ふんどし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 02:15 UTC 版)
文学・テレビ番組
古典落語
古典落語では、褌を締めていた時代なので褌に関連した話題には事欠かないが、『錦の袈裟』『蛙茶番』などが挙げられる。
川柳
江戸庶民の暮らしを生き生きと描写した川柳にも褌はよく登場する。代表的なものをいくつか例に挙げると、
- 庶民の日常生活を詠んだもの
- 「越中がはづれて隣りの国[注釈 1]を出し」
- 「ふんどしをひねくり廻し一分出し」
- 褌に絡めて関取の暮らしを詠んだもの
- 「褌の強いはやがて幕になり」
- 「褌を故郷へ飾る角力取」
- 褌が「お馬」と呼ばれ生理帯として使われていたことを詠んだもの
- 「越中を女房がすると事(房事)を欠き」
- 「十三四 姫はお馬をのりならひ」
- 「雪隠で手綱捌き(月経帯)をする女」
などがある。
文学
- 夏目漱石は、『虞美人草』の中で夏の風物詩として褌を取り上げている。「夏は褌を洗う」など、夏の季語のような用法を使用している。
- 堺利彦の『獄中生活』では、堺が巣鴨監獄(のちの巣鴨プリズン、巣鴨拘置所)に入獄したおりの官給の褌の感想がある。「いずれも柿色染であるが、手拭と褌とは縦に濃淡の染分けになって、多少の美をなしているからおかしい。」(三 巣鴨監獄)
- 泉鏡花『いろ扱ひ』は、作者の少年時の乱読癖を振り返った私小説。厳しい塾の下宿から、貸本屋へ外出する方便として、「褌を外して袂へ忍ばせて置く」裏技を開陳している。「何のためだと云ふと、其塾の傍に一筋の小川が流れて居る、其小川へ洗濯に出ましたと斯(か)う答へるんです。さうすると剣突を喰つて、『どうも褌を洗ひに行きますと云ふのは、何だか申上げ悪(にく)いから黙つて出ました。』と言ひ抜ける積りさ。」
- 芥川龍之介『玄鶴山房』では、肺結核の床に就いている主人公・玄鶴が、褌で縊れ死ぬことを夢想する。「玄鶴はそっと褌を引き寄せ、彼の頭に巻きつけると、両手にぐっと引っぱるようにした。/そこへ丁度顔を出したのはまるまると着膨(きぶく)れた武夫だった。/やあ、お爺さんがあんなことをしていらあ。」/武夫はこう囃(はや)しながら、一散に茶の間へ走って行った。」(五)
- 「死ぬときはきれいな身なりで」という美意識は、近代社会において、広く認められるものであった。芥川龍之介『追憶』にはこうある「この「お師匠さん」は長命だった。なんでも晩年味噌(みそ)を買いに行き、雪上がりの往来で転んだ時にも、やっと家(うち)へ帰ってくると、「それでもまあ褌(ふんどし)だけ新しくってよかった」と言ったそうである。」(一九 宇治紫山)
- 小林多喜二『蟹工船』では、密閉空間に置かれた船員達の、荒れた風景の小道具として描かれる。「夢精をするのが何人もいた。誰もいない時、たまらなくなって自涜をするものもいた。――棚の隅にカタのついた汚れた猿又や褌が、しめっぽく、すえた臭いをして円められていた。学生はそれを野糞のように踏みつけることがあった。」(四)
- 小林多喜二『独房』では、政治犯としての入所体験において、外界との違いを褌に見つける。「青い着物を着、青い股引(ももひき)をはき、青い褌(ふんどし)をしめ、青い帯をしめ、ワラ草履(ぞうり)をはき、――生れて始めて、俺は「編笠(あみがさ)」をかぶった。だが、俺は褌まで青くなくたっていゝだろうと思った。」
- 高村光太郎『回想録』には、近世の風俗の名残が、近代の流れに洗われてゆく風情を描く。「祖父は丁髷(ちょんまげ)をつけて、夏など褌(ふんどし)一つで歩いていたのを覚えている。その頃裸体禁止令が出て、お巡りさんが「御隠居さん、もう裸では歩けなくなったのだよ。」と言って喧(やかま)しい。そしたら着物を着てやろうというので蚊帳(かや)で着物を拵え素透(すどお)しでよく見えるのに平気で交番の前を歩いていた。」
- 坂口安吾『青鬼の褌を洗う女』では、性別役割分業として「褌を洗う女=私」を登場させている。
- 三島由紀夫の褌姿は有名だ。市ヶ谷駐屯地での割腹事件の数年前から褌姿で切腹する写真や映画『憂国』を残している。
- 三島由紀夫と交流のあった稲垣足穂は、ふんどしをしめた上での奇行で有名。三島同様に男色趣味のあった足穂はふんどしでインタビューに応じたり、若い男をくどいたりしている。
漫画・アニメ
この節には、過剰に詳細な記述が含まれているおそれがあります。百科事典に相応しくない内容の増大は歓迎されません。 |
褌を下着として常用している主なキャラクターとしては
- 石川五ェ門(ルパン三世)
- 越前南次郎(テニスの王子様)
- 男塾の塾生たち(魁!!男塾および関連作品)
- 風大左衛門(いなかっぺ大将)
- ギップル(魔法陣グルグル)
