アメリカンフットボール ポジション

アメリカンフットボール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 02:09 UTC 版)

ポジション

戦術

反則

反則の概要

アメリカンフットボールは、激しいコンタクトの伴うスポーツであるが、相手を怪我させてしまうような行為は、反則として扱われる。
また、片方に極端に有利になるような行為についても、反則として扱われる。

反則を犯した場合、反則の内容ごとに決まった距離(5ヤード、10ヤード、15ヤードの3種類)だけ、犯したチーム側にボールの位置をずらす罰則(ペナルティー)を施行して、次のプレーを開始する。ボールの位置が自チームにとって不利な方にずれるため、罰退(ばったい)と呼ばれる。アメリカンフットボールがプレーを1つ1つ区切り、次のプレーを開始する位置を決めていく特性に合わせた罰則であり、他のスポーツではあまり見かけないルールである。
距離による罰則とは別に、あまりにひどい反則を犯した場合、反則した選手が退場(ルールの用語上、資格没収)となることもある。

イエローフラッグ

審判が反則と疑われる行為を見つけた場合、おもり付きの黄色い布(イエローフラッグ)を、上空に向かって投げる。反則が発生したと判断された事を明確に示すため、最初にフラッグを投げた審判以外の審判も追随してフラッグを投げる事がある。
プレー開始前、プレー終了後、プレーとプレーの間、すなわちデッドボール中に反則(デッドボール・ファウル)が発生したと判断したときは、フラッグを投下後、笛を吹き、可能であればボールを抑えて、選手にプレーをさせないようにする。
気づかずにプレーを開始した場合は、笛を吹き続け、ボール所有者の近くに寄って強制的に中断させる。
プレー中の反則(ライブボール・ファウル)については、フラッグを投げた後プレーを続行させて、プレーがデッドになるまで待つ。

イエローフラッグを投げたのち(ライブボール・ファウルはプレー終了後)、審判が集まり協議する。どんな反則が発生したと判断したか、その反則が成立する要件を満たしているか、他に反則はないか、反則の罰則はどうなっているかなど、複数の審判の視点から判断する。協議した結果はレフリーを通じて、両チームおよび試合会場に通告される。
協議の結果、反則ではないと結論が出たときは、イエローフラッグを頭上で横に振るジェスチャーをして、その旨を通告する。
反則があったと結論が出たときは、反則の内容を示すジェスチャーをし、反則を犯したチームにどちらのチームに反則があったかを示す。その後、ボールの位置をずらして次のダウンの数やファーストダウンの確認を行う。

罰則の施行

反則があったとき、デッドボール・ファウルの場合、罰則を施行する。
ライブボール・ファウルの場合、反則を受けたチームが罰則を施行するか、プレーの結果を活かすか選択できる。他のスポーツにおけるアドバンテージと似たような措置である。

罰則を施行した場合、ボールの位置をずらした後、原則として同じダウンを繰り返す。
ただし、反則によっては、罰則を施行した上でダウンを1つ失わせる場合がある。
また、守備側が反則を犯した場合、守備側にボールをずらしたことによって更新線を越えた場合、攻撃側に新たなファーストダウンを与える。さらに守備の反則は、軽度の反則を除きボールの位置を問わず攻撃側にファーストダウンが与える(オートマティック・ファーストダウン)。

ライブボール・ファウルで罰則を辞退し(ディクライン[注 35])、プレーの結果を活かした場合、ダウンは1つ消費される。
罰則を施行するかは、ダウンの消費、プレーの結果(獲得距離や得点)と罰則による獲得距離から自チームにとって有利と思う方を選択し、ヘッドコーチがフィールド上のキャプテンを通じて、審判に伝える。
たとえば、長い距離を獲得するプレー(ロングパスなど)が成功したとき、そのプレーで守備側が反則した場合、罰則で進める距離が短ければ、攻撃側は辞退してプレー結果を活かすことが多い。
プレーの獲得距離がそれほど長くない場合、プレーを選択すればダウンを1つ消費するため、距離が多少短くても罰則を受諾し、ダウン消費を免れる場合もある。

ハーフディスタンス

反則位置がゴールラインに近く、罰則の距離がゴールラインまでの距離の半分を越えてしまう場合、一部の反則を除いては「ゴールラインまでの距離の半分」で罰退を留める(ハーフディスタンス)。

