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【ぴいぷる】花*花 ファンと歩み再び音の旅を紡ぐ ニューアルバム「52R45」リリース

■各々の作曲が重なる

おのまきこ 4年ぶりにリリースしたニューアルバム『52R45』(ゴー・トゥー・アール・フォーティーファイブ)は、2人が別々に作っていた曲が、同じ「旅」というテーマだったという偶然にびっくり。昨年のデビュー20周年のツアーがコロナ禍で中止される中、考えることは同じだったのね。

こじまいづみ 「昭和に生まれて平成を泳いで令和にたどり着いたよ」の歌い出しの『茜空テールランプ』は、「人生は旅」というイメージ。詞を作るときに思い描いたのは、旅先で会った人や風景。皆さん、こういうことが恋しいんやないかって思いました。

おの ジャケットはかわいい車のイラスト。思い出という荷物を積み込んで旅を続けます。私たちのグッズや歌詞に出てくるスニーカーなども描かれてますよ。

こじま 題名の「45」は私たちの年齢。「大人っていいもの」という思いも詰め込みました。

おの 昨年はツアーができなくて、代わりに無観客ライブを配信。お客さんと一緒に歌ったり、手拍子したり…と、参加型なのが『花*花』のライブなのに残念。

こじま ライブはお客さんと一緒に作っていたってことを実感しました。

おの 結成20周年記念のアルバム『2×20(ニカケルニジュウ)』の中の新曲『乾杯のうた』は、いろいろあるけど乾杯しようというメッセージを込めたもの。当初は居酒屋でファンと盛り上がる映像を作る予定でしたが、緊急事態宣言で企画変更。ファンの方たちにZOOMで乾杯しようと呼び掛けました。

こじま リモートの乾杯。何度見ても泣けます。

おの 高校卒業後に入った甲陽音楽学院の同級生で、私はジャズピアノ専攻、いづみさんはヴォーカル科。当時からずば抜けて存在感があり、先生もシンガーとして一目置いてました。私よりはるかに音楽の知識もあったし。ホメすぎてますけど。

■出会いは児童合唱団

こじま ホンマの出会いは、小学生時代の兵庫・高砂市児童合唱団。全然覚えてなくて。音楽学院の入学直後、「合唱団で一緒だったよね」って声をかけてくれて。帰りの電車も一緒で、仲よくなりました。ヴォーカル科はテストのとき、伴奏者を連れていかなあかんのです。で、お願いして、練習したら楽しくて、テストのことはそっちのけ。

おの 2人でピアノを弾いて2人で歌って。『花*花』という名は安直に決めましたね。

こじま 女2人やから、両手に花でええんちゃうって。花と花の間に花のイラストを描いたら、それが『*』ってタイピングされて。それが正式表記になりました。

おの 音楽学校の先生に紹介された尼崎のライブハウスで歌ってたら、違う人を見にきたインディーズのレコード会社の人の目にとまって…。

こじま 最初のヒット曲『あ~よかった』は友人の結婚式のために作ったもの。続く『さよなら 大好きな人』は、16歳のときに亡くなった祖父に対する気持ちを綴りました。それが田村正和さん主演のドラマ『オヤジぃ。』(TBS系)の主題歌になって、『紅白歌合戦』(NHK、2000年)にも出場することに。

おの 紅白は親戚一同が喜んでくれましたね。松田聖子さん、さだまさしさんたちと同じステージに立ってるのが夢のようでした。社会見学の究極の形でした。何も知らないままデビューし、言われるままに忙しく仕事をこなして、毎日が社会見学のような日々でした。

こじま それが2003年、当時の所属事務所の事業終了を機に活動を休止。

おの 親会社がクレーンゲームのぬいぐるみを作る企業で、工場のある中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行して、傾いたんです。今回同様、ウイルスが原因。

こじま 大阪で説明受けて、雨の中、まきちゃんが私の住む京都まで送る車中で話をして。このままやったら壊れると感じていた私が「休もっか」って言ったら、まきちゃんも「せやなあ」って。

■活動休止後も音楽追究

おの その後、離れて活動したことで音楽性も広がりましたね。

こじま 2009年に再始動。ウチら、好き勝手に辞めたのに、6年ぶりのステージは「お帰り」の声援があったかかったね。

おの この7月24日、舞台にグランドピアノが2台設置されている大阪のザ・フェニックスホールでライブをします。

こじま 『花*花』のよさって何やろか、ナマの音に飢えているお客さんは何が聴きたいんやろか、と思ったとき、やっぱりピアノと歌のシンプルな編成がウチらの原点で、一番大事なのかなって思いました。

おの 気がついたら、結成20年以上。そこからまた「旅」が始まるわけですね。

(ペン・鈴木恭平 カメラ・三尾郁恵)

■花*花(はな・はな) 兵庫出身の女性デュオ。女性の気持ちを半径5メートル以内の身近な風景から伝える曲が多い。2000年にメジャー・デビュー。

■こじまいづみ 1976年4月6日生まれ。45歳。中学生のときにゴスペル音楽に触れ、ジェームス・ブラウン、アレサ・フランクリンが大好き。2005年にギタリスト、菱沼カンタと結婚。一児の母。「20代のときにニューオーリンズ、メンフィス、シカゴで聴いた音楽を、これから生かしたい」

■おのまきこ 1976年11月23日生まれ。44歳。幼少からピアノを習い、中学で吹奏楽部、高校ではジャズバンド部。昭和の歌謡曲が大好き。「クルマも大好き。ツアーのときも、自分で運転したくなります」

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