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 #97 みんな逝っちゃったりなんかしてぇ、そんなバナナ…

昨年、最も悲しい出来事の一つは野沢那智さんの逝去だったが(このコラムの#69を参照)、以後も原田芳雄さんなど大好きな映画人の訃報が続く中、つい先日の滝口順平さんの訃報はかなりこたえた。
ある夜、急に思い立って、毎週録画しっぱなしだった某局の『ぶらり途中下車の旅』をまとめて観たのである。最近は別の方がナレーターを務めていたのだが、順平さんは夏休みかな、くらいにしかなぜか思わなかった。翌朝、朝刊を開くと訃報欄に目を疑う名前が…。享年80ということだが、少しも変わりのないあの名調子をごく最近までナレーション等で聴いていたので、まさかご病気とは思いも寄らなかった。あの夜の『ぶらり』大会は、虫のしらせだったのかなあ…。
順平さんには、もちろんわが憧れの声優として、『アンタッチャブル』(1987)、『ロビン・フッド』(1991)などの吹替えにご出演頂いたのだが、中でも思い出深いのはやはり『アラビアのロレンス』(1962)だな(コラム#59を参照)。前半に登場するダメダメな将軍の役を、期待通りに演じて下さった。この吹替えはDVDに収録されているので、哀悼の意を込めて観直して頂きたい。

しめっぽくて申し訳ないが、俺にとって訃報が特別つらかった、2人の声優さんのことを書いておきたい。

1人は、広川太一郎さん。
広川さんと言えばまず、『シネ通!』第97回でいとうせいこうさんがPRされた「したまちコメディ映画祭」の定番プログラムでもある『モンティ・パイソン』を始め、『Mr.BOO!』やジーン・ワイルダーなど、コメディ演技で比類のない方だが、一方で、『007』のロジャー・ムーアなどのダンディ演技も忘れ難い。
俺は『大統領の陰謀』(1976)などの“ダンディ広川”の記憶から、どうしてももう一度広川さんにロバート・レッドフォードをアテて頂きたくて、『スパイ・ゲーム』(2001)を吹替え新録することにしたのである。
アフレコ当日、噂通りのタンクトップ姿で登場した広川さんは実は絶不調で、終始思うように声が出ない状態だった。それでも何とか録り終えたのだが、ご本人が納得が行かないということで、後日広川さん一人でレッドフォードのパートを全編録り直した。待ってましたのダンディ演技炸裂!
…が、本人としてはその日も100%ではなかったらしい。思えばあの頃、広川さんには既に病魔が…。そのわずか3年後に広川さんは亡くなり、俺にとっては『スパイ・ゲーム』が最初で最後の広川さんとの仕事になってしまった。

もう1人は、中江真司さん。
『仮面ライダー』と『ウルトラセブン』を観て育った俺にとっては、「仮面ライダー本郷猛は改造人間である…」というあのナレーションや、メトロン星人の声の主は、長年の憧れの存在だった。
その声の主である中江さんが数年前、某局の『トリビアの泉』のナレーションでにわかに再ブレイクされていた。その頃、『木曜洋画劇場』で『CUBE2』(2002)を放送することになったのだが、主人公たちがいきなり謎の立方体に囚われている映画にプロローグを付けてみたくなり、突然ひらめいて、『トリビアの泉』のオープニング風のナレーションを創作(ねつ造?)しようと思い立ったのである。で、ダメもとでご本家・中江さんにオファーしてみたら、あっさりOKが!
果たして、木曜洋画版の『CUBE2』には、「ハイパーキューブ、それは…」という番組オリジナルのオープニングがついたのである。その効果だろうか、予想を遙かに上回る好視聴率を獲得! ちなみに中江さんには、映画の最後に登場する軍人役で、声優としても出演して頂いた。
中江さんが亡くなったのは、その2年後…『CUBE2』の時は本当にお元気そうだったのに、やはりあれが最初で最後になってしまった。悲しすぎる…。


なお、9月14日(水)の『午後のロードショー』にて、久々に『スパイ・ゲーム』が放送されます。
放送枠の都合で、『木曜洋画』当時よりはかなり短くなってしまうけど、ダンディ広川の渾身のレッドフォードをぜひお楽しみ下さい。

滝口順平さん、広川太一郎さん、中江真司さんのご冥福をお祈り致します。

(2011.9.3)

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