アルパカ 人間との関わり

アルパカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 03:43 UTC 版)

人間との関わり

文化的利用

インカ帝国では、医薬用、宗教儀式用としても使われていた。

現代では、アンデスの繁殖儀礼の儀式でアルパカの幼獣が使用されることがある。

現在は多くの場所でアルパカ牧場やペットとして飼育されている。アメリカではペットとして飼っている人も多くいる。

コロンブス交換で南米以外にも持ち込まれた。

経済的利用

インカ帝国では、高地の物資が不足しやすいと言う特性から、糞も燃料として使用し余すところ無く利用されていた。

アルパカの(ひづめ)は、擬音楽器として利用されることもある。

アルパカと飼育者(ポンチョをまとったボリビア人男性)
アルパカの毛で作られたニットスカーフ
アルパカの毛で作られたぬいぐるみ

同じアンデス地方で飼われている家畜であるラマ(リャマ)が主に荷役に用いられるのに対して、アルパカはもっぱら体毛を利用する(cf. 動物繊維)。その毛で、インディオ伝統のマントポンチョ、そのほかのさまざまな衣類を作り、自分達で着たり輸出したりしている。

服飾業界において「アルパカ」の名は複数の意味で用いられる。毛について言う場合、たいていはペルー産のアルパカのものを指す。しかし、生地としてはより広く、アルパカの毛でペルーにて作られたものだけでなく、イタリアイギリスのブリランテ(brillante. cf.)などを混ぜて作ったものも「アルパカ」と呼ばれる。

生地としての最高級品質は、生まれて初めて刈り取ったアルパカの毛で作ったもので、「ベビー・アルパカ」と称される。1回の採毛量は3kgほどで、隔年に刈り取る。1頭のアルパカからの刈り取りは生涯で3–4回ほどに過ぎない[9]。部位別に見ると背中の毛が価値が高く、腹、脚と地面に近くなるにつれ価値が下がっていく。

南米古来の動物で毛を用いるのは、ビクーニャおよびアルパカ、ラマおよびグアナコの4種である。ビクーニャとアルパカはいずれも毛が重要視されるが、アルパカの場合、毛の品質と量の点で優れており、ビクーニャは柔らかさ、きめ細かさ、希少さと高品質の点で珍重されている。グアナコの毛はビクーニャより若干劣るが、量はやや多い。

荷役

アルパカは体毛の利用が主ではあるが、荷役に用いる場合もある。しかしラマより体形が小型で、1回に運べる荷は50kg程度でしかない[9]

食用

体格では劣るがラマより味が良いため、ペルーなどでは食肉としても利用される。

アルパカの文化


注釈

  1. ^ 「羊駝」は日本では普通リャマ(ラマ)に当てられる。

出典

  1. ^ 落合直文「あるぱか」『言泉 : 日本大辞典』 第一、芳賀矢一改修、大倉書店、1921年、162頁。 
  2. ^ 「羊駱駝」の解説”. デジタル大辞泉コトバンク). 2021年8月18日閲覧。
  3. ^ 郁文舎編輯所 編「アルパカ」『新百科大辞典』郁文舎、1925年、98頁。 
  4. ^ アルパカ毛について|那須アルパカ牧場”. nasubigfarm.com. 2020年11月8日閲覧。
  5. ^ a b Gentry, Anthea; Clutton‐Brock, Juliet; Groves, Colin P. (2004), “The naming of wild animal species and their domestic derivatives”, Journal of Archaeological Science 31: 645–651 
  6. ^ Kadwell, Miranda; Fernandez, Matilde; Stanley; Baldi, Ricardo; Wheeler, Jane C.; Rosadio, Raul; Bruford, Michael W. (2001). “Genetic analysis reveals the wild ancestors of the llama and the alpaca”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 268 (1485): 2575–2584. doi:10.1098/rspb.2001.1774. PMC 1088918. PMID 11749713. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1088918/pdf/PB012575.pdf. 
  7. ^ Campo, Daniel; Alvarado, Andres; Machado-Schiaffino, Gonzalo; Naji, Ialah; Pelaez, Rafael; Quiroz, Francisco; Rodriguez, Olga; Castillo, Ana G. F. et al. (2009). “Inquiry-based learning of molecular phylogenetics II: the phylogeny of Camelidae”. Journal of Biological Education 43 (2): 78–80. doi:10.1080/00219266.2009.9656155. http://www.evolutionsbiologie.uni-konstanz.de/gonpdf/6.pdf. 
  8. ^ International Commission on Zoological Nomenclature (2003), “Opinion 2027 (Case 3010). Usage of 17 specific names based on wild species which are pre-dated by or contemporary with those based on domestic animals (Lepidoptera, Osteichthyes, Mammalia): conserved”, Bulletin of Zoological Nomenclature 60: 81–84. 
  9. ^ a b J・クラットン=ブロック 著、増井久代 訳『図説・動物文化史事典』(初版)原書房、1989年8月15日、204–205頁。ISBN 4-562-02066-0 
  10. ^ アルパカとは”. 那須アルパカ牧場. 2020年3月22日閲覧。
  11. ^ 八ヶ岳アルパカ牧場ホームページ


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