アシドーシスとアルカローシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 02:33 UTC 版)
治療
基本的にはアシドーシス、アルカローシスは病態であり、病名ではないため、治療は原疾患の治療である。
呼吸性アシドーシスの場合は低酸素血症の治療として酸素療法、人工呼吸などの治療法を選ぶこともある。Ⅱ型呼吸不全の患者に酸素投与を行うとき、換気抑制を防ぐ意味で呼吸促進剤を用いることもある。
代謝性アシドーシスの治療にはアルカリ剤の投与が行われる。HCO−
3の不足を補うため炭酸水素ナトリウムの投与が行われることが多い。
- 不足HCO−
3(mEq/L) = 体重(Kg) × 0.2 ×(24-測定HCO−
3) - 不足HCO−
3(mEq/L) = 体重(Kg) × 0.2 × B.E
から計算され、まず半分量を投与しpHをみながら追加していく。メイロン(炭酸水素ナトリウムの商品名)で行う場合は単位換算が必要である。7%メイロン20mLでは17mEq/Lであり、8.4%メイロン20mLでは20mEq/Lで計算する。一過性にPaCO2が上昇するため、十分な換気が確保された状態で行う。心肺蘇生時に必ず代謝性アシドーシスの補正は行うので、1回の心肺停止でおよそ10mEq/Lの炭酸水素ナトリウムが不足するため、50kgの人ならば7%メイロン120mLが必要であるということは経験的にわかっている。ただし実際には20mLずつ10分毎に投与といった方法で行う場合が多い。
呼吸不全時の呼吸性アシドーシスが見られたときかつてはアシドーシスの補正のために重炭酸ナトリウム溶液を点滴するなどの処置がとられていたこともあったが、治療成績に変化はなく単なる補正の意義は小さいことが判明してきた。尿細管アシドーシスは根本的な治療法がないため、経口的に重炭酸ナトリウムを投与し続けることで補正を行っていく。
- ^ “CO2ナルコーシス”. 2020.12月1日閲覧。
- ^ 竹越襄、高血圧症に関する研究(第I報) : 酸塩基平衡の循環動態因子におよぼす影響について」Japanese Circulation Journal、1968年 32巻 9号 p.1331-1346, doi:10.1253/jcj.32.1331
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