訪問者用ノートに押されたスタンプ=三好市の坪尻駅

 秘境駅として人気のJR土讃線・坪尻駅(三好市池田町西山)の記念スタンプが8月下旬になくなっていたことが分かった。盗まれたとみられる。2010年にも何者かに持ち去られたことがあるが、約2カ月後に青森県で見つかり、戻ってきた。今回は4カ月近くたっても分からないままで、坪尻駅を管理する阿波池田駅は新たなデザインのスタンプを作ることにした。 

 スタンプは地元住民グループ「おおぞら会」が作り、坪尻駅待合室に置いていた。阿波池田駅によると、同駅職員が最後に確認したのは8月20日。観光列車の乗客が27日、なくなっているのに気付き、おおぞら会が三好署に相談した。

スタンプが置かれていた棚=三好市の坪尻駅

 坪尻駅は無人駅で、待合室に鍵は掛かっていない。

 スタンプは、訪問者が感想を書き込むノートとともに棚に置かれ、チェーンとゴムひもで取り付けられていたが、ゴムひもごとなくなった。

 おおぞら会の川人敏之会長(72)は「心ないことが再び起きた。本当に残念だ」と落胆している。訪問者用のノートには、スタンプがなくなったことを残念がる声や怒りのメッセージが書き込まれている。

 新しいスタンプは来年1月9日にも設置する。小川芳弘駅長は「待っていても戻ってくる保証はない。全国から来てくれるファンのために早く復活させたい」としている。

 坪尻駅は周囲を山に囲まれており、徒歩か列車でしか行けない。全国でも珍しい、進行方向を前後逆にする折り返し用線路「スイッチバック」があることで知られる。