アブラボウズ アブラボウズの概要

アブラボウズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/08 01:52 UTC 版)

アブラボウズ
Erilepis zonifer1.jpg
アブラボウズ海遊館、2008年5月)
Erilepis zonifer
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : ギンダラ亜目 Anoplopomatoidei
: ギンダラ科 Anoplopomatidae
: アブラボウズ属 Erilepis
: アブラボウズ E. zonifer
学名
Erilepis zonifer
(Lockington, 1880)
和名
アブラボウズ (脂坊主、油坊主)
英名
Skilfish

概要

最大で全長183cm・体重91kgに達し[1]、カサゴ目の魚類の中では最大級の大きさである。北太平洋深海の水深400mの岩場に生息する。若いうちは体表に白い斑点があるが、成熟するにつれて濃い灰色に変わる。

東京都伊豆大島の水深約1000mにも生息するとされ、水中深くに生息する為、体の約40%が脂肪分であるとされている。伊豆大島付近の海溝海域から年に数匹、100kgを超えるアブラボウズが上がり、主に銚子市場で取引されている。

文献資料においては、明治30年代に小田原周辺において主要漁獲種として見られ、「オシツケ」「オッツケ」と呼ばれる地域食として存在していた(『明治小田原町誌』)。考古遺跡からの出土事例では、山梨県南巨摩郡富士川町鰍沢河岸跡から明治期の大型魚類を含む動物遺体が出土しており、その中にアブラボウズの椎骨1点・尾骨7点の資料が含まれており、小田原あるいは駿河湾で漁獲された個体が移出されていた可能性が考えられている[2]

長命な魚でもあり、日本で初めて飼育に成功した室蘭水族館では、30年近くも生きたという記録を立てた。

神奈川県小田原市では特産魚として、知名度向上を図っている。

クエへの偽装

超高級魚とされるクエに外観が似ていることから、特にクエを珍重する西日本地域において偽装表示事件が散見される。2008年3月には大阪府の卸売業者、株式会社矢崎がクエに偽装したとして、JAS法違反で改善指示を受けたほか、福岡県の料理店でも偽装に関連した捜査が行われている。近年、クエの人気が高まり高値になることが珍しくないことから、クエよりも安価なアブラボウズが流用されるものと考えられている。

ただ、超高級魚とされるクエには及ばないものの、アブラボウズも決して安い魚ではなく高級魚の範疇として認知されている。このため、それなりの高級魚を代用しているからと、偽装業者に罪悪感はさほど見られないことが多い。しかし、クエは、アブラボウズの3倍から7倍ほどの価格で取引されることや、顧客はあくまで淡白で味わい深い白身を食す目的としてクエを、脂の乗った甘みのある白身を食べるためにアブラボウズを買い求めるため、この2種に対する顧客ニーズは全く異なっている。

クエとアブラボウズの価格差等の比較は外部リンクを参照のこと。

食材・調理法

銚子漁港に水揚げされたものは最高級品として高値で取引されるほか、神奈川県静岡県の各漁港では「おしつけ」の愛称で古くから重用されるなど、東日本特に関東・東海地方で珍重されてきた。

大型魚なので、水揚げ後肝臓などを取り除いた後、2・3日寝かせてからが食べ頃となる。

脂質(グリセリド)分解酵素の乏しい体質の人は、脂を消化しきれず腹をこわして下痢などの腹痛を起こすこともある。一部の地方自治体では、腹身を含む部位を1食につき刺身で60g以上・焼き身で120g以上食さないように、との行政指導を出していた。

同じように食べ過ぎによる下痢や食中毒症状への注意が指摘される深海魚に、スズキ目クロタチカマス科アブラソコムツバラムツがいるが、こちらは食品衛生法上、一切販売が禁止されている。


  1. ^ FishBase_Erilepis zonifer
  2. ^ 植月学「明治期の鰍沢河岸における海産物利用の動物考古学的検討」『山梨県立博物館 研究紀要 第1集』(2007)


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