複数の反則が発生した場合

一つのダウン中に複数の反則が発生した場合、デッドボール・ファウルとライブボール・ファウルでは対処が異なる。

デッドボール・ファウルで複数の反則

反則が発生した順に、罰則を施行する。ただし、両チームの選手がスポーツマンらしからぬ行為またはパーソナル・ファウルを犯した場合は、相殺される。
片方のチームが15ヤードの罰退となる反則を2つ犯せば、15ヤードの罰退を2回施行し、結果として30ヤードの罰退になる。
両方のチームが反則を犯した場合、発生順序で罰則を施行する。たとえば守備側が5ヤードの反則を犯し、その後、攻撃側が15ヤードの反則を犯した場合、差し引き10ヤードを攻撃側にずらすのではなく、一旦、守備側に5ヤードの罰則を施行した後、攻撃側に15ヤードの罰則を施行する。
この時系列で処理することで、個々の罰則で攻撃側がファーストダウンを獲得したか、ハーフディスタンスを適用すべきか判断する。

ライブボール・ファウルで複数の反則

片方のチームだけが複数の反則を犯した場合は、相手チームはどれか1つの罰則を受諾するか、プレーの結果か、いずれかを選択する。
発生したすべての反則の罰則すべてを受諾できない。

両チームが反則を犯した場合は、反則の軽重、回数を問わず、相殺(オフセッティング・ファウル)され、次のプレーは同じダウンを繰り返し、同じ位置からスナップする。
つまり、攻撃側が5ヤードの反則を犯し、守備が15ヤードの反則を犯したとしても相殺される。また、攻撃側の反則が1つで、守備側の反則が2つであっても相殺される。

ただし、ボールの所有権が変わるプレー(ターンオーバーやキック)だった場合、最後にボールを所有したチームが、ボール所有が変わる前に反則を犯していなければ、相殺を辞退し、自身の反則の罰則を認めることで、プレー結果を活かしてボールを確保できる。

ライブ中とデッド後での反則

1つのダウンのプレーでライブボール中に反則が発生し、そのデッド後に別の反則が発生した場合、相殺せずに発生した順序で罰則を施行する。

資格没収と辞退・相殺

反則を犯し「資格没収」と判断された選手は、相手チームが罰則を辞退しても、また、相殺になっても、当該選手は資格を没収され、退場しなければならない。

主な反則

アメリカンフットボール団体


注釈

  1. ^ ただし、カナダでの場合はカナディアンフットボールを含む。
  2. ^ : American Football
  3. ^ 通常フットボールは国や地域でもっとの人気があるものを示す言葉である。日本とドイツではサッカーが人気であるが、フットボールは外来語としてアメリカンフットボールを意味する。
  4. ^ NFL以外ではアカデミー賞授賞式中継番組が唯一トップ10にランクイン。
  5. ^ : Intercollegiate Football Association
  6. ^ ラグビーに限りなく近かったが、これが事実上、初めてのアメリカン・フットボールの試合だったと言えるのかもしれない。
  7. ^ 子供の頃から虚弱体質を克服するためボクシングに取り組んでいたが、1904年に左目を打たれて視力が悪化しており、スポーツの危険性には敏感であった。なお回復せずに1908年には失明している。
  8. ^ ルーズベルトの母校。
  9. ^ このルール委員会が後のNCAA(全米大学体育協会)に発展し、大学スポーツの管理が始まった[21]
  10. ^ プロテクター類。初期のものは薄手で軽いものだったが、時代とともに頑丈になって行った。
  11. ^ この歴史的ゲームは陸軍士官学校を舞台とした映画「長い灰色の線」の中で、当時最強チームの陸軍士官学校が無名のノートルダム大学に、まさに見たこともない新戦術によって大敗して呆然とするというエピソードで取り上げられている。
  12. ^ : National Football League
  13. ^ : American Proffessional Football Association
  14. ^ シカゴの地元新聞に顔写真付きの記事がある。
  15. ^ : ball on ○○, △yards
  16. ^ : official
  17. ^ : referee
  18. ^ : umpire
  19. ^ : head linesman
  20. ^ : line judge
  21. ^ : back judge
  22. ^ : field judge
  23. ^ : side judge
  24. ^ 助走距離を短くして相手選手にぶつかるスピードを下げて、怪我する危険性を下げる狙い
  25. ^ : 1st down
  26. ^ : 2nd down
  27. ^ : 3rd down
  28. ^ : 4th down
  29. ^ シリーズ更新という現象自体は、この状況であっても守備側が罰則にオートマチック・ファーストダウンを含む反則を犯せば起こり得る。
  30. ^ : chain crew
  31. ^ : previous spot
  32. ^ 足を滑らせたり地面の凹凸につまづいたりして転ぶなど、ボールキャリアが意図しない形で転倒した場合。タッチバックやイートザボールを企図していることが明らかであるニーダウンやクォーターバックがスクランブルの後安全のために行うスライディングなどは相手との接触が無くても倒れたとみなされプレーは終了する。
  33. ^ point after touchdown
  34. ^ チャレンジのインスタント・リプレイ中に副次的に反則の有無に関する証拠が発見された場合は、反則の有無の判定が覆る。たとえば、ライン際のパスの成否に対してチャレンジを行い、ボールをキャッチした選手がボールに触る前にアウト・オブ・バウンズに出ていたことが発見された場合、イリーガル・タッチが適用され5ヤードの罰退でプレイが再開される。逆に言えば、審判が反則を見逃してもそれ自体に対してチャレンジはできないが、関連するプレイに対するチャレンジ(先ほどの例で言えば「パスの成否に対するチャレンジ」)という形でなら、間接的に反則の有無に対してチャレンジすることができる。
  35. ^ : decline

