橋桁の架け替え工事を進めていた宮城県の豊里大橋で、コンクリート製の橋脚に9カ所のひび割れが発生した。幅は最大0.9mmで、長さは1~2mにわたる。施工途中に生じた荷重の偏りが原因となった可能性がある。
工事を発注した県は、損傷が見つかった2019年5月13日に橋を全面通行止めにした。橋脚の横に鋼製の支柱を立てて補強し、同月17日に片側通行を始めた。現在、原因を調査中で、工事再開のめどは立っていない。県はひび割れが拡大しないよう監視しながら、今後の対策を検討する。
豊里大橋は、登米市と石巻市の境にある北上川に架かる長さ348.9mの12径間単純鈑桁橋だ。1970年の完成から50年近くが経過し、劣化が進んでいた。そこで18年2月から、橋脚を残したまま桁と床版を撤去し、新しく軽い単純鋼床版鈑桁橋に架け替える工事を実施していた。施工者は川田工業・只野組・只野建設JVだ。
2車線のうち片側1車線を供用しながら、もう一方の車線の上部構造を架け替える計画だった。ひび割れが見つかったときは、下流側の車線で古い上部構造を撤去し、架け替え前の上流側の車線は車が通行している状態だった。ひび割れが発生したのは、11本ある橋脚のうち石巻市側の2本。いずれも下流側の側面に生じたので、橋脚にかかる荷重が上流側に偏ったことが原因である可能性がある。