[掛布雅之物語]<9>「考えろ」遠井吾郎コーチの指導で不調脱出

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 遠井吾郎との打撃練習を続けて迎えた中日戦だった。掛布が立ち直るきっかけとなった一打は意外にも、内野安打だったという。「(二塁手の)高木守道さんのところに、ボテボテのね」。その試合で複数安打を放つと、「ようやく呪縛が解けた感じがした」。

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オールスター第3戦の8回、3打席連続となるアーチを放つ掛布(1978年7月25日、後楽園球場で)
オールスター第3戦の8回、3打席連続となるアーチを放つ掛布(1978年7月25日、後楽園球場で)

 掛布は、早出練習で遠井から一度も技術的な指導を受けなかったことがに落ちなかった。「なんで、何も言ってくれなかったんですか」。そう尋ねると、遠井はこう言ったそうだ。「お前に何を言う必要があるんだ。俺は、(打率)3割を打ったことないんだぞ。できることは、しっかり見ることだけや」。その言葉が深く心に染みた。

 のちに遠井が3割を打っていたことを知る。マスコミやファンの批判に耐えながら、復調の時をじっと待ってくれたことに、「自分で考えることの大切さを教わった」と感謝する。

 不調から抜け出した掛布は、3度目の球宴で躍動する。1978年7月25日、後楽園球場での第3戦に全セ・リーグの3番として出場し、初アーチをマーク。勢いそのままに、球宴史上初となる3打席連続本塁打の離れ業をやってのけた。

 5年目の成績は打率3割1分8厘で、102打点と32本塁打は自己最多を更新した。そんな中、全国を駆け巡ったニュースに掛布は言葉を失った。(敬称略、随時掲載)

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1860012 0 プロ野球 2021/02/22 15:00:00 2021/02/22 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210222-OYT1I50046-T.jpg?type=thumbnail

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