感染予防のための『ソーシャル・ディスタンシング』

感染予防のための『ソーシャル・ディスタンシング』
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「ソーシャル・ディスタンシング」ということばが注目されています。
「ソーシャル・ディスタンシング」は直訳すると、「社会的距離」という意味です。

感染症の拡大を防ぐために、人混みを避けたり自宅にとどまったりして、人との距離をとることを指しています。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、一人一人が実行できる対策として、世界的に注目されるようになってきました。

人がいる場所では具体的にどのくらいの距離をとればいいのか厚生労働省に尋ねたところ、お互いに手を伸ばしたら届く距離、つまり、少なくとも2メートルが目安だということです。

そのためには、人との距離が密になってしまうような場所や状況を避けることが重要だとしています。

ロゴをアレンジして呼びかける企業も

企業の中には、ロゴマークのデザインの一部を変えて、「ソーシャル・ディスタンシング」が大切だと呼びかける動きも出ています。
このうちドイツの自動車メーカー「アウディ」は、4つの輪が重なって並んでいるロゴマークのデザインを変えて、それぞれの輪が少しずつ離れているバージョンを作り、先月からSNS上で紹介しています。

アウディは、4つの会社が合併して誕生したことから4つの輪が重なっているロゴマークを使用していますが、アウディジャパンのツイッターには、「いまは離れて」「心をひとつに」というメッセージとともに、4つの輪が一度、離れたあと、再び重なり合うアニメーションが投稿されています。
また、投稿文には、「いま大切なのは、外出を控え、距離を保ち、健康に気をつけて、みんなで支えあうこと」などと書かれています。

専門家「距離をあけたから大丈夫は禁物」

「ソーシャル・ディスタンシング」について、感染症に詳しい水野泰孝医師に聞きました。

水野医師は「日常生活のあらゆる場面で距離をとるのは無理だと思いますが、人が集まって混雑するような場所では一定の効果があると思います」と話しています。

例えば、飲食店などでは、隣どうしに座って話すのを避けることや、向かい合って座る場合は、大きなテーブルを選ぶなどして距離が近くなりすぎないようにすることが大切だとしています。

そのうえで、水野医師はこう指摘しています。
「一般的に飛沫は2~3メートルほど飛ぶとされているので、距離をあけたから大丈夫だと過信するのは禁物です。皆さんの意識が高まるのはいいことですが、これだけで感染を防げるというものではないので、感染予防策として最も有効な手洗いの徹底を心がけてほしいです」。

一人一人が日常生活の中でできることを1つずつ実践していく。

やはりこれが感染拡大を防ぐために大切なことのようです。