a b c d e f g 板木利隆 2020, p. 98.
  18. ^ a b c d 板木利隆 2020, p. 101.
  19. ^ a b c d e f 板木利隆 2020, p. 99.
  20. ^ a b c d e f g 板木利隆 2020, p. 100.
  21. ^ 文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  22. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  23. ^ https://data.nal.usda.gov/dataset/usda-national-nutrient-database-standard-reference-legacy-release
  24. ^ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
  25. ^ 『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007
  26. ^ a b c d e f 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部発行「食品安全情報」の米国食品医薬品局(FDA)によるフィトヘマグルチニン(インゲンレクチン)についての情報(060525)より


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