- 諏訪原戒(焼きたて!!ジャぱん)
- ぜんまいざむらい(ぜんまいざむらい)
- 月影一平太(ゲームセンターあらし)
- 橙次(NINKU -忍空-)
- 轟一番(とどろけ!一番)
- 巴突進太(柔道讃歌)
- 巴武蔵(ゲッターロボ)
- 花山薫(グラップラー刃牙)
- 早見仁太(ブロッカー軍団IVマシーンブラスター)
- 魔王(ハクション大魔王)
- 東谷小雪(ケロロ軍曹)
- あずみ(あずみ)
- きくり(地獄少女)
- クレイン(フラクタル)
- 香坂しぐれ(史上最強の弟子ケンイチ)
- ゴータマン(臀撃おしおき娘ゴータマン)
- 七々尾姉妹(かのこん)
- 鉢かづき姫(月光条例)
- 服部霧子(風雲維新ダイ☆ショーグン)
- 服部絢子(いちばんうしろの大魔王)
- 火鉢(ムシブギョー)
- 魔乳千房(魔乳秘剣帖)
- ラナ=リンチェン(フリージング)
- 後藤又兵衛(百花繚乱 SAMURAI GIRLS)
- 仁科カヅキ(プリティーリズム・レインボーライブ)
- 日本(ヘタリア)
などが挙げられる。
また、博多を舞台にした青春劇画『博多っ子純情』(長谷川法世)では、博多祇園山笠が重要なイベントとして描かれている。『六尺ふんどし』(青柳裕介)、『匠のふんどし』(山崎大紀)、『ふんどし刑事ケンちゃんとチャコちゃん』(徳弘正也)、『赤褌鈴乃介』(永井豪、『赤胴鈴之助』のパロディ)、『ご存知!ふんどし頭巾』(日本映画、内藤剛志主演)、といったタイトルに使用している作品もある。
テレビ番組
- 朝日放送の番組『あっちこっち丁稚』では、お内儀さんが切れるとどこからともなく赤褌のキャラクターが登場する。
- フジテレビの番組『力の限りゴーゴゴー!!』では、原田泰造がふんどし先生と称して登場し、生徒の悩みを聞くコーナーがあった。
- 日本テレビの番組『くちコミ☆ジョニー!』では、月・火・水のエンディングのコーナーで和太鼓の演奏者が褌姿で登場する。
- 三人組お笑いグループ安田大サーカスの団長は、他のメンバーに服を破かれて赤い褌1枚になり、2人の肩の上に乗る芸を披露する。
- 押忍!!ふんどし部! 今は忘れ去られている「白ふん流し」の復活を目指すふんどし部を描いた青春おバカ熱血学園ドラマ。
その他
- ハウス食品のインスタントラーメン『うまかっちゃん』は、博多祇園山笠の舁き手のイラストがパッケージデザインに使用されている。
- ナムコの3D対戦型格闘ゲーム『鉄拳4』では、ボスキャラクター・三島平八が廻し型の褌姿で登場する。後発の作品『鉄拳6』でも、褌が平八用のキャラクターカスタマイズアイテムとして登場する。
- 高田延彦がPRIDE統括本部長だった頃、PRIDE男祭りのオープニングで褌姿になって太鼓を敲いていた。その影響で、外国のPRIDE参戦選手は褌のことを『タカダショーツ』と呼んでいた。
- 一般社団法人「日本ふんどし協会」では2012年より、その前年のふんどし界隈を賑わせた有名人に「ベストフンドシストアワード」を贈っている。表彰式はふんどしの日である2月14日前後。第1回大賞受賞者は団長安田(安田大サーカス)。
- 神職用の褌も販売されている。白木綿製越中褌が主流[12]。
注釈
- ^ 「越中」の隣にあるから、という意味で男性器の包茎を指す「越前」という隠語があった。
出典
- ^ a b c 亀山市歴史博物館 - 亀山市、2021年1月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 飯島吉晴「鉢巻と褌の民俗」『古事 : 天理大学考古学・民俗学研究室紀要』第14巻、天理大学文学部歴史文化学科考古学・民俗学専攻、2010年3月、16-18頁、ISSN 1346-8847、NAID 120005858422。
- ^ a b c d e f g h i j 古川智恵子、中田明美「衣の系譜に関する研究 : (第1報)褌の系譜とその機能性」『名古屋女子大学紀要』第31巻、名古屋女子大学、1985年3月、1-12頁、ISSN 02867397、NAID 110000954535。
- ^ a b 平凡社 『世界大百科事典』
- ^ 服装文化協会 『服装大百科事典』
- ^ 講談社 『実用版 下着おもしろ雑学事典』
- ^ 慶友社 『女相撲民俗誌 越境する芸能』
- ^ 心交社 『新・ふんどし物語』
- ^ 自由国民社 『海女のいる風景』
- ^ “家では“裸”の秋吉久美子と“フンドシ”の高樹沙耶”. オリジナルの2014年11月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ 河出書房新社 『SM博物館』
- ^ 『神祭具便覧40巻』民俗工芸2016年9月発行全76頁
ふんどしと同じ種類の言葉
- ふんどしのページへのリンク