平塚出身で、若者の投票行動促進を目指す団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さん(24・慶應大学院生)が、4月の統一地方選に向けて女性候補者を増やそうと活動している。「永田町は『風』で動きますが、その『風』は地域で根を張った運動から起こる」と、草の根政治の視点から地方選を見つめる。
2022年に米タイム誌の「次世代の100人」に選ばれるなど、精力的に活動中の能條さん。政治を意識するきっかけは花水小学校在学中に参加した、小中学生と市長が議論を交わす「平塚市青少年議会」だった。「当時は大藏律子市長。私の周りには専業主婦の女性ばかりで『こういう道があるんだ』と新鮮に感じた」と女性が活躍する政治の世界を目の当たりにした。
教育格差を肌で感じ
浜岳中学校を卒業後、進学校の私立豊島岡女子学園に入学。一流大学への進学を当たり前とする環境の中で、教育格差を肌で感じた。「進学校に入れたのは私がすごいんじゃなくて、親の経済状況や学校の先生との巡り合わせなど、勉強できる環境があったからだと考えるようになった」。似たような環境で育ったエリートが国や企業のトップにつき、社会の仕組みを作っていくことに問題意識を持ったという。
「自由であること、一人一人が制限されないことが大切」と能條さん。そのためには、安定した衣食住や、金銭的に先が見通せることなどの条件が必要になる。家庭環境や就労状況、病気や障害の有無、高齢化などにより自力でその条件を揃えるのが難しい人に対して「前提を整えてあげるのが政治の役割」と話す。
緊急避妊薬の販売や、育休制度に対する認識などが問題になる中、女性の声を政治に反映させるために立ち上げたのが女性候補者を増やす活動「FIFTYS PROJECT」だ。投票の呼びかけから出馬を募る活動へと変化したのは、「掲げるビジョンに共感し、応援したいと思える候補者がいることが大切」という思いから。「いろんなバックグラウンドを持った人が政治家になるのが重要」と、4月の統一地方選に向けて奔走中だ。
ジェンダー平等や気候変動など、論点ごとにオンラインで集まることもあるが、賛成・反対の主張が大きくなってしまい、議論が深まらないこともある。「その点、地方政治は同じ地域に暮らすという共通点がある。地域のためなら、妥協点を見つけられるんじゃないかな」と期待する。
思い届ける投票、出馬
「私の、社会をより良くしようと考えるパブリックマインドの強さは平塚で経験したジュニアリーダーや子ども会の行事など、多世代と接する地域活動が育ててくれた」と笑う能條さん。育まれた郷土愛は一人一人が自分らしく生きられる地域社会の実現に向けた熱意となる。「スーパーマンのような政治家が現れて全て解決してくれるわけじゃないから」。投票はもちろん、出馬という方法の政治参加を呼びかけ、草の根から「風」を起こしていく。
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