温泉旅館のお饅頭には深い意味が!? 知らなかった「温泉の正しい入浴法」

温泉に行くとついつい長湯して、のぼせたり、湯あたりしたり...。そうならないための正しい入湯の仕方や、温泉の効能・効果を十分に堪能する行動、さらには「ご飯を食べるのは入湯する前?それとも後?」「あがり湯はしたほうがいいの?」などの疑問も...。


そこで、生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木曜日 午前9時28分~放送中)にレギュラー出演中の温泉専門家を直撃。温泉ソムリエと温泉入湯指導員の資格を持つ女優・春馬♨ゆかりさんに、知っているようで意外と知らない「温泉の正しい入浴法」を伺いました。


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温泉旅館のお饅頭とお茶には理由あり!?


温泉では、入浴前にご飯派? ご飯の後に入浴派? 温泉に入ってさっぱりしてからご飯を食べたい!という気持ちもありますが、空腹でお風呂に入ったら貧血を起こさないかな? 逆にお腹いっぱいで温泉に入ると気持ち悪くなってしまうのでは? など考えてしまうこともありますね。


「満腹でもなく、空腹でもなく、水分をしっかり補給して、軽食で小腹を満たした状態で入湯することをオススメします。
温泉宿の部屋には、お饅頭とお茶が用意されていますよね。これはお饅頭の宣伝の意味もありますが、"お饅頭で糖分を摂ってエネルギーを補給して、お茶で水分の補給をしてください"ということからなんです」


温泉宿のお饅頭にそんな秘密が隠されていたとは! 入湯後には水分を摂るように心がけている方も多いと思いますが、入湯前の水分補給は見逃しがち。しっかり摂るようにしたいところですが...


「アルコールでの水分補給は絶対にNGですよ」と春馬さん。アルコールを摂取した後の入浴は注意が必要です。



温泉の正しい入浴法


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まずはかけ湯! 手・足の末端から


水分を補給して、「いざ!湯舟へ!」と行きたいところですが、まずは「かけ湯」を忘れずに!


「かけ湯は必要です! 心臓から遠い末端、手とか足からゆっくりお湯をかけて、徐々に体に温泉を慣らしてください。
湯船に入る時も、いきなり肩までドボンと入るのは厳禁です。まずは腰湯で身体の負担を少なくして、ゆっくりと入ってください」


身体はいつ洗う!?


ここで気になるのが身体を洗うタイミング。お湯に浸かって体を温めてからのほうが汚れが落ちる気もしますが、衛生面からは汚れを洗い流してからお湯に入った方がいいのかという悩みを春馬さんにぶつけてみました。


「私はたくさん洗わないようにしています。強いお湯であればあるほどお肌の角質を溶かす効果があります。石鹸で油分をなくした状態で温泉にはいると、さらに体から油分がなくなってカサカサになってしまうんです。
汗をかいた場所とか、泥がついてるとか際立って汚れがついている場所は、石鹸などで汚れを落としたほうがいいかもしれませんが、温泉に入浴する時には身体をごしごし洗う必要はありません」


「強いお湯」とは具体的にどんなお湯でしょうか。


「酸性が強いお湯です。人気の乳白色のお湯は酸性が強い場合が多いので、石鹸でのゴシゴシ洗いは厳禁。赤ちゃんやご高齢の方は、強いお湯への入浴は控えたほうがいいです。家のお風呂と温泉は成分が違うということを忘れないでください」


湯から上がるサインはしっとり汗


温泉ではつい長湯をしがちですが、しっとりと汗をかいてきたら上がるサイン。


「ダラダラ汗が出てくる前に、上がってくださいね。でも、内湯も露天も色々入りたい!と思いますよね。じわっと汗をかいたら、水分を補給して体をクールダウンさせる。分割湯といいますが、これを繰り返してください」


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上がり湯にお水はNG!


温泉から上がる時にはかけ湯をしたほうがよいのでしょうか。また、冷たい水を浴びると、汗が引くということもありますが...。


「強い温泉は成分が体に残ります。また、天然のものですから何が入っているか分からない部分もあるので、成分が強そうなお湯は上がり湯をしたほうがいいかもれません。
ただし、お水はやめてください! 逆に、体の温度を下げると体が温まる作用があるので、水風呂や上がり湯に冷水は避けた方がいいです。健康増進で、血管を鍛える方法としてはありますが、これは指導員がいないところでやるのはNGです。
日本の温泉で2番目に多い泉質の塩化物泉は肌の保湿をしてくれるので、最後に入ると良いと言われています。ナトリウム・カルシウムのお湯にも保温保湿効果があります」


そして、忘れてはいけないのが保湿!


「以前PH13の強いアルカリの温泉に入って、保湿しなかったらどうなるかを試したら、あかぎれになりました。温泉の力はすごいですよね。角質を落としてくれている分、油分も落ちてしまうんです。温泉に入ったからお肌しっとりというのは間違いです。泉質によって異なるので、保湿は忘れずにしてください!」


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温泉上級者向けアドバイス


「塩化物泉は、夏は思った以上に温まるので、冬に入った時と同じ感覚で入るのは気を付けてくださいね。気温によって温泉の温度は流動することを忘れないでください。
炭酸水素泉は"清涼の湯"と言われて、角質を落としてくれて汗が発散しやすく、体の温度が下がる効果があるので夏にオススメです。季節によって泉質を使い分けてみてはいかがでしょうか」



正しい入湯方法で事故を防ごう!


温泉の正しい入浴法を伺ってきましたが、実は「交通事故より温泉の事故の方が多い」と春馬さん。


「お風呂=転倒と思いがちですが、もちろん転倒も多いですが、急激な温度の変化による心臓にかかわる事故も多いんです。脱衣所とお風呂の温度差で血圧が変動してしまうことも。血圧が急激に変化しないよう、温度差も意識してください」


さらに、倒れている方を見たら、無闇にお水をかけたりしないで、すぐに施設の人に通報することが重要。「のぼせてるからお水!と浴びせたお水で血圧が変動してしまうこともありますから」とのこと。正しい入湯方法をしっかりと身につけて、楽しい温泉ライフを楽しみたいですね。


取材協力:春馬♨ゆかりさん。女優。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員の資格を所持し、これまでに全国の300ヵ所以上の温泉を取材した、温泉のエキスパート。「秘湯ロマン」(DVD)が発売中。
オィシャルHP: https://ameblo.jp/halma-yukari/


春馬♨ゆかりさんも出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜9時28分からのOAも要チェックです!

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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