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骨粗しょう症で骨の中身がスカスカになり、腰の骨がつぶれてしまう「圧迫骨折(胸椎腰椎椎体骨折)」。60代半ば以降(特に女性)で、徐々に強まる腰痛は疑った方がいい。
治療は、コルセットを着けて安静(3~4週間)にする保存的治療が基本で、8~9割の患者は2~3カ月でよくなる。しかし、骨粗しょう症が進行していると骨が固まらず、腰の痛みが取れない場合がある。
次の治療の選択肢は手術だが、従来は金属製のネジや棒などを使って骨を固定する大がかりな手術が行われてきた。しかし、近年は低侵襲の手術が普及している。2011年に保険適用になった「バルーン椎体形成術(BKP)」だ。これまで300例以上実施してきた東部地域病院・整形外科(東京都葛飾区)の嶋村佳雄部長が説明する。
「BKPは背中を切開して手術するのではなく、X線透視下で針を刺して椎体までの経路を2カ所作り、バルーンのついた器具を挿入します。そしてバルーンを膨らませ、つぶれた椎体をできるだけ元の状態に戻してバルーンを抜き取る。すると椎体に空洞ができるので、そこに骨セメント(樹脂)を圧をかけずに、置くように充填(じゅうてん)して終わりです」
全身麻酔で行われ、手術時間は1時間以内。椎体に入れた骨セメントは20分ほどで固まる。背中の傷口は5ミリほどの刺し傷が2カ所だけなので、術後、麻酔から覚める2~3時間後にはコルセットを着けてトイレまで歩いていけるという。入院日数は平均1週間だ。