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情報技術(IT)を駆使して温度や光などを管理し、野菜を栽培する「植物工場」が注目を集めている。2月時点で、2011年(93か所)の約4倍の390か所に上り、種まきから収穫まで全自動化する技術が開発されるなど進歩も著しい。天候に左右されず、人手も少なくて済むため、今後も広がりそうだ。
大手参入
東京・表参道駅(港区)近くのスーパー「紀ノ国屋インターナショナル(青山店)」。店内のガラスケース(高さ、幅約2メートル)では、発光ダイオード(LED)の光に照らされ、パセリやハーブが育っていた。
水耕栽培で、化学農薬は使っていない。週2回、苗植えと収穫を行い、その場で販売するので、新鮮さが客に好評という。輸送に伴う環境負荷もかからない。
植物工場での商業生産は1980年代から始まり、「人工光型」と「太陽光利用型」に大別される。特に近年は、湿度や二酸化炭素濃度、養分などをコンピューターで厳密に制御しているのが特徴だ。
日本施設園芸協会の藤村博志事務局長(62)は「気候の変化などに影響されにくく、水耕栽培ならば土づくりは必要ない」と話す。
経営の多角化を狙う大手企業の参入も相次いでいる。
東京メトロは東西線西葛西―葛西駅間(江戸川区)の高架下の遊休地を使ってレタスなどを生産し、ホテルやレストランに供給する。中部電力も静岡県に1日10トンのレタスが生産できる工場の建設を進めている。