インクジェットプリンター インクジェットプリンター用紙

インクジェットプリンター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/24 21:43 UTC 版)

インクジェットプリンター用紙

インクジェットプリンターにとって被印字媒体となるのは主として紙であるが特に主流である染料系インクを普通紙に使用した場合、にじみが発生する。またインクが裏側まで染み抜けてしまう、裏抜けという現象が発生する場合もある。このため、インクジェットプリンターメーカーなどでは高品質な印刷結果を得るためにいわゆる専用紙と呼ばれるものを開発している。専用紙にはコート紙、光沢紙などが使われる。

コート紙
普通紙の表面にインクを吸収し固着させることで、にじみの発生を抑えるコート層を形成した用紙。一般にインクジェットプリンターメーカーが発売している純正品で単に普通紙というとおおむねこの用紙のことを言うことが多い。インクジェットプリンター用のコート紙では主に高分子系か、多孔性微粒子系のコート層が使われる。
光沢紙
基本的にはコート紙と同じ構造であるが白紙部や画像印字部に光沢があり、写真印刷等に用いられる。基材の違いにより
  1. 光沢が出やすい印画紙原紙(レジンコート紙)や、フィルムの表面にコート層を設けたもの
  2. 普通紙の表面に光沢化処理を施したコート層を設けたもの
に大別される。1は基材に使われることが多いレジンコート紙から「RCタイプ」、2は光沢化処理にキャスト法(金属等の平滑な表面を紙に写し取って光沢化する方法)が多く用いられるため「キャストタイプ」等と呼称されることがある。

応用技術

インクジェットプリンターのもつ、非接触で微小液滴を正確に着地させることができるという特長を応用したさまざまな研究が行われている。

捺染(なせん)装置
従来、布地に模様をつけるには異なる色で染色したを組み合わせる、色付けした糸で布地に刺繍を施すといった方法や布地の部分染めによる捺染などがあった。インクジェットプリンターの発達により布地に直接染料を吹き付けることが可能になり、近年では捺染を印刷技術で行うようになった。インクジェットプリンターを利用した捺染により、織飾や刺繍では困難であった微細な模様付けが低コストで可能となった。
回路基板製造
従来、電気回路基板の回路パターンの生成には写真の現像技術が長く使用されてきたがインクジェットプリンターの技術を使い、回路上に直接回路パターンを印字できる技術が実用化されつつある。2004年11月にセイコーエプソンがこの技術を利用し、20層の積層回路基板の開発に成功したことを発表している。また配線や抵抗のパターンだけでなく有機半導体をインクジェットプリンタにより印刷し、TFTを直接形成する技術も開発されている。
DNAチップ
インクジェットプリンターは極めて精度が高く微小領域に微小液体を吹き付けることができるため、DNAチップへの応用が期待できる。具体的には、DNAを溶かした溶液をインクジェットプリンターから検査試薬を塗布したDNAチップへ吹き付ける方法である。
3Dプリンタ
光硬化樹脂ワックスを噴射して積層造形する3Dプリンタが開発されている。高精度の造形が可能で材料の無駄が少ない。
ディスプレイ装置
FED有機ELなどのディスプレイ装置の製造では、発光体を基板上に対し均一に塗装する必要がある。ここにインクジェットプリンターの技術を応用する。プリンターのメーカーがディスプレイのメーカーと協力し、これら新世代ディスプレイの実用化に向けて研究・開発を行っている。キヤノンと東芝によるSEDはその一例である。液晶ディスプレイのカラーフィルタについても、インクジェットプリンタで作成することが発表されている(例えばシャープの亀山第2工場)。

以上のほかにも接触せずに印刷が可能であることから紙以外の素材や立体物への印刷も模索され、ペットボトルや食品パックなどのロット管理番号や賞味期限など時間帯や日ごとの可変項目の印刷に利用されているのは身近な例となっている[12]。また造形用途として、セラミックを噴き付けることによる三次元造形物(人工骨など)の作製などへの応用も考えられている(ラピッドプロトタイピング3Dプリンター)。これら応用の場合インクジェットプリントとともにインクジェットマーキングとも呼ばれる。

特許技術を有する主な企業

パソコン用のインクジェットプリンターで世界シェアのトップを占める米ヒューレット・パッカードのほか、日本企業も周辺技術も合わせて多くの特許を取得している。


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  1. ^ a b 8年前に製造された中古プリンターがオークションで高額取引される謎
  2. ^ 1984年6月、インクジェットプリンタ「IP-130K」 マイルストンプロダクツ”. セイコーエプソン. 2008年12月5日閲覧。
  3. ^ HPの歩み-1980年代”. 日本ヒューレット・パッカード. 2009年8月4日閲覧。
  4. ^ キヤノンの歩み、1985年、世界初のバブルジェット方式インクジェットプリンタ「BJ-80」発売”. キヤノン. 2008年12月5日閲覧。
  5. ^ キヤノンの歩み、1990年、バブルジェット方式ノート型プリンタ「BJ-10」”. キヤノン. 2008年12月5日閲覧。
  6. ^ 1996年11月、カラーインクジェットプリンタ「PM-700C」 マイルストンプロダクツ”. セイコーエプソン. 2009年8月4日閲覧。
  7. ^ PM-700C --- “写真印刷”を初めて標榜”. 日経BP. 2009年8月4日閲覧。
  8. ^ モノクロで低解像度のものとしては、電卓用プリンターなどとして商品化されたこともあった
  9. ^ FXPS、「ソリッドインク」方式を採用したA4カラーページプリンタ
  10. ^ ソリッドインクカラープリンタがイケてない理由
  11. ^ 3D Systems To Acquire a Portion of Xerox’s Oregon Based Solid Ink Engineering and Development Teams
  12. ^ インクジェット印刷”. 東静容器. 2009年8月12日閲覧。
  13. ^ エプソン. “純正インクが選ばれる4つの理由-1”. 2010年6月4日閲覧。
  14. ^ エプソン. “エプソン純正品について”. 2010年6月4日閲覧。
  15. ^ キヤノン. “キヤノン:インクジェットプリンター 消耗品紹介”. 2010年6月4日閲覧。
  16. ^ キヤノン. “Canon Sustainability Report 2008”. pp. p.39. 2009年8月17日閲覧。
  17. ^ ブラザー工業. “消耗品に関する独・デュッセルドルフ高等裁判所における勝訴判決について”. 2009年8月17日閲覧。
  18. ^ ブラザー工業. “ブラザー純正インクのご案内”. 2008年11月16日閲覧。
  19. ^ アリオン. “公開レポート”. 2008年11月16日閲覧。
  20. ^ 郵便局株式会社. “使用済みインクカートリッジを回収しています”. 2009年8月19日閲覧。
  21. ^ 郵便局株式会社. “ブラザー、キヤノン、デル、エプソン、日本HP、レックスマークは日本郵政グループと協力し使用済みインクカートリッジの共同回収を開始”. 2009年8月19日閲覧。
  22. ^ ITmedia. “かくして“つよインク”は生まれ変わる――エプソンのリサイクル工場見学”. 2010年6月4日閲覧。
  23. ^ PC-9800シリーズ#55ボード問題
  24. ^ 「「インク警告」、「インクわずか」メッセージが表示される」HPカスタマーケア







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