出典

  1. ^ アメフット:関学監督と選手父コメント 日大選手会見受け - 毎日新聞
  2. ^ 川淵氏、悪質タックルに嘆き「なんと愚かな日大アメラグ選手の行為か」 - デイリースポーツ
  3. ^ スポーツ庁が異例の調査へ 日大のアメラグ反則プレー - 教育新聞
  4. ^ Concussion Watch|FRONTLINE
  5. ^ Coll, Steve, "Is Chaos a Friend of the N.F.L.?", The New Yorker, December 26, 2012. Citing the Times.
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  23. ^ a b 種子田穣『史上最も成功したスポーツビジネス』毎日新聞社、2002年、51-58頁。ISBN 4-620-31578-8 
  24. ^ a b c d 久保田薫「Chapter 9 プロスポーツの王者、NFLの世界」『改定新版 パーフェクトアメリカン・フットボール』、南雲堂、1989年1月、225-233頁。 
  25. ^ 「限りなき前進 日本アメリカンフットボール五十年史」(1984年9月)日本アメリカンフットボール協会、32、33、74、75、90頁
    「1934フットボール元年 父ポール・ラッシュの真実」井尻俊之、白石孝次共著、ベースボール・マガジン社、1994年、21、41-43、50-58、97、98、107頁
    山梨県清里高原 キープ協会|日本アメリカンフットボールの殿堂 |日本アメリカンフットボールの熱き継承[リンク切れ]
    関東学生アメリカンフットボール連盟:75周年記念特集[リンク切れ]
    川口仁「日本アメリカンフットボール史-フットボールとその時代
    スポーツ発展のカギとなった人物 - 牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
    歴史が眠る多磨霊園 小川徳治
  26. ^ NCAA football 2011 and 2012 rules, FR-118, Field Diagrams。NFLでは数字の下端がサイドラインから12ヤード (2012 Official Playing Rules, iv, Plan of the Playing Field)。
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  30. ^ レイブンズKタッカーがNFL記録となる66ヤードのフィールドゴールに成功
  31. ^ 2009 Official NCAA Division I Records Book, 23頁 Longest Field Goal Made
  32. ^ 2009 Official NCAA Division I Records Book, 24頁 Longest Field Goal Made without use of a kicking tee
  33. ^ シーホークスのフェイクFG、成功の鍵はパッカーズのLBジョーンズ - アメフトNewsJapan・2015年1月20日
  34. ^ NFL、スタジアムの観客に審判と同じリプレイ映像提供”. NFL JAPAN (2012年7月6日). 2012年7月14日閲覧。






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