地震後 SNSに偽「救助要請」多数 収益目的 “インプ稼ぎ”か

石川県の能登地方で震度7の揺れを観測した地震のあと、旧ツイッターのXでは救助を求める投稿が多く出ていて中には偽の投稿もあります。

収益を得る目的で投稿しているケースもあるとして、専門家が注意を呼びかけています。

1日に石川県で震度7の揺れを観測した地震の直後から、Xでは被災地から救助要請の投稿が相次いでいますが、偽の情報も多く出ています。

NHKが調べたところ、珠洲市の同じ住所を挙げその場所とは直接関係ない動画や画像を貼り付けたうえで、救助を求める偽の投稿が30件以上あり、合わせて200万回以上閲覧されていました。

投稿したアカウントの多くは海外のものとみられ、1つのアカウントで

▽東日本大震災の動画を今回の地震による津波だとする偽情報や
▽羽田空港での事故に関する動画など

注目されそうな動画や投稿文を集めて、投稿しているケースもありました。

Xでは課金しているユーザーが一定の閲覧数=「インプレッション」を獲得した場合に収益が得られる仕組みがあり、一部のユーザーは注目を集めるために投稿しているとみられます。

Xは規約で自然災害などを収益化に利用することを禁じていますが、フェイク情報に詳しい桜美林大学の平和博教授は規約が守られておらず、X側が対応を強化する必要があると指摘しています。

平和博教授
「今回の地震だけでなく、羽田空港の事故やJR山手線の車内での切りつけ事件の際にもコピペしたと思われる内容が同じようなアカウントから繰り返し投稿された。収益化のためにインプレッションを稼ぐ『インプ稼ぎ』をしているとみられ『悲劇の現金化』とも言える。本当に必要な情報が届かず、探せない情報空間が濁ってしまう状況が現に起きている」

こうした投稿が拡散すると救助や避難の際に混乱がおきるおそれがあり、平教授はXの投稿を見る際、

▽情報の裏付けがあるのか
▽発信元のアカウントが過去にも信頼できる情報を投稿しているか

などを確認し、安易に拡散しないことが重要だと指摘しています。

林官房長官 “偽情報の削除要請 さらなる対応策を検討”

能登半島地震に関連し、SNS上で偽情報が広がっていることについて、林官房長官は、救助活動の妨げになるおそれがあるとして、該当する投稿の削除を事業者に要請したことを明らかにするとともに、さらなる対応策の検討を進める考えを示しました。

能登半島地震のあと、旧ツイッターのXでは被害に関する情報や救助要請の投稿が行われた一方で、実際とは異なる偽情報も広がっています。

林官房長官は、5日午前の記者会見で「災害時における偽情報は、迅速かつ円滑な救命・救助活動の妨げになりかねないもので、主要な事業者に対して、明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招くおそれのある情報の削除などを総務省を通じて要請した」と明らかにしました。

そのうえで「偽情報の投稿の背景には、多数の閲覧やフォロワーを集めたユーザーが収益を得られる仕組みが関連しているとの意見がある。国際的な動向や表現の自由を確保する観点も考慮したうえで、幅広い関係者の意見を踏まえて必要な対応を検討したい」と述べました。