★ヨネックスレディス優勝
ヨネックスレディスでツアー初優勝を果たした青木はプロ7年目の24歳。アマチュアのジュニア時代から多彩で巧みなショートゲームでスコアをまとめるタイプだった。153センチ、50キロと小柄でドライバーの平均飛距離は200ヤードちょっと。この飛距離では、プロの世界ではスコアをなかなか優勝ラインにまでもっていけない。プロ入り後しばらくは、飛距離に関して諦めていた。
「“飛ぶ、飛ばない”は、野球でホームランバッターを目指すべき選手なのか、シュアなバッティングを目指すべき選手なのかと同様に、才能や、持って生まれたものだと思っていました」
アッパーブローに振り抜いてランも出せるスイングに修正すれば、ドライバーショットの飛距離をもっと伸ばせる。そうアドバイスしてくれたのは、2014年4月から師事した大西翔太コーチだった。アッパーブローに打つための最も簡単な方法はティーを高くすることで、これを実践しているアマチュアもいる。青木が取り組んだのは、もっと根本的な部分であった。
アッパーブローでクラブヘッドを大きく、高く振り抜くコツは、ダウンスイングの途中から左肩を意識して動かすことにある。トップから左足を踏み込むことで、グリップ位置は右腰の高さに降りてくる。さて、ここからだ。左ヒザを伸ばしながら、左肩を真上に突き上げるようにする。この動きによって、テコの原理でクラブヘッドは強烈に加速していく。肩回りの筋肉強化や、左肩甲骨の可動域の拡大といったトレーニング効果もあって、青木は、実に40ヤードもの飛距離アップに成功した。