アメノウズメ アメノウズメの概要

アメノウズメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/19 23:07 UTC 版)

天鈿女命像 天岩戸神社東本宮

一説に別名「宮比神」(ミヤビノカミ)[1]大宮売神(オオミヤノメノカミ)と同一視されることもある[2][3]

神名

古事記』では天宇受賣命、『日本書紀』では天鈿女命と表記する。神名の「ウズメ」の解釈には諸説あり、「強女(オズメ)」の意とする『古語拾遺』説や、「髻華(ウズ)」を結った女性(巫女の装束)の意とする『稜威道別』(イツノチワキ)説、折口信夫が『若水の話』で出した、「マナを指すヲチの音便で、魂をヲチふらせる意」説などがある。

神話での記述

岩戸隠れで天照大神が天岩戸に隠れて世界が暗闇になったとき、神々は大いに困り、天の安河に集まって会議をした。思兼神の発案により、岩戸の前で様々な儀式を行った。

このように記述されている。 「槽伏(うけふ)せて踏み轟こし、神懸かりして胸乳かきいで裳緒(もひも)を陰(ほと=女陰)に押し垂れき。」 つまり、 アメノウズメがうつぶせにした槽(うけ 特殊な桶)の上に乗り、背をそり胸乳をあらわにし、裳の紐を股に押したれて、女陰をあらわにして、低く腰を落して足を踏みとどろかし(『日本書紀』では千草を巻いた矛、『古事記』では笹葉を振り)、力強くエロティックな動作で踊って、八百万の神々を大笑いさせた。その「笑ひえらぐ」様を不審に思い、戸を少し開けた天照大神に「あなたより尊い神が生まれた」とウズメは言って、天手力雄神に引き出して貰って、再び世界に光が戻った。

天孫降臨の際、瓊瓊杵尊(ににぎ)が天降ろうとすると、高天原から葦原中国までを照らす神がいた。アマテラスと高木神に、「手弱女だが顔を合わせても気後れしない(面勝つ)からあなたが問いなさい」と言われたアメノウズメが名を問い質すと、その神は国津神猿田彦と名乗り、道案内をするために迎えに来たと言った。

アメノウズメは天児屋命(あめのこやね)、太玉命(ふとだま)、玉祖命(たまのおや)、石凝姥命(いしこりどめ)と共に五伴緒の一人としてニニギに随伴して天降りした。アメノウズメはサルタヒコの名を明かしたことからその名を負って仕えることになり、猿女君の祖神となった。一説にはサルタヒコの妻となったとされる。

アメノウズメは大小の魚を集めて天孫(ニニギ)に仕えるかどうか尋ねた。みな「仕える」と答えた中でナマコだけが何も答えなかったので、アメノウズメはその口を小刀で裂いてしまった。それでナマコの口は裂けているのである。

解説

「神々を笑わせた」という(なお日本書紀には、そういう描写はない)、をこ(滑稽)な所作をするワザヲキ(俳優、隠された意味を指すワザを招く/ヲク者)即ち芸人、コメディアン、俳優の祖であり、白川静の『字訓』によれば、「神と笑ひゑらぐ」巫女の神格化である。播州出身の柳田國男著『タクラタ考』によればアホ、バカ、アヤカリ、タワケ、タクラタ等の表現は元「神懸かり」のような、という意味である。同様に、「神々を和ませ 神の手較ぶ(真似する)」神事の零落したものが、現在の芸能であり、折口信夫によれば、滑稽な技芸である猿楽(さるがく 狂言の祖)は、猿女のヲコのわざと一脈通じるという(上世日本の文学 天細女命)。

『巫女考』で、芝居の狂人が持つ竹の枝を「ウズメの持つ」笹葉が落ちたものとする柳田國男の説を享けた折口信夫は、手草[4]を「神である」物忌みを表す標とし、「マナを招く」採り物とは別であるとした。

谷川健一が、笑いと狂気という、「人間の原始的情念」の一環が噴出したものとしてあげた(『狂笑の論理』)、天の岩戸の前における「巧みに俳優をなす」彼女の行為は、神への祭礼、特に古代のシャーマン()が行ったとされる神託の祭事にその原形を見ることができる。いわばアメノウズメの逸話は古代の巫女たちが神と共に「笑ひゑらぐ」姿を今に伝えるものである。折口信夫の『上世日本の文学』によれば、カミアソビは「たまふり」の儀礼であり、岩戸で行なったウズメの所作は「マナ(外来魂)を集め、神に附ける」古代の行為である。

なお、折口は『上世日本の文学』で、死者の魂を呼ぶ儀礼が遊びであるため、「岩屋戸の神楽は、天照大神が亡くなったため興った」という説は再考すべきだと言っているが、少なくとも『延喜式』には、宮廷で行われた古代の鎮魂祭において、巫女たちが「槽ふし」激しい踊りを大王家の祖神へ奉納する儀礼に猿女も参加したことが記されている。




  1. ^ 『お伊勢さん125社めぐり』別冊『伊勢人』、伊勢文化舎、2008年、p.113。
  2. ^ 祐徳稲荷神社HP お祀りする神様、2016年4月15日閲覧。
  3. ^ 志和稲荷神社HP 志和稲荷神社について、2016年4月16日閲覧。
  4. ^ タクサ(多久佐)、タグサ; cf. アイヌ語: takusa, タクサ


「アメノウズメ」の続きの解説一覧





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「アメノウズメ」の関連用語

アメノウズメのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング

画像から探す

パプアキンイロクワガタ

六角川

トレッド

イースター

烏丸線10系車両

油井

BMW Z4 M クーペ

3000形





アメノウズメのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアメノウズメ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2016 Weblio RSS